麻布2枚貼り・・・その2(二回目の挑戦)の2

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乾漆食籠 

cf同じ形の作品(通常の作り方)の仕事

2002.8.16(金)

にわか雨で溜まった水を出そうとすると、石膏原稿を包んでいた透明と黒のビニール袋が破れる。
直射日光で袋が傷んでしまったのだろう。
石膏原型をそのまま外に置く。

8.17(土)

日中の天日干しで、熱処理終了(36日間)。
夜、風呂につけ、離型の準備。

*今日は、片付けないままの部屋の掃除・3ヶ月ほど整理をしないまま放ってあった書類のファイル。
アルバムの整理など。

8.18(日)

石膏雌型原型をドライバーで少しずつ壊していく。
素地を水で洗い、陰干し。
*腰痛が3日間続き、あまり動く気になれません。
*砺波市美術館で「NEXT日本画・京都からの表現」と「細川毅木工芸」展を母と見てきました。

8.21(水)

素地から外にはみ出ているバリのようなものを刃物で切り取る。
くっ付いている石膏も削る。
*形は少し合わない−アクリル平面定規で見ると、蓋が少し大きいようだ。
*合い口は水平に合っているので、素地は一応固まっていると言えそうだ。
*違う麻布を貼った懸子も、ほとんど動かない。
*問題が起こるとすれば、下地と布の間の浮きだろう。
*腰痛はまだ治らない−低周波治療器をかけてみてはいるのだが。

8.22(木)

刃物で出ている部分を削る。
#80を両面テープでガラス板に貼り、端と裏底を水平になるよう研ぐ。
*懸子以外、水平はそんなに狂ってない。
アクリル平面定規に合わせて、出ているところを#40布砥で空研ぎ。
研いだところに生漆を摺り込む。
*重さ…蓋140g、身271g、懸子85g。
*大体合っているというのと、キチンと合っているのとは、かなり違う。

8.23(金)

蓋と身を重ね、ずれている部分をチェック。
アクリル平面定規で狂い方を確かめる。
蓋−出ている部分を研ぐ。生漆を吸わせる。
身−足りない部分に錆。穴があいている部分を錆で埋める。
懸子−凹み(端・裏底)に錆。欠けた所にも錆。
*素地の動きが収まっているか不明なので、あまり急いで仕事しても仕方がない。

8.24(土)

蓋と身を重ね、ずれている部分をチェック。
アクリル平面定規で狂い方を確かめる。
身−少し外に出ている部分があったので、空研ぎ。
身の外脇を軽く空研ぎする。
穴や凹みに錆をする。
*必ずと言ってイイほど、素地は動く。

8.25(日)

蓋と身を重ね、ずれている部分をチェック。
アクリル平面定規で狂い方を確かめる。
身−出ている部分を空研ぎ。
入り隅がガタガタなので、錆を付ける。
目立つ凹みに錆。

8.26(月)

蓋と身を重ね、ずれている部分をチェック。
アクリル平面定規で狂い方を確かめる。
身−出ている部分を空研ぎ。足りない部分に錆。
端が狭くなりすぎた、内側に錆。
蓋も含めて、凹みに錆。

8.27(火)

蓋と身を重ね、ずれている部分をチェック。
アクリル平面定規で狂い方を確かめる。
入り隅で、特に身の一ヶ所が凹み過ぎているので、蓋と身を合わせ、ガムテープで固定し、合わせ錆をする−他の入り隅・辺の足りない側にも。
*どう見ても、まだ素地が少し動いているので、焦って作業しても仕方がない。

8.28(水)

蓋と身が合ったまま、荒砥で空研ぎ。
それでも分離しないので、無理に引き離す。
別の位置で、蓋と身を合わせ直し、ガムテープで固定−合わせ錆。+

8.29(木)

空研ぎしようとすると、すぐに分離してしまう。
別の位置で、蓋と身を合わせ直し、ガムテープで固定−合わせ錆。

8.30(金)

入り隅を砥石で空研ぎ。
入り隅の凹みのひどい所に錆。

8.31(土)

アクリル平面定規と合わせて、蓋と身の外形を研ぐ。
入り隅の凹みが直っていない所に錆。

9.1(日)

