修理 (仏壇用の台)

2001年8月、祖父喜作が昔、中古で買い、使っていたという台を貰う。
継ぎ目はズレているし、雲形が無くなっているところもあった。
修理は、壊れにくくすることを主眼にして行う。


裏側からの写真(継ぎ目のズレ、削りだした雲形、足裏の継ぎ目を彫って刻苧、、、)

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8/12(日)

前面右の、無くなっている雲形を桐で削りだす・・・他に無くなっているのはそのままにした。
できるだけ釘を取り除き、ボンドと木の粉をまぜたもので、雲形と脚を付け直す。
電動糸鋸盤で雲形に切り、鑿で刳る。

8/13(月)

桐に生漆を吸わせる(雲形)

8/14(火)

継ぎ目(隅なども)を刻苧で埋める。

8/15(水)

空研ぎして、塗膜の浮いているのを取る。刻苧したところも空研ぎ。
 *木地に直接下地(それも漆分の少ない)をつけたり、漆を塗ったものはこういうことになる。
  長い年月を経ると、木地から剥がれてくる。しかし、くっついたままのところもある。
 ◎浮いている部分を完全に取り除く方法があるのだろうか?
  研ぎ潰すのは面倒だし、刃物で削り取るのも傷だらけにしてしまう
・・・下仕事を十分にしておかないと、浮いてしまうことになる

硬い麻布を天板、縁、天板裏にかけて貼る。
 ⇒糊漆を木地に箆付けし、布を置き、上から糊漆を渡して貼る。縁は指で押さえる。
  ◎江戸時代にお姫様ののる駕籠に貼られていたのと同じ麻布・・・石川県立美術館で展示されたことがある。
   この布は、盤上に糊漆を渡し、布を置き、その上から糊漆を渡し、布が
柔らかくなってから貼るべきだと気付いた(8/16)。

8/16(木)

布の重なり部分を切り出しで切り取る。縁や裏では、殆ど布が浮いていて、切り取らざるを得なくなった。
 ⇒乾き不十分で、湿りへ戻す。
 *修理前の塗膜が完全には取り除けないので、仮令浮いているところが残っていても布全体で保護できないかと考えたのだが、、、
 ◎初めて我流で乾漆盛器を作ったとき、どういう布を使えばよいか分からなかったので、この布も使った・・・入り隅では浮き、切り取った(1990年)。乾漆でどういう布を使うか教えてくれたのは、増村紀一郎先生の研修会だけだ。

8/17(金)

脚の継ぎ目の裏・表に硬い麻布を貼る。
(天板の)縁の、布が剥がれた所に、硬い麻布を貼る。

8/19(日)

天板、縁などに、下地で布目摺り。

8/20(月)

(天板の)裏の布目摺り。桐の雲形の、削りすぎ部分を下地で盛る。

8/22(水)

脚の両側の雲形(前と横)にかけて、一枚の麻布を貼る・・・前面の二つの脚。
天板・・・下地箆付け一回目。

8/23(木)

脚と雲形に貼った布の、余分なものを切り取る。
雲形の内側の隅などに下地を刷毛で付ける。
(天板の)縁に下地を刷毛でつける。

8/25(土)

空研ぎし、雲形に下地付け(布のところは布目摺り)

8/26(日)

大雑把に全体を空研ぎ。
天板裏の、脚の内側の平地・・・下地箆付け1
天板・・・下地箆付け二回目。

8/27(月)

空研ぎすると、裏の下地が厚すぎ、剥がれてくる→湿りへ
雲形の裏・表、(天板の)縁に下地刷毛付け・・・少し粉を多くする。

8/28(火)

空研ぎすると、また下地付けが厚すぎたのか、不硬化のところあり。
脚の、下回りの板の継ぎ目の上の布に下地付け(布目摺り)。
その下の台4つの間で、ガタがある部分に下地をつける。

8/29(水)

