昼、運転していて、交差点で止まり、右を見、左を見、もう一度同じ確認をしてから発進すると、何もいないはずの、目の前に人や自転車がいるのに気付く。慌ててブレーキを踏む。
こうしたことが2、3回あった頃から、発進の速度は極めて遅くなった。
交差点に接近する時、交差する横の道からくる車を見落とす。前の窓と横の窓の間の柱(ピラー)の陰になって見えないのだろうと考えた。接近する速度が同じ所為だろう。その可能性も大きいが、そうとばかりは言えない。
交差点付近での見落としは、人や自転車ばかりでなく、車の時もある。
人一倍注意しても、見落としは5、6回ではすまない。
4年程前になるだろうか。秋の深まった頃、会社の駐車場から道路に出るとき、何もいないと確認し、ゆっくりと前へ出た。ガスンと音がした。何が起きたのか分からなかった。ヘッドライトに向こうへはねかえる自転車と人が見えた。自転車を押していた高校生がいたのだ。幸い自転車の鍵が少しずれただけですみ、まあ良いわということになった。その後一段と暗い所も見るようになった。またその高校生がいたことがある。あちらも危ない車だと注意して見ていた。
その1ヶ月ほど後だろうか、50メートルほど先にある交差点で、安全だと確認し、ゆっくり発進すると、またもドスンという音。
雨の中を黒い服を着た人が1メートルほどよろよろと道路に倒れていった。自分も同じようなことをしたことがあるから、これから注意するようにと言われ、許してあたった。雨に黒い服で見えなかった・車道の車のライトが目を眩ませたなどと自己分析した。
網膜色素変性症患者に関する記述とか、手記に同じようなことが書いてあったから、こうして告白できる。
注意しても、どうしても抜け落ちる視野がある。暗順応が極めて遅い。
家の中でも、タンスの角や棚の角にこめかみを激突させたことが何度かある。
薄暗いから見落としたと自分に言い聞かせた。
安全の為、角にクッションテープを貼ったりしている。
輪島の帰り、トンネルで後方の車からのライトが眩しいとバックミラーを横に向けると、R君から「異常だ」大袈裟過ぎると言われた。
目をそらせば眩しくないともよく言われる。
見た目には全く正常だから、誰からも信じてもらえない。
普通のことをただ大袈裟に言っているだけだと見られるだけだ。
ここに書いたことは、全く病気について知らなかった時の出来事である。
(2年前・1年前の)健康診断でも、要指導Aという一番軽い状態の時の経験である。
1年で、要指導Bを通り越して、要受診と健康診断で出てきた。
自覚的には、どう悪くなったのか分からない。
両目で見て視野の無い所が少しはあることは自覚できるようになった。
何時からそうなっていたかは、全く分からない。