〔半焼き漆、箱の内側の上塗り〕 〔半焼き漆+蝋色漆の塗り〕 〔焼き漆(半焼き?)の塗り〕 〔付け、焼き漆を混ぜ〕
〔焼き漆:木地呂漆=4:6の上塗り10.18〕 〔焼き漆を混ぜた黒漆塗り11.1〕 〔土鍋で焼く11.2〕 〔黒漆を土鍋で焼く11.9〕
〔付けをとる 11.10−〕 〔塗り立て用黒漆をどう作る?〕 〔もう一度A社で 11.17−〕
〔蝋色が上がるか?〕
漆の乾きが速すぎる時、乾かない漆を混ぜて、乾きを遅くする。
漆を焼くと乾かなくなる。
焼き漆のもう一つの使い方は、塗り、胴擦りした面に模様を描いて、吸い上げる。
これが基本的な使い方。
漆に加熱し、泡が噴いてきたら、焼けたことになると言われている。
白漆を白に近づけるため、焼いた漆を混ぜるとT氏が言っていた。
個人的に火事が怖いこともあるし、以前Sa先生が漆を焼くと漆がかわいそうだといっていたこともあり、ほとんどしたことがない。
エアコンを持っていないとき、梅雨時期の上塗りのためにしたことがある程度だ。
この前、O先生が艶を落とすとき、焼き漆を混ぜると言われた。
A社で漆を塗るとき、エアコンがないので、きわめて薄く塗るしか方法がない。
今日、乾きを遅くすることと艶を落とすこと(一流の塗師は、美として艶を考えるが、腕の悪い塗師はゴミを隠そうと艶を考える)を目指し、漆を焼いてみることにした。
弱火より少しだけ強めにガスの火でドンブリを加熱した。
泡を噴く前に、カチンという音がしたので、ドンブリに亀裂が走ったと判断し、加熱を中止した。
どの程度乾きに影響がでるか分からないが、それに少量の何もしない黒蝋色漆を混ぜた。
湿度の高いときに塗る厚さより少しだけ厚めに塗ってみた。
多少流れがよい感じがしたが、、、単に縮むだけかもしれない(今日も湿度は高い)。
四角い箱の内側に塗ったのだが、底(見込み)にムラ少なくわたし、均してから、仕上げにかかる。
刷毛は立ち気味に使うしかない(底まで深いので)。
刷毛に多少漆が付き気味に(溜まったようなのはドンブリ角で少し扱き取る)、ほとんど向側の壁にぶつかるぐらいまで刷毛を引いた。
今までは向側の壁にぶつかる前に刷毛をソッと引き上げる感じを目指していたが、打ち込みあたりに深い刷毛筋が残った。
ぶつかる直前に少し刷毛を上げる感じにしてみた。
中央で塗りが重なるあたりに刷毛ムラが目立っていたので、そこは見ながら、縦に引き出す感じで真ん中辺りまで手直し。
枕刷毛(五分刷毛を使う)で隠れる幅以上にムラが残らないように努力した=手直しも。
隅出しも、注意力が散漫になると、塗り面に傷をつけたり、穴をあけたりするので、よく見ておこなった。
いつもより厚めの塗りだったので、失敗しているかもしれない。
9.22(月)二日前の塗りの結果
自分の塗りとすれば、刷毛筋もかなり流れ、ゴミを除けば、上手くいったと言えそうだ。
塗りに注意が足りなかった部分が一部にはあったが、、、
蓋の方に打ち込みが残って見えたのは、浅いから、横方向から光を当てて見ることが出来るからか?艶が消えたかどうかに関しては、よく分からない。
もともと艶が消え気味のヤナセの黒蝋色漆だから、あまり変化を感じない。
以前塗った場所と比較して、今回は流れている分、艶が一定に見える感じがするだけだ。今回の塗りの厚さは、普通に粗渡しをして全体に広げた時にわたるぐらいだった。
乾きが速い時期は、縮むなと判断し、少し浚え取るぐらいの厚さ。
格別厚すぎるというほどではない。
そもそも厚塗りは難しい=ムラ塗りになりやすい。
焼き漆をする為に出した漆桶に残る、そのままの蝋色漆には、塗り終わる2時間弱の間に皮が張っていた。
焼き漆の方は、ほんの少し粘りが出たか出ないかというぐらいの変化しかなかった。昔は掃除機もなかったし、エアーで吹き飛ばすこともなかった。
A社には掃除機もないが、どうすればいいのだろうか?
