蛇足・1“却下”
 

    その後の未来人たちを想像する時、ひとりの頭の中でもいろんなパターンが
   思い浮かんだけれど、最たるものは、50話前半におけるユウリ、アヤセ、ド
   モン、シオンの行動に対する社会的制裁のあり方だったりする。
    だって、あれは、彼らの時代の法に触れてる犯罪行為だから。

    一見、リュウヤ隊長が悪い人で、タイムレンジャーがこの時代を救ってくれ
   た正義の味方であるように映るけど、どっちもどっち。それまで犯罪者を逮捕
   していた彼らがあんなことしちゃって、嫌な気分になった子どももいるかもし
   れない。(うちの息子は、42話あたりから見なくなっていた。10年早かっ
   たのかもなあ)
      
    リュウヤ隊長は、自分の都合でユウリたちを利用したものの、3000年に
   起きた消滅を阻止しようとしたことそのものは、31世紀の人々にとっては救
   世主的行為なわけで、自分たちの時代にどんな影響を及ぼすかわからないにも
   関わらず、2001年の大消滅を止めちゃったユウリたちのほうが、よっぽど
   反社会的危険人物だよね。
    ただ、「歴史の保護」という観点からいうと、「時間移動装置がなかった場
   合」の歴史が「正しい歴史」と考えるべきで、どういう状態になるかを想定し
   てそれに近い状態にもっていくのが、真の「歴史修正」といえるでしょう。
    ギエンのせいで起こるという2001年の大消滅と、Gゾードのせいで起こ
   る3000年の消滅。両方の歴史を見たと言うリュウヤ隊長。時間移動装置が
   なければ、どれも起こらないなら、それが正しい歴史。完璧とはいえないまで
   も、とりあえず、タイムレンジャーは歴史を正しい方向に修正できたってこと
   になる。
    でも、目的が正しくても、手段が法に触れていたら、それは犯罪行為になる
   わけで。

    私の好みだけでいうと、ほんとのところはユウリたち四人、犯罪者として逮
   捕されて裁判にかけられて、まあ、地球人とおとなしい地球人型異星人だから
   圧縮冷凍にはならないだろうけど、それなりに服役して(シオンは未成年とし
   て扱われるのかな)・・・っていうのがいいなー、と思ったりする。
    でも、それだと、レンジャー隊のトップではあるものの組織全体のトップで
   はなかったリュウヤ隊長と、歴史の保護が最優先の時間保護局と、さらにそれ
   を包括している世界とのバランスがとれなくなって、想像が手詰まりになって
   しまうので、“逮捕される”仮説は却下した。

    まあ、なんてゆうか、別の理由として、刑務所に服役ってことになったら、
   刑務所内での状況の想像が、映画『スリーパーズ』のように、看守に虐待され
   ちゃう話になっちゃいそうで、誰が餌食かって・・・それもいいけど、それは
   よくない、話がそれる、って自己対決しちゃって、やっぱ、それは、却下とい
   うことで・・・。ちっ・・・。
 

                    
 

    別れのシーンがあんなふうにファンタジックだったところから、「再び歴史
   が変わって、四人の存在そのものが消えたという受け取り方もできる」(生ま
   れてくることさえなかったか、3000年以前に死んでいるとか?)と、他の
   人から聞いた時には「そんな受け取り方もあるのか!」と、目からウロコが落
   ちるってな感じで、その人の「だから『ガオVSタイム』はないのでは?」と
   いう主旨の予想も当たってたけど、それは、ちょっとかんべんして下さーい、
   だよぅ。
    それと同様、四人が31世紀に戻ってみたら、そこは30世紀の消滅後の荒
   野原で、タックはどこ〜?みたいなのも、おもしろいかもしれないけどとりあ
   えず却下。
    私はどうも、あの別れのシーンを見ていながらも、四人はタイムジェットに
   乗って31世紀に帰還したと思っていたいし、未来の状況も、すでにあった事
   実が御破算になるほどの変化はないってことにしておきたいようで。
    刑期を終えたDDラデスと40歳近くなったシオンの再会がありますように、
   って、思ってるもんな〜(^^;)
 

                    
 

    悪魔的な説として。
    2003年くらいに、わずかに残った時空の歪みに、竜也が飲み込まれて、
   行き着いた先が2990年くらい。何もかも覚えていない状態で保護されて、
   所持していた破損の激しい運転免許証から、なんとか判明したのが“アサミ・
   リュウヤ”という名前・・・。ユウリたちはそれを知らぬまま・・・。なんて。
    こういう、後味の気持ち悪いショート・ショートみたいなのは、感情移入せ
   ずに突き放して見ることのできるキャラクターに限るんで、他の作品でこんな
   感じのネタに触れられることを期待して、却下以前に、論外。
 

    そーゆーことで・・・では、またねっ。