思い出の教師
(カッキー編)



彼(奴と言わないのは私がさほど不満に思ってなかったから)は
高校時代の現代文及び古文の教師である

あだ名を カッキ− という

普通教師といえば、長いチョークを好んで使いたがるものだが
カッキ−は親指と人差し指でなんとか摘めるほどの長さのものを
好んで使用していた
もっとも、長いチョークを使っていても直ぐに折ってしまうので
あまり意味がなかったともいえる

勿論

チョークで黒板に文字を書く時は
小指を立て、かつ第1関節だけ
曲がっているのは
お約束だろう

しかし短いチョーク故、時々黒板に爪を引っかいてしまい

ギィ〜ッ

という不快な音を立て、生徒からの顰蹙をかっていたことも
少なくなかった

さらにもう一つの困ることは
カッキ−の書く字は良くわからないことだ

ミミズの這ったような字とは
正にこのようなものを言うのだろう


更にカッキ−の字は筆圧も無いので
草書体を解読しなければならいのに等しい作業になる
しかしそんなことをしている生徒はほとんどいなかった

そう、カッキ−の発声は
子守唄そのものだからだ


そんなある日のこと
古文の授業で源氏物語を学習する機会があった
ご存知の方も多いだろうが
源氏物語は男が女の所へ夜這いに行く様を描いた
要するに猥談である(ちょっとは違うけど)

当時、高校生である
夜這い=男と女が何をするのか知らない奴はいない
しかしカッキ−は次のように語ってくれた

「男が女の元へ夜な夜な通う・・・
つまり、男と女が契りを交わす・・・
いわゆるセックス・・・」

それを聞いた生徒一同、しばしの間唖然・・・
そして、あちこちから「クスクス」笑い声が漏れる

それを聞いたカッキ−は

「なんで笑うあん(笑うの の意)?
あなたたちも

そうやって生まれてきたんやぜ?」

と発してくれた

馬鹿野郎
お前が変な言い回し
するもんだから

思わず笑って
しまうんだろうが!!


しかしカッキ−は、生徒が何故笑っているのか
全く理解できていないようだった・・・(苦笑)


さて、カッキ−と言えばもう一つ外すことのできない逸話がある
あれは、在校生が卒業生を送る集会を催し
その際在校生全員で歌を歌うことになっていた

その歌が、なんと
おにゃんこクラブ(って知ってる人いるんかい?)の

じゃあね

なのだ
一体誰がこんなこっ恥ずかしい歌を選曲したのかは知らないが
当然大半の生徒は恥ずかしがって歌わない
が、その中で齢50過ぎのカッキ−は

集会の時全員に
配られた歌詞カードを
見ながら口ずさんで
いるではないか!!


その時の光景を私は一生忘れることができない


今ごろは現役を退いていると思われるが、元気にしてるのだろうか?
一体どうなっているのか気になる・・・
つるぎにとって、これまた思い出深い教師だ
変な奴というイメージは有ったが、決して嫌な奴ではなかったと思う

とは言っても、会いたいとまで思ったりはしないのだが・・・







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