昨日家で塗った木魚は、塗った直後はあまりゴミはなかったが、返しを取る為、戸をあけて手で持ったりしているうちに段々ゴミが付いていくのが分かった。返しをする道具の木口にせめて拭き漆をしておくべきだったと、その時気が付いた。身体や部屋のゴミも飛び回ったろうが、、、泡が噴くまで漆を焼いていないのに、これだけ乾きが遅くなったということは、ラッカーゼの働きをはんごろしにするには、沸騰させる必要がないということになる。
漆には焼き付けという乾かし方があるそうだから、ウルシオール自体は熱にやられてしまうことはない。
漆の沸点が何度か知らないし、温度計を入れてみる気もないが、水とは違うだろう(水なら不純物が混ざっていれば沸点上昇ということもある)。
焼き漆で一番嫌な点は、火に掛ける事だが、その次は、どうしようもない臭いだ。
今回は、ドンブリに亀裂が走ったおかげで、何か臭い始めたかどうかというところで火を止めた。
ドンブリの上の方を触った感じでは、60度はないのではないか?
時間にして数分、3分ぐらいだったかもしれない、火に掛けていたのは。漆が流れるということの為には、刷毛筋の表面張力とでも言えるものが破られる厚さに漆が塗られている必要がある。
表面張力といえるかどうかは分からないが、それをほんの少しでも上回れば、流れるはずである。
漆に水分が多すぎれば、流れる厚さ以下でも縮んでしまう。
漆の中に表面張力を弱める油分などを混ぜれば、少し薄くても流れてくれるかもしれない。
しかし、この二つの場合は、条件が変わってしまっているので、ここでは問題外である。
表面張力を超える厚さであっても流れない場合は、どうして起こるか。
湿度が高すぎ、流れる前に乾き始めるからだろう。
漆を焼いて、流れがよくなる理由はそこにしかない。
焼くことで漆の中の成分の何かが表面張力を弱める物質に変化する可能性もないではないが、、、
9.23(火)
本に書いてある、漆の技法を説明する文章では必ず、漆が乾くために約80パーセントの湿度がいるとあったが、全く納得できなかった。
湿度計を変えても、黒蝋色漆や透き漆は60%余りで乾いている。
木魚を塗った朱漆は、80パーセントほどに保つことでやっと艶が落ちていった。
Koさんの話では、塗りたて漆が乾かないと何日後かででも、返しを取ることができたとのことだった。
文章の説明が正しいとすれば、極めて乾きの遅い漆を使って、大抵の産地では、上塗りをしていることになる。
刷毛筋が流れないことを、今までは腕が悪いとだけ考えていた。
漆をある程度焼くだけで、かなりきれいに流れるということは、産地の塗りたて職人は、乾きの極めて遅い漆を持っているのだろうと推定させる。
蝋色仕上げなら、そんなに遅い漆だと、乾き不十分で失敗する可能性がある。輪島でビデオを見ていたとき、Sa先生が奥さんに、A地先生の塗り方を見て、テレビ用の塗り方をしている、実際の塗り方は違っていたと話しているのが聞こえてきた。
金沢で教えてもらった時も、例えば、蓋の外脇を塗るとき、くるくる回しながら粗渡しをされたが、それを目を丸くして見ていると、一面ずつ渡しても良いのだと、そういう塗り方の手本を見せてくださった。
素人でも塗れる塗り方は、失敗が少ない塗り方である。
