棗
合口の擦り合わせ
擦りガラスで蓋を回し研ぐ(パラパラと砥粉を撒いて水研ぎ)・・・水平にする。
蓋を定規にして身と合わせ研ぐ(180°回して、合わせ研ぐ・・・90°回して、合わせ研ぐ・・・)
時々、擦りガラスで蓋を研ぎ直す・・・合わせ研ぐ・・・・・
*蓋の錆の漆分を少し強くし、身の錆の漆分を少し弱くしておくと合わせ易い。
外脇の合わせ研ぎ
蓋の内脇をきちんと研ぎ、それを基準にする。
身の立ち上がりをきちんと研ぐ(隅をビシッと。蓋がスッと被るくらいに)。
ずれない為に、身の立ち上がりに錫金貝を一枚巻きつける(錫金貝はゴム板上でカッターで切る)。
蓋と身を合わせて、出っ張っている所を研ぐ・・・180°回して研ぐ・・・90°回して研ぐ・・・180°・・・
*どうしても合わないときは、足りないところに錆を付ける。
切り合口
ほとんどずれないように、もう一枚錫金貝を巻く。
水練り砥粉とその約1/4量の続飯(そくい・・・飯粒を練った糊)を練り合わせて、
蓋と身の1mm弱の隙間に押し込んで均す。
約1時間後、はみ出ているのを濡れ布きんで拭き、空布きんで拭く。合口に錆箆付け。
1日以上放置してから、錆を研ぐ。
*中塗り・・・小中塗り・・・☆ここで切り離して、別々に上塗りする(蒔絵の場合など)。
☆上塗り、蝋色仕上げをしてから切り離す。
*切り放すときは、かなり高温の湯の中に暫く浸けておかなければならない。
合口の塗り方
切り出した毛の長さが3mm程の刷毛で、横方向に刷毛を引く(摺り漆よりは厚い程度)。
*その前に隅出しで、隅の漆をさらえておく。
内側の塗り方(ここでは身)
◎身付き・・・刷毛先が水平な(角度のない)5分刷毛(15mm)で少しずつずらして中央あたりまで塗る。
180°回して、同じように塗る。
枕刷毛(刷毛の打ち込みを消す)は3mm程(刷毛の尻を浮かせて塗る)。
*これは非常に難しい(内脇塗りと一緒にしているが、坂下先生は枕刷毛は必要だ・・・)
◎内脇・・・刷毛先が40°程の一寸刷毛で塗る(内脇が塗れるような刷毛)。
漆
無油の漆で溶剤は使わない。
粘りが出た漆は加熱して軟らかくする。
*粘りすぎたものは灯油などの溶剤で緩め、中塗りに回す。
和紙を貼る場所
蓋・・・甲、見付き、合口の外回り(帯状に)
身・・・見付き、底、立ち上り(少し皺皺にしてかかる)、合口の外回り(帯状に)
*薄い美濃紙
「漆芸の伝統技法」(佐々木英 理工学社)p4-53〜4-59に「棗をつくる」があります。