脚付近など、空研ぎ。
*錆を合わせる・・・砥粉17g、水と練る、生漆10g弱。
天板に切り子地箆付け三回目。

8/30(木)

空研ぎ。また錆合わせ。
天板裏の、脚の内側の平地・・・切り子地箆付け2回目
雲形の周りに切り子地刷毛付け。
天板の縁周り、支えの横棒などに切り子地刷毛付け。

8/31(金)

前日の作業部分などを空研ぎ。
天板裏の、脚の内側の平地・・・切り子地箆付け3回目。
天板・・・切り子地箆付け4回目。

9/1(土)

錆を合わせる(砥粉50g、、、)
脚と台の間の、下回りの板などに錆箆付け。
天板裏の、脚の外側の平地・・・錆箆付け。

9/2(日)

(昼頃)天板裏の、脚の内側の平地・・・錆下地箆付け4回目。
   脚の外回り、(天板の)縁の長い面・・・錆下地箆付け
(午後)脚の外回り、(天板の)縁の短い面・・・錆下地箆付け
(夕)天板・・・下地箆付け5回目。

9/3(月)

錆を合わせる(砥粉65g、、、)
雲形の内と外に、錆刷毛付け。
雲形と接する部分にも、錆刷毛付け→雲形の内隅は、箆で押さえる。

9/4(火)

天板を大きな荒砥で水研・・・なかなか平面が出ない、、、
その他、少々水研。
脚と台の間の、下回りの板などの一部に錆箆付け。

9/6(木)

脚などを荒砥で水研。
天板を、中ぐらいの大きさの荒砥で回し研ぐ。
リグロインで薄めた生漆を、台の7割ほどに染み込ませる・・・そこで生漆がなくなる。

9/8(土)

(午前)天板など空研ぎ。天板に錆箆付け。
(夕)脚と台の間の、下回りの板などに錆箆付け。縁の前側に錆箆付け。

9/9(日)

錆下地を合わせる。
雲形の裏側、縁の長い面に錆箆付け。
(時間を置いて)雲形の表側、ふちの短い面に錆箆付け。

9/11(火)

雲形に一つなどに錆付け。

9/14(金)

余った下地などを付ける。

9/19(水)

荒砥で大雑把に研ぐ。

9/20(木)

リグロインで薄めた生漆を裏、縁、天板などに吸わせる。

9/22(土)

天板、縁などを荒砥、キング#1000で研ぐ→錆を見る。

9/23(日)

錆を研ぎ、天板と縁、中塗り。

9/24(月)

雲形や台付近などを荒砥で研ぐ。
目立つところの錆を見る。

9/25(火)

少しだけ錆を研ぐ。
中塗り・・・天板裏(脚の内側)、脚の付け根、雲形全体。

9/27(木)

雲形の角などに錆。

9/28(金)

脚の内側の隅などがガタガタなので、荒砥で研ぐ。

9/30(日)

脚の内側の隅などがガタガタなので、荒砥で研ぐ。

10/1(月)

天板の裏側部分に錆。

10/2(火)

裏側などにリグロインで薄めた生漆。

10/5(金)

錆少々。

10/8(月)

脚の内側などの地研ぎ・・・形直し。錆研ぎ。

10/10(水)

台と下回りの板などに中塗り→10/11かなり縮み。

10/12(金)

天板、縁に朱を塗る。

10/13(土)

錆少々。

10/14(日)

脚とか裏を、小さい色々な砥石を使って研ぐ。
(天板と縁を除く)残り全体に黒漆を塗る・・・1時間以上かかる。
  →10/15朝、隅など縮みだらけ。

10/15(月)

錆を見る。

10/16(火)

天板・・・キング#1000、静岡炭で研いで見たが、あまり研げないので、#360ペーパー研ぎ。
  →一箇所ひどい凹みがあったので錆。

10/19(金)

錆を研ぐ。
天板と縁に透き漆を塗る。

*以後一ヶ月ほど、他の作品に取り掛かっていたので、作業を休止していた。

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