戻る
| 平成21年12月19日 |
−家庭の醤油学−
大正7年11月の『高岡新報』に「家庭の醤油(しょうゆ)学」と題する記事がある。当時、醤油には最上、極上、上物、並上、並の5ランクがあり価格にも差があった。最上・極上は一番絞り醤油に味醂(みりん)と白砂糖で味付けし、上物以下は二番絞りに昆布の煮汁を足し赤砂糖で味付けしていたという。北陸の醤油は現在も甘いのが特徴であるが、その原点を知る思いがして興味深かった。さらに面白いのは、安い醤油を使って最上醤油と同等の味に料理を仕上げる裏技まで伝えていること。
北陸の醤油がいつから甘くなったのかは定かでないが、「東京で氷見鰤(ぶり)の刺し身を食べたが、何やら地元と食べるのとは味が違った。あれは本当に氷見鰤なのか?」という謎解きの答えは、実は刺し身をつける醤油にある。関東の醤油は糖類が入っていないので、北陸の甘い醤油に慣れ親しんだ人は違和感を覚えてしまうというわけだ。
北日本新聞の前身でもある『高岡新報』は明治26年に夕刊としてスタートした。「家庭の醤油学」のような生活感のあるコラムの存在は、当時の読者に台所を預かる女性たちも多く含まれていたことの証しだろう。
今月で夕刊がお休みになるのは、誠に残念だが、いつかまた、「今夜の夕飯は何にしよう」と思う頃(ころ)、投函(とうかん)口に本紙が届くのを楽しみにしている。
山元醸造役員 山本 和代子