外形は大体合っている感じなので、身の出ている部分を少し空研ぎする。

高台を作るため、この前の食籠の高台を作った外側の布5枚貼りを利用する。
アクリル平面定規を裏底において、中心を決める−コンパスで高台の位置を描く。
そこに内を刳りぬいた布5枚貼りをおき、ガムテープで固定。
石膏をその内側に落としていき、高台の内型とする。

少ししてから、布の型をソッと外す。

身の端幅が見た目に狭すぎる所の内側に錆を付ける。

*今日は38度以上あったようですが、フェーン現象の風のおかげか、あまり暑く感じませんでした。
午前は、宮の草刈・剪定の枝運びなど、直射日光の下での作業−その時は暑かったですが。
縄胎椀をどう仕上げるか考えましたが、思いつきませんでした。

9.2(月)

端幅を定規で測り、太すぎる所(特に入り隅の内の山)を#80で空研ぎ。
狭い所の内側に、錆を渡し、端幅定規を引く。
*石膏型は湿ったまま−もう少し高台が内に入っても良い気はするが、、、

9.3(火)

端幅を定規で測り直し、太すぎる所を切り出しで削ったり、空研ぎで細くする。
昨日の幅を作った段を埋めながら、もう一度端幅を錆で作る。
入り隅の線が、端と垂直か確かめる−狂っている所を研ぐ。錆で直す。
入り隅の凹みが目立つ所を錆で埋める。

9.4(水)

端幅の段を埋めながら、端幅を揃えるよう錆を引く。
入り隅付近を直す。

9.5(木)

高台を作るため麻紐を6条巻く−糊漆をまぶして。
*棗形の高台にする予定。

9.6(金)

高台の内型である石膏を取り除く−金箆で取ると、壊れてしまう。
端を#80で空研ぎ(廻し研ぎ)−合い口はほとんど合っている。
錆を付けたところを軽く空研ぎし、生漆を摺り込む。

9.7(土)

入り隅の間の小山の位置をアクリル平面定規でチェック。
鉛筆で垂線を書き、ずれている線を荒砥で研いで直す。
入り隅付近を中心に、凹みを錆で埋める。山の作り直し。

9.8(日)

蓋と身を合わせると、合っていない部分がある。
アクリル平面定規に合わせ、出ている部分を研ぐ。
また蓋と身を合わせ、細部の狂いをチェックし、研ぐ。
身の足りない部分に下地を盛る。
*まだ素地が動いているということになる。

9.9(月)

蓋と身を合わせると、身が狂っている感じがした。
アクリル定規に合わせて、身の出ている部分を空研ぎ。
周囲の半分ぐらいを研ぎ込む。
生漆を吸わせ、拭き取る。
*糊漆を作る。

9.10(火)

アクリル平面定規に合わせると、蓋が所々大きくなっていた。
空研ぎで直す。
高台の外側をこくそで埋める。
蓋と身の、端の内と外に生漆を摺り込み、拭き取る。
*端を下にして置いておく−狂わないようにと。

9.11(水)

端付近を空研ぎし、生漆を摺り込む。
*素地の動きをとめるため、生漆で固める方針。
高台のこくそにも、生漆を吸わせる。

9.12(木)

端付近を空研ぎし、生漆を摺り込む。

9.13(金)

端幅を下地で作る。
空研ぎで小さな穴が多数あいたのを下地で埋める。
高台の外側に下地を箆付けし、形作り。

9.14(土)

端幅を作った段を埋める。
高台の外回りの低い所に下地。

9.15(日)

擦りガラスで端を水平に研ぐ。
蓋−少し低い所がある−錆を端全体に箆付け。
身−ほぼ平面ができていたので、生漆を摺り込む。

高台も擦りガラスで水平にしようとしたが、裏底の方が出ている。
裏底を荒砥で水研−直りきらない。
高台に錆地を、轆轤を使って箆付け。

9.16(月)

立ち上がり作り−今回は麻布1枚でやってみる
目の詰まった、少し厚めの柔らかい麻布を2cm幅ほどに切る。
ガラス板に細長く糊漆を渡し、布を置き、糊漆を摺り込む。
身の端の内側に1cmほど糊漆を薄く付けておく。
40分余り、放置。
また身の端の内に薄く糊漆を渡す。
ガラス板に接していた側を、身の内側の糊漆と接するように麻布を貼っていく。
外に出すぎている部分を鋏で切り、すぼめて内に入るようにする。

