蛇足・2“存在”
 

    『タイムレンジャー』には、作中に登場していなくても、なんとなく存在を
   感じてしまう人物たちがいる。
    たとえば、台詞のうえで出て来た、ドモンの家族、アヤセの親、ドルネロの
   母親などがそう。
    なにしろ、“家族”が重要な要素だったユウリもさることながら、竜也の場
   合、両親と母方の祖父が登場し(父方の祖父でないところが、また妙にくすぐ
   られるのよね)、両親の生きてきた軌跡までもが垣間見られる奥深さがあるも
   のだから、自然と他の人物たちにも同じくらいの存在感が出てくるのだと思う。

    ドモンの兄弟の構成なんか、結構知りたかったんだよねーっ。なんとなく、
   ドモンは、一番上でも末っ子でもないような気がしませんか?たとえ長男だと
   しても、上にお姉ちゃんのひとりやふたりはいそうな感じ。敢えて無理矢理に
   狭めてみるなら、三〜五番目の次男ってあたりでどうでしょうか。
    設定で、きちんと決まっていたなら教えてほしい・・・。末っ子だったとし
   ても、それはそれでいいから。

    アヤセは、親の存在を、さらっと言ってのけたね。
    不治の病だというのを親にも言えなかったのは、アヤセらしい優しい気遣い
   だとは思うけど、親のほうとしては、やるせないだろうな。夢に向って頑張っ
   ていたはずの息子が、突然に夢を断って畑違いのレンジャー隊に入隊したあげ
   く、任務で一年も音信不通だったりしたら、そりゃつらいわ。それで、その原
   因が不治の病にかかってたからなんて後で知った日には、親として、いたたま
   れなくなるって。
    それにしても、未来では、健康診断レベルで本人に告知や余命宣告をするの
   か?怖ぇぇ〜。
    アヤセが、宣告されたとおりに死を迎えてしまうとは思えなかったけど、か
   といって、すっきり完治して、健康体になるとも思えなかった。
    私には医学知識も全く無いんで、宇宙磁力線がどういうふうに人体に影響し
   て、発病、心臓発作、突然停止って症状になるのかなんて、納得のいく想像が
   できなくて、だから「仮説」で、治療法を考えてみようにもピンとくるものが
   なかった。そういうことで、“ようやく解明されてきた不治の病”のイメージ
   のみで流してしまったな。完治じゃなくて、あくまで延命で、この先どうなる
   かは、結局わからないままでいるしかないのよね。

    ドルネロの母親の場合、ドルネロがああなったのは、母親の責任によるとこ
   ろが大きそう。リラに似てるつったら、そりゃ子育てに不向きな人だ。ドルネ
   ロの、他者との関係づくりが極端なところは、母親の身勝手で可愛がられたり
   愛想つかされたりしてたせいではないかと。極悪人のはずだけど、越えられな
   い一線のあったドルネロは可愛かった。もしかしていい奴?とさえ思わせる悪
   役だった。
    それはそうと、リラは21世紀で生き続けているんだろうか?ほんっとに、
   オルグとつるんで、歴史を変えてしまいそうなほどのことをやらかしてくれる
   のかと思ってたのに。どっかの金持ちをたらしこんで、それなりに幸せにやっ
   ているのかも。まったく。
 

                    
 

    そして、台詞のうえでさえ出て来ていないのに存在を感じるのは、シオンが
   育った研究所の所長・・・私は、この人ばっかりは、すごく具体的に想像して
   しまって、魅力まで感じてしまって。
    シオンが、どのようにして研究所を出たのかはわからず「家出同然か、責任
   者の許可があってのことか」というのは、以前触れたことがあったけど、やっ
   ぱり私は「家出説」のほうがしっくりくると思う。45話でシオンは「夜逃げ
   は初めて」とは言ってるけど、研究所からの脱出と夜逃げはニュアンスが違う
   んで、ギリギリセーフかなぁと。
    たとえば、絶滅したと思われているニホンオオカミが、一頭だけ見つかって
   捕獲されたとして、その一頭が災害救助犬の仕事をする道があるかって、そん
   なの論外だろうと。でも、シオンは唯ひとりのハバード星人でありながら、正
   体を隠しているわけでもなしにレンジャー隊員になってるようだから、そのへ
   んの兼ね合いと、TVシリーズとの矛盾が出てこないような「仮説」を考える
   のは、かなり楽しいことでした。まあ、ここらへんは、すでに「でっち上げ」
   の域ではあるけれど・・・。

    ちなみに、所長のシーンを想像する時の配役は、渡辺いっけいさんだったり
   して。あともう少しだけ重厚な雰囲気を足すとばっちり。「他人の人生の障害
   になるようなことを平気でするけど、結局は小物」っていう役柄がはまってる
   役者さんだよなぁ、と思ったものだから。
    でっち上げで登場するハルキという名の所員は、いわゆる“つなぎ”です。
   いないと話がつながらないんで。優しい目をしてるけど憂いを秘めてて、本心
   では何を考えているのかちょっと掴みきれないような感じを、“ハムの人”の
   CMがなんかおちゃめな、別所哲也さんで思い浮かべてます。
 

    なんか、すいません。(^^ゞ
    とりあえず、そーゆーことで、では、また。((((^^)/