思い出の教師
(秒針あて編)




私は中学生の頃までは英語が得意で大好きだった
テストでも80点以下を取ることは稀てあったし
100点取っても別に当たり前っていうほど自信も有った
当時の担任にも

「英語が得意なのは強力な武器
将来大学受験の際
受験科目に英語が無い大学は皆無だから頑張りなさい」

進路相談の時にこのようなことを言われていたのを思い出す
周りの人間からあきらめられていた高校受験にも
まぐれで志望校に合格
かくして、英語力を更に磨くべく高校へ進学したのだが
ここでとんでもない教師に出会ってしまう・・・

正確には奴と出会ったのは高校2年生なのだが
1年の時から妙な噂は聞いていた
悪友K&Kくんが既に奴の英語の授業を受けていたのだ

あんな奴最低だっ!!

と吐き捨てるK&Kくん
なんでも奴は

学生の出席番号を秒針に例え
自分の持っている時計の
秒針に照らし合わせて

学生に突然無理難問をつきつける

らしいのだ

当時1クラスには45人程度生徒がいたのだが
46秒以降は、当然また1番からくり上がって指名されてしまうのだ
(つまり1クラス45人で出席番号1の生徒は、1秒と46秒に
指名されるのだ。これは不公平以外の何物でもない)
したがって、奴の授業を受けるにあたって最初にすることは

奴の時計の秒針と
自分の時計の秒針を
シンクロさせることなのだ


これで、予測をつけて生徒は覚悟を決めるのである

なぜこんなにも奴に対して怯えるのか?
それはひとえに奴が神経質で
ちょっとでも訳しかたを間違えようものなら
1週間は立ち直れないであろう強烈な
お説教を食らうからだ
それは本人は勿論、聞かせれる他人にも同様な効果を持つ
だから、みんな必死だ

当時は、何大げさなこと言ってるんだろうと他人事であったが

これが私の人生を変えるほどの
最悪の英語教師との
出会いの
布石になるとは
夢にも思っていなかった・・・


そう、K&Kくんの言ったことは
全く嘘偽りが無かったのだ

奴のことを紹介しておこう


本当は本名出してやりたいが、流石にそれはマズイので・・・

あだなは陽一という

陽一は大の読売巨人軍(ジャイアンツ)のファンであり

授業の前日に巨人軍が
負けていたりすると

機嫌は最高に悪い


ちょっとした些細なことに怒り、説教好き
成績の優劣で生徒を差別する典型的な嫌われ者
言うことは凄くいい加減

一番頭にきたのは生徒の喫煙を注意する際
タバコの有害性を自分はさも学者であるかのような立ち振る舞いで
たっぷりとご説教頂いた時、説教の最後に

「俺はもうこんなタバコ
止めたんだ」


と皆の前で堂々と言ってのけた後
職員室に用事が有ったので行くと

(-。-)y−〜〜〜〜フーッ

と、陽一がタバコを吸っているではないか!!


その光景を見た瞬間
つるぎに流れる血液は

煮えたぎるのを超えて
沸騰していた


こんないい加減なことを言うような奴の授業なんか
真剣に受けていられるかっ!!
それ以後、英語の授業はつまらなくなる一方
テストもかつて80点以下を取ったことがないのが
信じられないくらいの酷さ
陽一のせいで、全てを狂わされた

金八先生なんて
所詮ドラマの世界でしか
存在しないんだ(爆)


と思ったものだ

今でも奴は英語をどこかの学校で教えているだろう

しかし、奴が英語を教えるたびに
英語が嫌いになっていく学生も
増えていくことだろう


今思い出すだけでもむかつくのだ
なぁ?K&Kくん、そうは思わないか?






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