(約8時間後)立ち上がりの高すぎる所を鋏で切り取る。
外側に歪んで出ているところに切れ目。
幅0.8センチ、長さ2cmほどに麻布を切り、糊漆をつける。
切れ目を絞って、内側から布片を貼る。
cf布3枚の方法・・・2002.6

高台に轆轤を使って、錆地を付ける−裏底を左手で押さえながら左手で廻す。

9.17(火)

立ち上がりの狂いを見て、鋏で切れ目を入れる。
外側をテープで巻き、内にすぼめるようにしてから、内回りに麻布片を貼る。

9.18(水)

立ち上がりの狂いを見て、鋏で切れ目を入れ、場所を調整する。
内側から布片を貼る。

9.19(木)

立ち上がり定規で外に出ている部分をチェックし、切り取る。
立ち上がりで内に入っている部分に切れ目を入れ、手で正しい位置へと動かす。
内側に幅2センチほどの麻布片を貼る−手で持って貼る。

9.20(金)

立ち上がり定規を当て、外に出すぎているところの布を削り取る。
削り取った後・鋏による切れ目跡
その裏側と、押すと布が動く部分(布が1枚になっている所)に布を貼る。
外側の穴の目立つ所に切り子地。

裏底が出過ぎているので、高台を切り子地で作る。

9.21(土)

空研ぎし、内に入りすぎているところに切れ目を入れる。
立ち上がりの内側付近にこくそを箆付け。
外側にこくそを定規で付ける。
高台をこくそで作る。

9.22(日)

〔午前〕立ち上がりを作った布部分を空研ぎ−特に内側を研ぎ込む。
端にこくそ+切り子地を付け、ガラス板に押す。

*懸子を空研ぎする前に載せると、丁度良いぐらいに載る。

〔夜〕立ち上がり定規で確かめ、外側の出ている部分を削る。
立ち上がりを空研ぎ。
内側に切り子地箆付け。
外側は切り子地を定規で付け、整える。
*どうも布1枚の方が優れているようだ。
高台を切り子地で作る−轆轤を使用。

9.23(月)

〔午前〕切り子地を付けたところを空研ぎ。
*高台の一ヶ所、厚すぎたのか乾いていず、取れてしまう。
端の上に切り子地を渡し、ガラス板に押す。

懸子−蓋の中に入れてみると、引っ掛かる所がある。
そこを鉛筆でチェック。
アクリル平面定規で対角線の位置をチェックしながら合わせ、出ている所をチェック。
掛部分と外腰部分を空研ぎで削っていく。

〔夜〕立ち上がりを空研ぎ。
端の両側に貼り落とすように和紙を貼る。1枚だけ。

9.24(火)

〔朝〕空研ぎ。端の狭い所の内側に錆を付ける。

〔夜〕端に錆をつけ、ガラス板に押す。

9.26(木)

立ち上がりの高さをアルミ定規で調べると、12mm以上ある−水平は決まっていない。
立ち上がりの内外への出入りを調べ、足りない側に錆を渡し、端幅定規を引く。

9.27(金)

〔朝〕端に錆を付ける。段を少し埋める。

〔夜〕懸子を載せると、うまく載らない−端幅を作ったため遊びがなくなる。
*太くしないと幅は布の厚みほどしかない。
立ち上がりの外側に錆を渡し、定規を引く。段を埋める。
*かなり内に入り過ぎている感じだった。昨日作った幅で、広すぎる所が出て来た。

9.28(土)

〔朝〕身−端幅を定規で見て、太い部分の内側を荒砥で水研ぎ。
外側も軽く研ぐ。端と底を擦りガラスで水研ぎ。
裏底の出すぎている所を荒砥で水研ぎ。内底も少し研ぐ。
端の内側の段を錆で埋める。
端の外側と端に錆を渡し、定規を引く・端をガラス板に押す。
高台に錆を箆付け(轆轤を使う)・・・これは合わせ研ぎを終えた後の作業。

懸子−身の立ち上がりに嵌まるように外腰あたり(特に、入り隅の付近)を研ぐ。
布が出たので、生漆を吸わせる。

蓋の端を水平研ぎし、身の端を擦り合わせ研ぎ。一辺ずつずらして一周で1セット。
180°、90°、180°と、あわせる位置をずらし、各1セットあわせ研ぎ。
目立つ所に錆。