効率が悪く、無駄な刷毛の動きをし、ゴミを付け、刷毛筋を残し易いとは言えようが。
9.26(金) 半焼き漆+蝋色漆の塗り
昨日まで雨続きで、今朝は曇、段々晴れてきたので、A社で、9.20の焼き漆とそのままのヤナセの蝋色漆を半々ほど混ぜ、仏壇の一部である、小さい板(貝入り)3枚を塗った。
3時間後には、ほとんど乾き、最初、少し厚めに塗ったのは、貝の周りに小さい縮ができていた。
考えられないほどの乾き具合だ。
臭いが出始めたほどしか焼いていない時は、そのまま使うしかないようだ。どこかでも書いているが(思い出せない)、貝が貼ってある時は、隅を浚える必要がある。
中野先生の研修会で、どんな時も上塗りは一回だけだとおっしゃっていたので、貝物の塗りも一回だけにすることにした。
以前は、貝の回りに極めて薄く漆を塗ってかかった(または、全体に極めて薄く小中塗りを入れる)。
それから艶を消し、上塗りをし、隅が溜まっているときは、浚えた。
貝を貼っただけの状態で上塗りすれば、隅は直角で緩くないから、漆が余計溜まる。
その分、隅をキチンと浚える必要がある。
隅の浚え方だが、習ったのは、隅(貝)に向かって3分刷毛で漆を浚える方法だった。
ずっとそうしていたが、貝の周りに漆の段というか、波というか、塗り面にムラができる。
それを解決する為に、貝の上から隅の漆をソッと引き上げる方法を考えついた。
そのついでに、貝の上の余分の漆もできれば取り除くようにした。
こうすれば塗り面にほとんど刷毛跡を残さず、隅を浚えることができる。
浚え不足だと、今日のように失敗することもあるが、、、
10.1(水)
9.26の塗りの結果は、刷毛筋は残り、貝の周囲の縮みは細かいとはいえ、多数発生していた。
先の細い石で縮みを潰しても、ほとんど効果はない。
むしろ乾いてから、塗り直した方が縮みは隠れてくれる。10.2高岡では膠で貼っているので、一回塗りでは隅がきつすぎる。
漆で貼れば、貝の周りに少し漆が廻り、隅は少し緩くなっている。
膠での場合は、隅をより厳重に浚えておく必要がある。
9.20に塗った箱の端に縮みがある部分があった。
半焼き漆(?)は、粘りがひどい。
内底の枕にあたる両側に少し多め(と言うか、全体として平均に)、漆を渡しておく。
この前は焼いた余熱で緩い気がしたが、今日は重く、刷毛を向かい側まで持っていくことができなかった。
途中で抜き上げた。
正確に塗ることを心掛けたが、、、?
湿度は分からないが、ほとんど乾かない感じがした。
明日どうなっているか?
10.4(土)
艶が消えた状態で乾いていた。
内側に縮みなし。外脇の下端2箇所に小さな縮み。
粘りは、思ったほど悪影響はなかったが、何となくすっきりしない感じ。
内底(見込み)を静岡炭で研ぐと、山と山の間が8mm−5mmほど…周囲の方が少し薄い塗りになっていた。
焼いてない漆だと、8mmほどの間に、もう2つの山ができているだろう。
谷も浅いので、蝋色研ぎは楽だった。
山と山の間があと倍広ければ、塗り立てでもきれいに見えるだろう。
結局、漆の性質で塗り上がりが違うということに過ぎないのか。
どう漆を調合しているか、教えてくれる人はほとんどいない。
結果として上手く塗りあがれば、それで良いのだろうか?
