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平成24年2月7日

 名曲「知床旅情」には元歌があった。映画「地の涯に生きるもの」に主演した森繁久彌さんが自ら作った主題歌「オホーツクの船唄」である。メロディーは同じだけれど、「かすむクナシリわがふるさと…」と歌詞が違っている。

 海の向こうに望郷の念を募らせ、墓参を願う人々の心に寄り添って、わがことのように涙を流していたという。作家の久世光彦さんがつづっている。「長年暮らした満州から引き揚げてきた森繁さんには、いまは異境になってしまった土地への、止(や)みがたい熱い思いがある」と(『さらば大遺言書』)。

 北方四島は富山県民にとっても思いが深い。タラ漁や昆布採りに携わった県出身者は「越中衆」と呼ばれて、終戦時におよそ1400人が暮らしていたとされる。引き揚げた人は北海道民に次いで多い。領土返還の願いは切実だ。

 きょうは「北方領土の日」。おととし、メドベージェフ大統領が元首として初めて国後島を訪れ、政府や軍の要人の訪問が相次いだ。先月の日ロ外相会談は「棚上げせず静かな環境で解決に向けた議論を続ける」ことで一致したものの、両国関係は依然として厳しい。来月の大統領選後の動きも気になる。

 歌の碑がある羅臼や資料館がある納沙布岬を冬に訪れたことがある。島影は近くに見えた。すぐにも行けそうなのに…。目に見えぬ壁が疎ましく思えた。


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