〔夜〕身に懸子を載せると、遊びが無く、合わせ具合を見ると、隙間が大きい。
擦りガラスで端の水平を作るために研ぐ。

懸子の外形が正確では無い気がしたので、対角線を引き、中心を出す。
コンパスで円を画き、角や辺の、中心からの位置をチェックする。
中心が狂っていたので、1mmほどずらす。
円を画き直し、再度、角や辺の位置をチェックする。
かなり狂っていたので、空研ぎ−荒砥で水研。
遊びは出来たが、隙間は開いたまま。

身の立ち上がり付近に生漆を吸わせる。
懸子の外腰に布が出まくったので、生漆を吸わせる。
身の端に錆をつけ、ガラス板に押す。
懸子の端に錆をつけ、ガラス板に押す。

9.29(日)

〔午前−午後〕懸子・身の端を水平に研ぐ。
端同士は合っている 懸けると隙間が見える
懸子の掛の厚みが揃っていない(定規で確かめる)ので、裏側に錆をつけ、定規を引く。
掛の上端に錆箆付け。裏底のガタガタしている所にも錆。

身の立ち上がり端幅を揃え直すため、内側に錆を渡し、定規を引く−かなり段ができる。
高台を錆で作る(轆轤を使用)。

蓋の見込みを荒砥で研ぐ。中央部分の布が出る。
甲を荒砥で研ぐ。中央を研ぎ、それから角方向に研ぎ下ろす。
刃物の木屋で買った、先にアールの付いた両側刃で布部分を削る。
布部分・合い口端・甲に生漆を吸わせる。
見込みの凹み、甲の穴などに錆。

〔夜〕錆を研いで、懸子を身の端に載せる。隙間が残る。
懸子の裏に錆を付け、暫く置く−身の端に押す。
錆の乱れを箆で直す。
*押し地の方法。
凹みの目立つ所に錆(蓋・身・懸子)。

9.30(月)

〔朝〕懸子の裏に錆を付け、暫く置く−身の端に押す。
目立つ凹みに錆。

〔夜〕錆を研いで、懸子を身の端に載せる−少しだけガタが残る。
端・底の水平を出すよう研ぐ。
身の裏底・蓋の見込みを研ぐ−生漆を吸わせる。
懸子の裏に錆を付け、暫く置く−身の端に押す。
凹みに錆。
蓋の入り隅の小山を錆で作り直す−垂直定規を中心にして右半分を作る。
*小山の形のアルミで作った箆では、うまく出来ず。

10.1(火)

*(朝)湿り風呂の戸を閉め忘れていて、一部硬化不足。作業中止。

〔夜〕懸子を身の端に擦り合せ研ぎ。懸子の掛の外側の幅を錆で揃える。
懸子の裏底の外周部の低い所に錆。
身の高台のふくらみの不足部分に錆。
蓋の小山の片側を錆で作る。

10.2(水)

〔朝〕懸子の掛の裏の段を錆で埋める。

〔夜〕懸子を載せた時のガタはなくなった。

蓋の小山を基準に、身の山の位置を鉛筆で書く。

身の片側に錆で山を作る。
右側に盛る 
懸子の外腰周りに錆箆付け。

10.3(木)

身−小山の左側を錆で造形。線はガタガタ。
懸子−端と裏の外周に錆。
*腰痛で余り仕事をせず。

10.5(土)

身−蓋を基準に小山の位置をチェック。2箇所ずれていた。
荒砥でガタガタの線を研ぎ、直す。
研ぎで直りきらないところに錆を付ける。
内脇の凹みに錆。

懸子−入り隅になるところをアクリル平面定規でチェックし、刃物で切り込みを入れる。
*腰痛が続く。昨日は野崎さんの受賞祝賀会。

10.6(日)

端の水平を作り、蓋と身の合い口を擦り合せる。懸子と身の立ち上がり端を擦り合せる。
高台底の水平研ぎ(身。懸子の裏)。
身の立ち上がりを研ぐ。etc.
凹みに錆。身の小山を錆で作り直す。
*今日は輪島漆芸美術館に行きました。少し直りましたが、腰痛続く。

10.7(月)

懸子、身、蓋を主に荒砥で水研ぎ。
立ち上がりに何箇所か亀裂−多分切れ目を入れた所。
懸子、身、蓋全体にリグロインで薄めた生漆を吸わせる。

10.8(火)

立ち上がりに亀裂が見える(かなり生漆が染み込んではいるが)ので、空研ぎ。
和紙を半分ずつ重ねて貼る−貼り用の麻布吉野紙を主に使用。
薄い麻布吉野紙
懸子の見込み・裏底にひどい凹みがあるので、切り子地箆付け。
蓋の入り隅など、形が出来ていない所に切り子地。etc.

