乾漆素地
正直に言って、和紙貼りは苦手である。中に空気が残って浮きやすい。増村先生の研修会の後、布貼りを含めて失敗の連続であった。原因は・・・???
木地の仕事に使う和紙は美濃紙が多いようだが、乾漆の場合は美栖紙(奈良県吉野の昆布一夫氏)を使う。中に石分が含まれていて、下地の働きを兼ねるそうである。
和紙は筆に含ませた水分で、切りたいところを撫で、そこを切る。平面は大きく、それ以外は1〜2cm×3cm程に切っておく。
米糊を作る(米の粉を煮る)。
一箆ほどガラス板上に米糊を取り出し、四箆ほどの水を持ってきて、順順に混ぜる。
糊と同量の生漆を取り出し、箆を立てて軽く回し混ぜる・・・泡のような感じになる。
乾漆刷毛で少しその糊漆を混ぜてから、和紙を貼る場所全体に糊漆を塗る・・・かなり吸い込まれる。
それから貼る場所毎に(余り広くなく)糊漆を渡し、和紙を置く⇒糊漆を取り除いた刷毛で押さえる・・・空気が残らないように。
★平地・・・端は和紙のくい先方向へ刷毛を持っていく(箆で押さえてかかってもよい)。
★内脇 or 外脇・・・半分ずつ重ねて貼っていく(押さえるときは糊漆を付けない)。
★平地(内鏡 or 裏)・・・繊維の方向を直角にしてもう一枚貼り重ねる。
⇒上から糊漆を渡さない・・・中が膿むのを防ぐ。
*乾きが早いので、30分後ぐらいに#80和紙ペーパーで、内から外へ余分の和紙を切る。
*その後、上から糊漆を刷毛付けする。☆乾きが早いので、何時間か毎に二枚ずつ貼る・・・五回で計十枚。
*木地の場合は、木目方向に繊維の方向を合わせる。
砂田の方法
*技術は、表現したいことを素材の持つ特性に従って、その特性を最も生かすように使う方法であるから、幾つも存在する訳はない。技術に値しない方法なら、幾つでもありうるだろうが・・・
*日本工芸会では、屡、自分で考えた通りに作品を作ると言われる。全てが自家薬籠中のようで傲慢な感じがする。感性の微妙な差は個性としても、素材が求める表現もあると思う。ex..朱の発色、素地の動き、、、要するに、作りながら考える方法もあって良いと思う(作家ではないといわれそうだが、、、)。同じテーマに何度でも挑戦することで、いろいろ試すべきで、甘いとも言われそうだが、、、新しい技術と言うとき、工夫する場合と思いもしない出来事を見逃さないことから生まれる場合がある(指し物木地⇒布貼り⇒乾漆)。デザインのためだけではなく、もっともっと自然の中に浸ることだと思う。
*様々な技術の組み合わせにも、それなりの必然性がある。それを無視して、言葉だけで[高度な・」といえば、もう技術なんて物はレベルの低い世界の事柄に過ぎないと、心の奥底で思う人もいるようだ。
下地付けのところで作った、普通の糊漆を使う・・・増村先生の方法がうまく出来なかったから(紙が浮いてきた)。
余り和紙を重ねるように貼る作業をしない・・・普通の糊漆は、完全乾燥に時間がかかる。
隅はできるだけ小さく切った和紙の方が良い・・・貼り易いし、失敗しても少ない面積ですむ。
貼る枚数は四から六枚・・・乾漆だから多少痩せこんでも良いのではないか、、、