西島 守さん

住所/富山市大沢野下大久保

みどり共同購入会の取り扱い品目/お米、もち米、米粉

美味しい米を食べるには自分で作るしかないと、脱サラして農家を継いだ西島さん。試行錯誤を続けながら、農薬や化学肥料を使用しない有機米作りを行ってきました。
西島 守さん

●36歳で専業農家となった西島さん
 西島さんは実家が農家でしたが、農業を本業としたのは48歳のときでした。長くサラリーマン生活を経験し三重県に赴任した後、富山に戻ってきたのが1988年のことでした。帰省してもサラリーマン生活を続けていましたが専業農家になる決心をしたのは、30歳前に「美味しんぼ」という漫画を読んだことがきっかけです。会員の皆さんならご存知だと思いますが「美味しんぼ」は、今日のグルメブームを作った漫画だと言われ、現在104巻を重ねるロングセラーとなっています。主人公が“美食”を探し求めた末に、実は本当の美食とは日本の気候風土の中で育まれ、先人の知恵やモノを作る人たちの努力によって作り出されていることを漫画という表現をとおしてわかりやすく描いています。
 本当の美食とは何か。西島さんは美味しく安全なお米を食べるには、自分でやってみるのが一番だと考えました。職業選択の自由があるといわれるこの国ですが、農業は土地と経験が必要で農家の子供でもなければあとを継ぐことが難しいのが実情です。西島さんは農家の長男だったので米作りをする選択は難しいことではありませんでしたが、大変だったのは両親との価値観の違いでした。両親が周りとおなじような慣行農法を続けてきた中で、一人で農薬や化学肥料を使用しない米作りを模索してきました。

秋の稲刈りの様子 有機栽培の看板が設置されている圃場

●独学で有機農業の世界を学ぶ
 富山県は兼業農家率が全国トップクラス、9割を超える県です。兼業が多いということは逆に農業を本業とするプロが少ない地域でもあります。兼業で他の仕事に忙しく農業では余分なことをしたくない。上から言われたとおりのことだけをやればいい。営農指導する農協も新しい時代に応じた対応が取れていない。そうした現状で西島さんが自分の思った米作りをするには、自らの力で歩む必要に迫られました。農薬を使用しない生産者や研究者がいれば訪ねていき、専門書を読み学んできました。米作りの失敗を繰り返す中でサラリーマン生活では得られない農業の魅力の取りつかれ、時間的な制約から兼業で試せなかったことをもっと実践してみたい。そんな思いから2004年に農業を専業にすることに決めました。専業で食べていくために栽培したお米は有機認証を取得し販路も独自に作ってきました。近隣の農地を借りて圃場を広げ、お父さんの代に耕作面積が2町だったものを13町歩までに増やしました。現在その圃場の約半分が農薬を使用しない圃場で、そのうち3.5町で有機認証を受けています。
 自然相手のお米作りは1年間に1回しか経験できません。当初はアイガモ農法をやっていましたが、アイガモのヒナをカラスやハクビシンにやられ、半不耕機栽培を試してみましたが納得のいかないことがありました。現在はある程度稲の苗が丈夫になり雑草に負けない大きさになってから田植えを行い、田植え前に肥料にベアリリッチという緑肥をすき込むようにしています。また、土壌分析をして足りない栄養分を入れることによって稲そのものの力を強くしています。そうした試行錯誤の中で自分なりの有機農業の形が見えてきたそうです。

会員との除草や生きもの観察の交流会(2007年6月) 会員との稲刈り・はざがけ交流会(2008年10月)

●お米作りの楽しさを伝えるために
 西島さんはお米を“商品”として売るだけでなく、お米作りを楽しみたい。消費者の人にも農業のおもしろさを伝えたいという思いを持っています。お米の品種もコシヒカリだけでなく、古代米やミルキークイーンなどの品種の作付けをしてきましたが、新しくササニシキの栽培も始めました。このお米はアレルギーの抗体反応が出にくいと言われています。このようなお米をみどり共同購入会の会員の人が探していると西島さんに伝えると、それに応えてすぐに作付していただきました。西島さんは、これからも雑穀や消費者が希望するいろいろな品種のお米を栽培したいそうです。そのためには一部の品種がうまくいかなくても他で補えるように、耕地面積を20町位に拡大したいと考えています。
 有機米なら首都圏のお米屋さんへ販売したほうが高く売れ、自分で精米する手間もかかりません。そんな中で2006年からみどり共同購入会と提携したのは、地元で消費者の人たちに直接向き合うことができるからでした。2007年は会員の子供たちを田んぼに呼んで一緒になって除草や田んぼの生き物を観察しました。2008、2009年はお米を手刈りで収穫して、稲穂ごと天日に干す「はざがけ」体験を行いました。お米は天日で乾燥されることで更に美味しくなります。機械乾燥と違って今では限られた人しか味わうことができないお米ですが、刈り取りを手伝った人には後日、はざがけ米を食べていただきました。
 西島さんは今でも両親と農業に対する考え方は違っているそうですが、農作業の中心を守さんが担うようになり、温かい態度で両親にも応援してもらえるようになりました。農業を主体的に選択する人たちが増え、生産者が自立してお米作りを行うようになれば、日本の農業も大きく変わっていくことでしょう。富山市の中心から車で30分もしない地の利を生かし、みどり共同購入会では今後も西島さんと会員の皆さんの交流の機会を作っていきます。


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