10.9(水)

*昨日の切り子地何ヶ所か、厚すぎて硬化していない部分があった。
浚え取り、周囲を研ぎ込む−懸子の見込み・裏底。
懸子−高台を切り子地で高くする。

身の裏底の周囲が高くなっていたので、荒砥で研ぎ込む。
立ち上がりの内側と外側に薄く切り子地を付ける−昨日より粉分を多くする。
裏底の周囲が低いので、切り子地を渡す。

10.10(木)

蓋と身を合わせ、入り隅中央の小山を名倉砥などで研ぐ。
蓋の外脇を荒砥の丸みで研ぎ、形を作る。
懸子−見込み・裏底の周辺部の低い所に切り子地。
身−入り隅付近の形を切り子地で直す。裏底の周辺部に切り子地。
蓋−入り隅付近の形・外脇の凹みに切り子地。
*錆を少々合わせ、切り子地に混ぜる。

10.11(金)

蓋と身を合わせ、入り隅中央の小山を名倉砥で研ぎ合わせる。
外脇を合い口付近で研ぎ合わせる。荒砥。布目が粗いので、予想通り、空気穴が残っていた!
蓋の外脇を研ぎ込む−小山まで砥石が動き、山を潰した所もある。
身の裏底、懸子の見込み・裏底などを研ぐ。
生漆を吸わせ、拭き取る…蓋の外脇、身の立ち上がりの内から外・入り隅付近。
切り子地付け…蓋の外脇の穴・小山のなくなったところ、身の合い口付近の足りない所(蓋と合わせて)・裏底、懸子の見込み・裏底。

10.12(土)

〔午前−午後〕平地(見込み・裏底)を研ぐ−荒砥→キング#1000。
端をガラス板で水平に研ぐ。
周辺部に切り子地を付ける。凹みを埋める。

〔夕−夜〕蓋と身を合わせ、入り隅中央の小山を名倉砥で研ぎ合わせる。
外脇を合い口付近で研ぎ合わせる。三和#800。
*蓋を上にしたり、裏返しにしたりして研ぐ。
蓋の表側を研ぐ・・・また空気穴が多数あく。
身の外脇・外腰を研ぐ・・・荒砥→三和#800など。

蓋の外脇に生漆−錆で穴を埋める・凹みに錆箆付け。
懸子の高台を錆で作る。
身の外側の凹みに錆。

10.13(日)

〔9am−0:45pm〕内側を主に荒砥で研ぐ−布が出る部分が多いが、研ぎきれないところも多い。
合わせ研ぎ。身の裏底が高台より低くなるよう研ぎ込む(定規で高さを見る)。
全体を研ぐ・・・研ぎ重ねている所は名倉砥など、形が出来ていない所は荒砥。
内側の凹み・布のでた所に錆。

〔夜〕蓋の見込みの錆を研ぐ。
黒漆で中塗り・・・これは研ぎの状態を見るための塗りで、本当の中塗りではない。
懸子の裏側、蓋の表側、身の外側。
今日のぼやき乾漆は石膏原型で決まるというのに、何度も研ぎと下地付けを繰り返し、その上、布まで出して、なんという腕!!

10.14(月)

昨日の塗り、縮みだらけ。湿りの中に置いた為だろう。
平地に縮みがひどい
〔午前〕昨日の錆を荒砥で研ぐ。名倉砥・三和クリスタルなどで研ぐ。
中塗りを入れて、目立つ欠陥に錆−身の高台回りの角のガタガタ、合い口角の小さいガタガタなど。
布のでている所に生漆を吸わせる。

〔夕−夜〕昨日の黒漆に、佐藤喜代松・柳瀬の黒漆を混ぜて、少し柔らかくする。
中塗り・・・蓋の内側(合い口端まで)。身の内側(合い口端まで)。懸子の表側。
*今日は空風呂に置く。50%弱。24℃。

10.15(火)