何か十分に解明していない感じがするが、、、
完全に焼き漆にした場合は、蝋色漆とどういう比率で混ぜるかが問題になる。
付けを取るしかない。
黒の塗り立てに使う漆(油なし)の情報をもっていない。
A社で、ブリキの箱に入れて、泡立つまで漆を焼く。
黒漆と朱合い蝋色漆(ともにヤナセの漆)。
付けを取る−湿度計も無いし、湿度を調整する設備もない。
3畳ぐらいの部屋の戸を閉め、床に水をまいておくだけ−ずっと晴天続き。
蝋色漆 1:0 2:1 1:1 1:2 0:1 焼き漆 朱合い 乾いていた
縮み乾いていた
縮みかなり白っぽい
少しだけ光る乾いていた
縮み爪が立つ
縮み
少し爪が立つ光ったまま
僅かに霞光ったまま
少し霞ほぼ乾く
縮み
爪が立つ縮み
かなり爪が立つ光ったまま 光ったまま
僅かに霞かなり白っぽい
少しだけ光る縮みもあるが
灯油で拭くと取れる朱合い 木地呂 乾いていた
縮み乾いていた
縮みほぼ乾く
縮み光ったまま
少し霞かなり白っぽい
少しだけ光る乾いていた
縮み
爪が立つ縮み
少し爪が立つ−
朱合い 黒 乾いていた
縮み 黒っぽい乾いていた
縮み乾いていた
縮み乾いていた
縮み光ったまま
僅かに霞光ったまま
少し霞乾いていた
縮み
少し爪が立つ黒 黒色…10.8(水)朝の状態。
青色…ダンボールに入れ、湿りをする。1―3時間後の状態。
橙色…夕方(8時間後)の状態。
爪が立つ=縮んでいない、通常の厚さのところで赤色…10.9(木)、前日から湿りの中。
漆の焼き具合
朱合い蝋色漆…大きく泡立つ
黒蝋色漆…小さく泡が立ち、全体を箆でまわし、ほぼ熱がまわった状態まで。焼いても乾くということが分かった。
付けの厚み
箆で混合したのは厚い。一部指で伸ばし、通常の厚さにして置く。
通常の厚さのところは縮まない。いくら焼いて乾きを遅くしても、厚塗りが出きる訳ではないと分かる。
流れ具合へ影響が、混合比でどう変わるかは、分からない。(10.9)ヤナセの漆の場合、朱合いと木地呂の違いが何か分からない。
多分、朱合いには、少量の油が混ぜてあるのだろう−乾きが少し遅いので。縮みの皺は、左の方が細かく、右に行くに従い粗くなる。
ゆっくりと乾かした場合、右の方は少し厚めでも、縮まないのだろうか?
塗り立てをきれいにする人は、2−3日かけて縮ませないように乾かすそうだから、、、
刷毛筋が流れるまで乾きが遅ければ良いのである。後は徐々に乾いていけばよい。
泡が噴くまで焼くと、3−4割混ぜるのが限界のようだ。
厚塗りは、漆ではありえないということになるか?
艶を消すだけなら、ほんの少しでも良いようだ。(10.17)付けの締まり具合を見ると、焼いたものは共に未だに爪が立つ。
焼かない漆と混ぜたものは、爪が立たないほど硬化していた。
(10.18)蓋紙の穴から滲み出ていた焼き漆は、どちらも、全く硬化していなかった。
A社で、古い、梨地塗りに厚貝のボタンの花の文庫を塗り直す。その他、数点。
厚みがよく分からないが、立っている面は、垂れてこないように薄めに。
横向きの面(甲、裏底、見込みなど)は、やや厚めに−品によって少しずつ変える。
最後に仕上げる刷毛の動かし方は、極端に言えば、指で軽くもって引く感じ−泡を立てない、打ち込みを作らない為。
日中晴れていたが、夕方から雨になる。結果はどうなることやら?
