[和紙貼り]       [布貼り]      [工程順]

乾漆素地

(下地付け

石膏原型から水分を抜く・・・熱や風を利用するor電子レンジでも良いらしい

離型剤を石膏原型に塗る・・・米糊、アラビアゴムなど(弁柄などで着色しておくと見やすい)
⇒米糊の場合は、箆からタラ−ッとたれるほどの緩めの糊を三回ほど。
 *数倍に延ばしたアラビアゴム(糊)は、薄く三回ほど。

急激な乾燥や、厚すぎる糊膜は、亀裂や剥離に繋がるから注意すること
・・・しかし、ここでも充分乾燥させておく必要がある

下地付けに使用する下地は、決まっているわけではない。
きめの細かいものから付け、順に荒くなっていくというのが、石膏に下地を付けるときの考え方である。
石膏に少しでも水分が残っていると、錆下地は乾かない(理由が分からない)・・・糊漆なら何とか乾く

錆下地付け
・・・石膏原型に彫刻的な表現がある場合は、薄く三回ほど付ける。
  普通は、一回か二回・・・次に付ける前に、空研ぎしてかかる。
  下地用刷毛、乾漆用刷毛で薄めに付ける・・・平地は柔らかい箆でそっと刷毛目を抑える。
錆下地
・・・砥粉に水が充分染み込むまで、ゆっくりと待つ。砥粉の粒が残らないほどで、やや硬めに。
  砥粉(乾いている状態)の重量比で、約55%の下地用生漆と混ぜる。
★錆はきめの細かい面を作ったり、微妙な線や盛り上げの表現をするのに使う。
  痩せこみ防止の働きは弱い。

◎米糊を作る。湯呑みに米の粉を一杯分入れる。その湯呑みで四杯分の水を鍋に入れ、米の粉を溶く。ゆっくり混ぜながら煮る。透き通る感じになるまで煮る。
水の量を変えて、糊の柔らかさを調節できる。
米の粉の中に、糯の粉や小麦粉を少し混ぜて、粘り気を増してもよい。
白米を茶碗に入れ、水を一杯に張る。毎日、水を交換する(腐るのを防ぐ)。一週間ほど続ける。
米の中に充分水が染み込んでから、ミキサーにかける(少量ずつ)。それを煮てもよい⇒きめの細かい最良の米糊(そして糊漆)ができる。

◎糊漆を作る。米糊が冷えてから、ドンブリ等で、その量をはかる。それと同量の生漆をドンブリで量る。米糊に少しずつ生漆を混ぜていく。生漆を全部混ぜ終わったら、一箆か二箆の生漆を取り出し、更に混ぜ込む・・・少しずつ生漆を足していくことで、糊と漆が充分に混ざることになる。
⇒柔らかい
米糊だと、量が増え、それと同量の生漆を混ぜることになるから、漆分の強い糊漆になる。

◎地の粉下地を作る・・・一辺地、二辺地、三辺地が基本的なものだが、乾漆の場合は、三辺地の子(最も細かいもの)を使えばよいと思う。輪島地の粉は、手に入らない。山科地の粉は入手しやすい。空研ぎで出た粉を篩にかけて(メッシュ#120ほど)、それを使ってもよいと思う。
糊漆地の粉を混ぜる。少し硬くなるほどまで混ぜ込み、箆付けできるほどまで、生漆を混ぜながら追加していく・・・薄く付けるときは、漆を増やす。厚く付けるときは、粉を多くし、乾いてからリグロインで薄めた生漆を吸わせて固める。

◎切り子地を作る・・・錆下地地の子下地を混ぜる。大体同量でよい。

切り子地付け
錆下地を空研ぎしてから、切り子地を一回付ける・・・錆下地のときと同様。

地の粉下地付け
切り子地を空研ぎしてから、地の粉下地を一回付ける or これは、切り子地を付けてもよい
・・・下地の付け方は、同じである。

■石膏原型がうまく出来ていないときは、下地の回数(部分的にも)を増やし、地研ぎで直すことになる。
■一度に下地を厚く付けると、厚さムラが出来、形が狂っていく。
◇石膏雄型の場合、この下地付けは内側になる・・・蓋や身の内側の形を表す。
◇石膏雌型の場合、外側の形を写し取る。

この後、和紙貼り⇒麻布貼り⇒和紙貼り⇒下地付けと作業を進めて、乾漆素地を作り上げることになる。
骨格が、糊漆で固めた五、六枚の麻布で出来ている乾漆素地はその様にして、通常の漆の仕事でする作業を片側からもう一方の側へ順にしていきながら作る。

箆付け
 箆の削り方

上へ

次へ

戻る