朝、殆どしまっていたので、湿り風呂へ移す。

〔夜〕縮み部分を荒砥で研ぐ。平面が十分出来ていない所も荒砥で研ぐ。
一昨日塗った側をキング#1000、三和#600or800、名倉砥で研ぐ。
縮みが研ぎきれない−かと言って、破れる事も無い。
錆をみる…蓋の外脇、懸子の平地、身の裏底の周辺部(低い)・外脇など。
*縮みの残るところは、錆をみていない。一部、被ってしまった所はあるが、、

10.16(水)

〔朝〕高台の角を作るため錆を付ける。懸子の見込みの低い所。

〔夜〕端と高台をガラス板で水平にする。
砥石で外側を研ぐ。
懸子の高台を錆で作る。凹みなどに錆。

10.17(木)

〔朝〕懸子の見込みの錆を空研ぎすると、乾いていず取れてしまう。
身の高台の角を作るため錆を付ける。

〔夜〕身と懸子の高台をガラス板で水平に研ぐ。
縮みと錆部分を荒砥で研ぐ。キング#1000などで研ぐ。
中塗り…蓋の外側、懸子の裏側、身の外側。20℃。50%。

10.18(金)

〔朝〕光っていた−湿り風呂へ移す。
1時間後、乾いたので、懸子の凹み部分に下地(錆がなくなっていたので)。

〔夜〕蓋と身の内側、懸子の表側を研ぐ・・・荒砥、キング#1000、三和#600、名倉砥。
蓋と懸子の見込みで、布が出た部分に生漆。
研いでも残る凹みに錆をみる。隅付近に多い。

10.19(土)

錆をキング#1000で研ぎ、他を名倉砥、三和砥で研ぐ。
中塗り…懸子の表、身の内、蓋の内(合い口端まで)。21℃。58%。

10.20(日)

〔朝〕塗りはしまっていたが、湿り風呂に移す。。
(少しして)懸子−高台を錆で作る(轆轤)、見込みの高すぎる所を削り、周囲の低い所(轆轤)・低い所(箆)に錆。
身−凹みに錆。端に錆(轆轤)。
蓋−凹みに錆。

〔夜〕高台・端の水平研ぎ。
隅の形を作るよう研ぐ。
蓋と身を合わせ研ぐ。いろいろ研ぐ。

10.21(月)

主に名倉砥で研ぐ。
蓋の外脇にまた空気穴−刃物で穴をあける。
凹み、穴などに錆。

10.22(火)

錆とまだ研いでなかったところを研ぐ。
立ち上がりに空気穴が見え、刃物で破る−布が取れてくる。
中塗り…蓋の外側、懸子の表側、身の外側。16℃。60%。

10.23(水)

端と高台を擦りガラスで水平にする。
蓋と身の内側を名倉砥、三和、キングで研ぐ。
穴、凹みに錆。

10.24(木)

錆、研ぎ不足部分を砥石で研ぐ。
中塗り…蓋の内−外脇、身の内−外脇、懸子の裏側。18℃。55%。

10.25(金)

朝は、16℃、55%で湿っぽかった(しまってはいる)。湿り風呂へ。

懸子を載せるとガタがある。がたつかない部分を研ぎ落とす。大体合ったら、擦り合せ。
蓋と身を合わせると、入り隅の外側=曲面側の境が乱れているので、研ぎ合わせる。
蓋と身の外側を砥石で研ぐ。懸子の表側を研ぐ。
凹みに錆を見る。

10.26(土)

蓋・身の外側、懸子の表側…錆などを砥石で研ぎ、静岡炭で研ぎ上げる。
中塗り…蓋・身の外側、懸子の表側。20℃、53%。

10.27(日)

朝、12℃、52パーセント。湿っぽい。湿り風呂へ。

端、高台を擦りガラスで水平にし、合い口を擦り合せる。
内側、裏側を砥石で研ぐ。錆を見る。

10.28(月)

錆を砥石で研ぐ。
刷毛筋を静岡炭で研ぐ。
中塗り…蓋・身の内側(合い口まで)、懸子の裏側。11℃、56%。
*気温が低く、漆が粘って塗り斑になる。

10.29(火)