10.20(月) 塗りの結果
湿度調整が出来なかったし、湿度変化も分からない。
高さ1m余の所において合ったのだが、乾いていた。
側面が何かシットリした感じがしたのは何故か?乾きを妨げるものがついていた?流れ具合は、予想より良く、側面を薄く塗っておいたつもりだったが、少し下に垂れ溜まっていた。
平らに置いておいた面は、かなりきれいに流れていた。
もう少し厚くても良いかもしれない感じ。
ゴミを除けば、何とか通用する感じの流れ具合だ。艶の消え具合は、落ち着いた感じで、丁度良いようだ。
返しを取ったり、湿度調整ができるなら、もう少しましになるだろう。(10.21)側面の梨地塗りだったところは、木地が割れボンドで補修してあった。
A社に来て14年ほどで、その時点でそういう状態だったから、かなり古いものだろう。
研いだり洗ったりしてボンドを表面から取り除き、錆で埋めた。
蓋の隣り合う二側面の、今回の塗りが部分的にムラになっていた。
塗膜が浮いている感じのところと、ボンドか何かが残り、はじいた感じのところ。
身の一側面の垂れがひどいので、そのうち縮むだろう。
塗り直したら、透け具合が違ってしまうし、、、
厚貝の上の漆に爪を立てると、まだ乾きが不十分=傷がついた。
焼き漆の量が多すぎたか?(10.22)付けは強い湿りにあわせていたが、今回はそういうことが無い。
今日も、貝の上の漆に爪が立った。(11/4)数日前から、爪は立たなくなったが、#1500ペーパーなどで研ぐと、絡んでくる。
芯までは乾かないようだ。蝋色仕上げには向かないかもしれない。(11/6)二日前に、下の塗膜が割れていた面を塗り直したが、まだ亀裂が残る。
今日も乾きが不十分だった。湿りの中に入れる(夕)。
*10.18の比率では駄目だということになる。
(11/7)締まっていたが、爪は立つ。比率が悪いことが明らか。
10/7に焼いた黒漆は、かなり粘りが出ていた。
上記の比率で混ぜても、粘り過ぎていたので、灯油で展ばす。
1尺2分程の文庫(2組)の内側、仏壇の前に置く感じの台の裏(表に貝で「無量寿」)などを塗る。
最初は、厚めだったが、段々普通よりやや厚い程度に塗る。
晴続きで、焼き漆が混ざっているのに、ドンブリの一部で漆の硬化が始まっていた。
*黒漆は、古くなると粘りが出てくる。焼いた場合も、粘りが出た。
透き漆とはかなり違う変化をするようだ。(11/4)部屋においてあるだけで、乾いていた。
厚めに塗った方が、流れが良かった。
それより薄めに塗ったのも、それなりに流れていたが、、、
11月2日(日) 我が家で、土鍋の中で焼く(ヤナセの漆など色々混ざった透き漆、中国産のみ)
弱火で土鍋に入れた透き漆を加熱。
泡がかなり立つまで加熱、最後強火にしてから、ガスを消す。
余熱を保ったままにしておく。
冷えると、粘々になっていた。土鍋の一部で、漆が乾きかけていた−焼き付け?
