箆の削り方(2003.4.29)
鯨箆を削る時、塗師屋刀で削っていくと、中の骨が邪魔をし、刃の減り方が激しくなる。
プラスチック箆や角箆も、刃物で削るのは難しい。
今までは、先の方だけを尖らせて使っていたが、箆の腰を利用できないし、あまり便利でなかった。
特に、うまく使えれば鯨箆ほど便利なものはない感じがする。
塗り境を切ったり、漆ドンブリの漆をきれいに浚えたり、、、できるはずである。
上手な人の鯨箆は、非常に使いやすかったが、自分で削っても上手くいかなかった。
先だけが柔らかくなりすぎたり、しなやかさが足りなかったり、、、
修行もせず、技術も足りない(身体で仕事を身につけているということが無い)者は、楽な方法を考える。
空研ぎペーパーを利用して、大雑把な角度を決める。
ガラス板の上に#80のペーパーを置き、先は研がないように削りこむ。
次に#180、更に#320で、先部分を研がないように削り込む。
骨部分を擦り減らす事を目的にする。
その後は、#1000ぐらいか砥石で、水をつけて研ぐ。
なまくらをすれば、そのまま研いで先をつけることもできるが、調整は刃物でする方が良い。
使う前に砥石で滑らかにするが、上手な人は塗師屋刀だけで先を決める。
どんな仕事でも、ガラス板、箆、刷毛など、滑らかな状態で使えるようにしておくほうが良い。
箆のどちら側を削るか。
片刃の刃物は、裏刃といわれる真っ直ぐな面で削るのが、押して使う塗師屋。
大工道具は、研ぎ面側が木に入っていく。鉋は引くし、ノミは打ち込む。
井波彫刻では、ノミを向こう側に押して使う。裏刃を木に当てる。
箆の使い方には、手前に引く輪島式と横に引く(押す感じ)方式がある。
削る面は同じような気がするが、仕上げに使う面は反対になる。
使うとき擦り減ることが多い側を削るのだろうか。
裏刃側のほうが仕上げに向いているとすれば、輪島式のほうが理にかなっている事になる。
下地を付けるのと、浚えるのでは箆を動かす向きが変わる。
どちらにも使えるのが箆の便利なところ。
柾目でない限り、逆目にならないよう方向を考えて削る。
理屈で考える限り、どちらかに決める根拠があるとは思えない。
箆先の角度が鋭角なら、右利きにとって、箆先を左にして削る方が、箆の使う先が真っ直ぐに近い感じになる=削り易い。
(箆先は、ここでは、箆として使う細い先端部分の頭−木目が通っている側、斜めになっているとき鋭角になる側)5.1