〔夜〕10℃、55%。光っている(少しは、しまっている)。湿り風呂へ。
朝見るのを忘れていた。

赤口朱を練る。20g程を96年に購入した朱合い蝋色漆(高野漆行)で練る。約1時間。
*6年使わずに放ってあったので、蓋紙から5mmほど下がっていたし、分離していた。
混ぜないで使用したが、このままでは多分乾かない漆になっているだろう。混ぜれば、乾く。
木地呂漆を足す。淡口朱(混色)に混ぜる。
金華朱は濁った感じ左から、金華赤口朱、日華本朱、日華赤口朱

10.30(水)

*〔朝〕湿り風呂に入れておいた付けは、黒っぽく乾いていた。縮みも・・・練って木地呂漆を混ぜた漆。

蓋と身の外側、懸子の表側を静岡炭で研ぐ。

10.31(木)

静岡炭で研ぎ上げる。
蓋と身の合い口を擦り合せる。
角を炭で落とす。合い口角は、今回が初めての面取り。

混色した淡口朱に、古くなった黄口を混ぜ、漉す。
蓋と身の外側(合い口端まで)、懸子の表側(掛の外端まで)・・・朱塗り。
*湿り風呂。12℃、68%の湿度計の場所より50センチほど上に置く。

11.1(金)

*朝、光ったまま。垂らしてある布に水を吸わせ、湿りの強化。

朱塗りの上に黄色く見えるのがスポンジ 下の方に湿度計
湿り風呂といっても、プラスチック製のロッカー。上にマットレスのスポンジ、中間に布、下にステンレス板を折って作った水皿で湿気を与える。
端まで朱塗り同じ物でも、写真によって朱が違って見える。実際は右上のような朱。

蓋・身の内側と懸子の裏側を静岡炭で研ぐ。形の出来ていない部分があるので、目の粗い固めの炭を使う。
蓋の内に研ぎ切れない部分があったので、黒漆を薄く渡しておく。
*朱塗りで、蓋の一辺に垂れ縮み・身の外脇に垂れ縮みがあった。

きょうのひとこと
朱を作る時、比重の違いを生かしてみたいと言う一方で、実は赤口朱の古くなったものの流れがよい事を利用し、刷毛直りの良い漆を作っていたのである。油断すると、今回のように流れすぎ、垂れ縮みということにもなる。塗り立てに利用できる。

11.2(土)

蓋内の黒漆による凹み直し部分が炭で研ぎ切れないので、ペーパー#600で研ぐ。
他の研ぎ足りない部分もペーパー#600で研ぐ。
蓋・身の内側と懸子の裏側に黒漆で中塗り。

11.3(日)

外側・表側を静岡炭で研ぐ。
小中塗り・・・懸子−透き漆を表側に塗る。
身−外側に透き漆を塗る(立ち上がりまで)。小山の漆をクジラ箆を寝かせ気味にして浚え、朱漆を2分刷毛で塗る。
蓋−甲を朱漆、肩から外脇・合い口端まで透き漆を塗り、間を暈かす。小山の漆を浚え、朱漆。

 小中塗り(返しを取らない場合)

覗き窓と湿度計 手動で返し、棒で支える空風呂
ファンヒーターで、15℃、55パーセントほど。今日の最高気温は8℃ほどだったそうだ。

11.4(月)

気温が低く、雨続き。
透き漆は少し黒ずんだが、乾いていない。

11.5(火)

透き漆は乾いたが、朱は少し息が残る程度。
*低温続きで、乾きが非常に悪い。

11.6(水)

*久し振りに晴れたり、湿り気を与えてあった為か、朱は乾いていた。
静岡炭で外側を研ぐ。
*身の入り隅の端付近に朱が溜まり、縮んでいる部分があった。

11.7(木)

静岡炭で朱塗りの部分を研ぎ上げる。
身の入り隅の朱の縮みを研ぐと、まだ不硬化のところがある。
*今日の上塗りを朱を使う蓋だけにすることにした。
甲を淡口朱、周囲(外脇・端まで)を透き漆、間を暈かす。
身の入り隅の塗りが破れてしまった所に薄く朱・透き漆塗り。
*今日は久し振りに朝から晴れ、気温も平年並みに近かったそうだ。20℃、60%−ファンヒーター。
2日から5日まで都合で仕事があまり出来なかった。あと1週間で完成させなければならないが、都合を理由に止めれば、尚気の毒になるだろう。

11.8(金)