約3倍ほどの透き漆(日本産も混ざっている)と混ぜる。
焼き漆が約1/4ぐらいだろう。
黒塗りの上と、溜め塗りの上(結局、朱の上に3回目の透き漆塗りになる)に塗る。焼く漆を取り出した漆に、薄皮が張っていたが、上塗りに使ったのは変化しなかった。
27℃、67%で、一緒に塗った朱が黒っぽく締まり始めている感じがしたので、湿り気を与えていたスポンジを回転風呂から取り出しておく。26℃、60%弱になる。
いろいろあった使いさしの透き漆を一つに纏める−焼き漆の比率は、3%ぐらいか?(11.3結果)朱との関係で湿度を落として60%を切っていたので、乾いていなかった。
60%を超えると少しは艶が落ち始め、65%ぐらいでムラなく乾き出したようだ。
流れは良いが、枕刷毛が決まってない!これは腕の所為だろう。
我が家のいろいろの黒漆を混ぜたものを土鍋で焼く。
全体が泡だった頃に火を消す。
焼き漆が2割ほどになるくらいで、同じ黒漆と混ぜる。
内側の塗り立てに使ったが、結果は?(11.10結果)平地がほぼ全面的に縮む。
懸子…高台底が溜まっているのは分かっていたから、危ない気がしていた。
そこより裏底の方がひどい縮み−削り、研ぎ潰す。
蓋…塗ってから、ゴミを上げている時、厚いかなという気はしていた。
坂下先生に10年前、塗りの手本を見せてもらい、塗りを習った時の厚みよりは厚いと感じていた。
ゴミ上げで塗り面を突付いて、1mmより深い感じがしたから−感覚の問題で、厚みが1oあったわけではない。
身…刷毛筋が残った感じだったので、大丈夫だと思っていたのだが、、、
*16℃、58%で、焼いた分が1-2割だろうと思っていた黒漆が乾いていることが不思議だった。
流れをよくし、ゴミをなくそうとだけ思っていたのが、ひどい縮み。削り、研ぎ潰す。
*ついでに塗った棗も見込みに縮み。内脇に刷毛筋さえ見えた。
今日も黒漆(高野、能作、佐藤、ヤナセなど、中国産・日本産もいろいろ混ざっている)を焼く。
付けをとるしかないと考え、実行。16℃、60-65%か。
11/11朝 15℃65% |
佐藤MR (上澄み) |
ヤナセ (上澄み) |
高野、中国 (上澄み) |
混合漆 (焼き漆) |
ウルシオール (高野にて) |
全部 | 縮み | 縮み | 艶が消える | 光っている | 光っている |
1:1 | 縮み | 縮み | 小さい縮み | 僅かに縮み | 艶が消えかかる |
1:2 | 縮み | 縮み | 縮み | 小さい縮み | 僅かと小さいの間の縮み |
1:3 | 縮み | 縮み | 縮み | 縮み | 小さいよりは余計に縮み |
混合漆 | 縮み |
11月11日夜(約23時間後)の変化 15℃、65%
*焼き漆といっても、厚く塗れるわけではない…乾きが遅いだけ。
成分は変わっていないのだから、乾く漆と混ぜれば同じだということになる。
*上澄みといっても、佐藤・ヤナセは2,3ヶ月ほど放置したもの。
高野は半年−1年ぐらい放置してあった。その差だろう。
*焼き漆の最大の欠点は、粘りが出過ぎることだろう。
*上澄み漆を上手く利用するのが、塗りたてには最も良いのかもしれない。
11/1の塗りの結果だけが頭にあり、11/9に我が家で上塗りし、大失敗した。
読み直すと、A社では、粘りを灯油で展ばしていたようだ。
漆を焼くと、粘りが出すぎるので、素グロメ漆の扱いとは違っても良いのかもしれない。ヤナセの漆は、そんなに古くはない。
我が家で焼いた黒漆かなり古くなっている。
ただでさえ粘り始めている上に、焼いてなお粘りを作ってしまった。
ここに問題点はあるだろうか?漆桶に入れたまま使わないでいると、底に滓のような物が溜まる。
高野行雄さんは、それを混ぜ込まないと乾かないと言っていた。
確かにそうだ。特に生漆では絶対に必要な作業だ。
塗り漆では、ずっと以前から、上澄み部分だけを使えば、流れのよい漆ができるのではないかと考えていた。
黒漆と透き漆では、かなり性質が違う。
透き漆は、新しくてもそれ自体、多少流れがよい−色漆を作るための顔料を混ぜても大丈夫だから、当然だろう。
黒漆の上澄み漆を中心にする。それに透き漆の上澄み漆を混ぜ、更に流れをよくする。
ウルシオールは、上でした付けの結果、乾いた状態はかなり硬い。混ぜて当然だろう。
黒塗りだから、7−8割は黒漆の上澄み漆を使うべきだろう。上澄み漆だけで作れば良い。
付けの結果、ウルシオール以外は、それ自体でも乾く−乾きが遅いだけ。
下が黒で中塗りがキチンとなされているなら、透き漆だけでも良いことになる−黒溜め塗り。
焼き漆は、艶を落とすためだけに使うべきだろう。
木地呂漆を三箆ほど足し、木地呂漆:焼き漆=7:3ぐらいにする。
側面に割れがうつっている面を塗り直す。普通ぐらいの厚さ。塗り面を上向きに置く。
11.18光っていたが、黒っぽく、締まりかけてはいた。
11.19大体乾いていた。比率が変わることで、乾き具合がすごく違う。黒漆は、11.1の塗りと同じものを使う。
かなり薄めに塗る。塗り面を上向きにして置く。
11.18刷毛筋が流れ、光の中に艶が消え出す感じが見えた.