*蓋…(朝)14℃、67%−透きはしまっていたが、暈かし部分は光っていた(当然、朱も)。
加湿シートに加熱し、73パーセントほどにしてから、加熱を止める。
(夜)14℃、70%ほど。朱が暗い感じに見えた。以上全て覗き窓からの観察。
湿り風呂へ移動する時見ると、乾いていた。赤口に近い発色。

懸子・身…昨日のつづくり(朱・透き)、研ぎ足りない所を静岡炭で研ぐ。
透き漆で外側の上塗り。20℃、60%−ファンヒーター。

11.9(土)

*朝、10℃、70%−しまっていた。加湿シートで78%。

内側を静岡炭で研ぐ。
能作黒漆(日本産)で内側・裏側(懸子)上塗り。8℃、60%。ファンヒーターをつけ、16℃、58%。
*ゴミが付きすぎ、蓋と懸子、クジラ箆で浚え、塗り直す。
*朱の蝋色を考えると、塗り立て仕上げにしないと間に合わないのではないか。
昨日の塗りはゴミが目立つ!!

11.10(日)

*朝、10℃、58%−かなり光っている。加湿とファンヒーター。
*昼下がりには艶が落ちていた。夜に加湿、ファンヒーター。

11.11(月)

*朝見ると、身の内底に縮み−#180で少し研ぐ。

〔夜〕身の内底の縮みを研ぐも、乾いていない。箆で取り除くと、もう一つ下の塗り膜も取れてくる。#360で研ぎ潰す。完全乾燥ではないので、まだ段が残っている。

ゴミがついているので、身の外側・懸子の表を静岡炭で研ぐ。
身の端近くを研ぎ込んで下の朱がかなり目立つようにした−蓋との繋がり方を自然にするため。
身の外側・懸子の表…透き漆で上塗り(直し)。ゴミが目立ち、一度クジラ箆で浚え塗り直す。
20℃、53%。割合暖かい日だったが、ファンヒーター使用。
*この作品の塗りは一度も返しを取っていない

11.12(火)

*6:45am 19℃、58% 光っている
*7pm 16℃、55% 手にとって見ると、全く乾いていない。下に湿らせたスポンジを置くと、少しして60%
*10pm (ファンヒーター)18℃、65%(加湿シートに加熱)

11.13(水)

*6:35am 11℃、61%。乾いていた。ゴミ・刷毛筋が残る。

*7pm まだ乾きが十分ではない感じがしたので、湿り強化。

身の内側を静岡炭で研ぐ。
段が残るので、#360ペーパーで研ぐ。
また静岡炭で研ぎ、#180ペーパーの深い傷が残るので、#700ペーパーで滑らかにする。
能作黒漆をファンヒーターの前に置いておくと、汁っぽくなったが、漉したり、刷毛を洗ったりしているうちに、また粘りが戻ってきた。
身の内側の上塗り(直し)…ゴミを上げていると見込みの半分が厚すぎることに気付いた。
均しなおしたがどうなる事か、、、
*粘りが出すぎて扱いにくくなっている。日本産なのでそのまま使いたいが、今日の状態では無理かもしれない。
10℃、52%。上塗り中消していたファンヒーターをまた点ける。14℃ほど。

11.14(木)

*朝、8℃、55%。光ったまま(僅かに艶が落ちているような、、、)。湿らせたスポンジを下に置く。

*6:45pm 8℃、62%。艶は落ちていた。均し直した所、ガタガタが目立つ。縮みはないようだ。
ファンヒーター、加湿シートで乾きを促進。

*低温と古くなった事と、二つの理由で粘りが出すぎた漆を塗るには、私の刷毛の切り出し方では無理がある。
1ヶ月以上寒さが先に来ているし、室温を十分上げるのは無理だ。
結局、灯油で展ばすしかないのだろうか?

11.15(金)

一応完成。

麻布2枚造りの作品の第2号の制作が終わった。
第1号の冊子箱は大失敗だったが、今回は素地作りとしては成功だった。
蓋と身はトーカイの目の粗い布2枚。
懸子は山下さんよりの目が粗めで固い麻布2まい。
天日による熱処理。
次回は第1号の失敗を取り戻す為、大きい作品に挑戦する事にする。
布は古い蚊帳を使えば良いのではないかと考えている。

11月25日(月)第20回日本伝統漆芸展、入選案内届く。
(富山支部事務局からは、11月21日に連絡があった)

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