11.19乾いていたが、何となく漆がすっきりしていない。黒漆に関して、焼き漆にしてもよいのは、限られるのかもしれない。
古く、粘りが出ているのは、駄目である。
ヤナセの漆は、古くならない限り、大丈夫のようである。
焼いたことによって出た粘りは、灯油で緩めると良いようだ。
やや固めの漆という程度以上に緩めては、漆が弱くなり、流れも悪くなるようだ。
2004.2.6(金) 前日、A社で焼き漆を混ぜた蝋色漆を塗る
木地呂:焼き朱合い=6:4ほど。
かなり薄め(木地呂だけなら、刷毛筋がそのまま残るくらいの厚さ)に塗るも、徐々に垂れてきた。
今朝は、光ったままで、溜まりが見えた。
貝に漆桶(空になったもの)が接するようにして、返しておく。
夕方には艶が落ちていた。
・尺2ぐらいの胴張りの文庫(厚貝で花)の外側―下の割れは隠れたようだ。
・無量寿と貝で貼ってある台。黒:焼き黒=6:4ほど。
身の裏、箱の内側(数個)。
今朝、艶が落ちていた。縮みはないようだ。
これも蝋色漆だけなら、刷毛筋がかなり残るだろう厚さに塗った。自宅で土鍋で焼くと、余熱でかなり熱を持たせることになる。
金属鍋で泡立つ瞬間に火を消した方が、粘りを少なくするかもしれない。
2.24(火) 焼き漆を4割ほど混ぜた黒漆の蝋色が上がるか?
20日(金)に貝入りの香炉、水指の蓋(だろう)の上塗りをA社でする。
*その前日、少し厚すぎ、縮みが入ったところもあった。厚みは普通以下であること。
21日(土)に蝋色研ぎ、生漆摺り込み―A社には、生正味漆が無い。
23日(月)胴擦り。生漆で摺り。ダンボール箱に布を湿らせて湿り。
24日(火)摺り落とし。普通の蝋色漆ぐらいに1回目の艶になる。
生漆で摺り2回目。ダンボール箱に湿り。25日(水)摺り落とし2回目。普通の蝋色漆の艶。あまり艶を上げないのなら、十分なくらい。
生漆で摺り3回目。ダンボール箱に湿り。
26日(木)摺り落とし3回目。大体艶が上がったが、香炉の塗り直して無い面の艶が上がり過ぎている。
生漆で摺り4回目―香炉2個だけ。ダンボール箱に入れ、湿り。
27日(金)摺り落とし4回目。これで十分な位(塗り直して無い面よりは少し足りないが、、、)。焼き漆が混ざっていると、乾きが遅くなる分、混ざっていない時より、柔らかい。
時間が経てば固くなっていくが、蝋色の仕事は楽だと言えるかもしれない。遠心分離機で水分を抜く方法があるそうだが、風で抜くこともできるか?
土鍋だと、余熱が続くから、水分も抜けては行くだろう。
金鍋なら、加熱が終われば冷めやすく、水分の抜けは少ないだろう。(2.27)