Urushi の仕事

麻布二枚貼り(その2)のページに、5月3日以来、小さい文字で書いていた作業の記録の続きをここに書きます。

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cf 2002年8月末に型から抜いた乾漆食籠の仕事

6.9(日)

乾漆食籠(もう一つの食籠と表示していたもの)・・・蓋と身の、合わせ研ぎ。分離した後、アクリル平面定規に合わせて、外形の狂いを研いで直す。
蓋と身を重ね合わせ、合っている2箇所にガムテープを貼り、固定。
蓋と身に合わせ錆。ガムテープを外し、そこにも合わせ錆。

椀・・・作り直した名前を椀の内底に貼る。

6.10(月)

乾漆食籠・・・蓋と身の合わせ研ぎ。入り隅になっている部分も。
分離後、アクリル平面定規に合わせて、出ている部分を研ぐ。
*布が出ながらも、蓋の方が少し大きい-石膏雌型を作るとき失敗し、少し大きくなりすぎた為だろう。
*修正でかなり薄くなっているが、素地作りと熱処理がうまくいったためか、素地は動かない。
重ね合わせると、大体合っている感じなので、生漆を外脇(布が出ている)に吸わせ、拭き取る。

椀・・・貝の上に字を書いた漆を刃物で削り取ろうとしたが、なかなかうまくいかない。
細く、先が斜めになっている彫刻刀で削って、少しは取れるようになる。

6.11(火)

乾漆食籠・・・アクリル平面定規に合わせて、蓋の出ている部分を砥石で空研ぎ。
*入り隅にも注意。やはり少し大きい。
蓋に合わせて、身の狂いを見る。辺はほとんど合っている。
*身はアクリル定規と合っていた。入り隅の狂いを研ぎ、直す。
蓋の外脇に生漆を摺りこみ拭き取る。端幅を切り子地で揃える(幅定規)。
身の端幅のうち、細いところを切り子地で作る-ほとんどは太すぎる。目立つ穴などを埋める。
*立ち上がりを付けるための準備。高台の事は、まだ決めていない。

椀・・・残り3個の貝の上の漆を剥く。テープで滓を取り除くと、細かい字の貝が剥がれてしまう。付け直す。

箸・・・頭の木を埋めたところに切り子地を付ける。

6.12(水)

乾漆食籠・・・入り隅の形がアクリル定規と合うか見て、浅いところを砥石で空研ぎ。
身の端幅の広いところを削ったり(切り出し)、空研ぎしたりして、幅定規が動くようにする。
切り子地で端幅を作る−揃える。
蓋の端幅を作った段を埋め、同時にもう一度端幅を切り子地で作る。

箸・・・頭を空研ぎし、生漆を摺り込む。

6.13(木)

乾漆食籠・・・(朝)空研ぎ。どうも蓋が少し動いているようである。
(夜)端幅を作る-段も埋める。
ガラス板に麻布を貼る−高台作りのため。

箸・・・頭に切り子地を付ける。

6.14(金)

乾漆食籠・・・(朝)身の端に切り子地箆付け。
(夜)擦りガラスに水・砥粉で、端の水平研ぎ。蓋と身の間に少し隙間が残る。
端幅作りによる段を埋める。
蓋・身とも、錆下地箆付け。

箸・・・頭に錆下地付け。

6.15(土)

乾漆食籠・・・(朝)身の端、擦りガラスで研ぐ−生漆を摺り込む。
(夜)蓋の端、擦りガラスで研ぐ−水平が出ないので、錆下地箆付け。
  *蓋は外側に向けて少し膨らんでいる。
身に立ち上がりを付ける
 *中目−細目−中目の順に、ガラス板に麻布を糊漆(地の粉入り)で貼り重ねる。幅2.5cmほど。
  箆で糊漆をしごき取り、30分ほど放置する。
 *身の内脇の端付近(立ち上がりを取り付ける位置)にも薄く糊漆を渡しておく。
  約30分後、もう一度糊漆を渡す。
 *3枚貼りの麻布を打脇に貼り付けていく。
  12mmほどの高さが端より上に出るように貼り付けていく。
  押さえの道具が無くても、そのまま布はくっ付いている。
  布が内とか外とかへ歪んだところは、鋏で切れ目を入れて、大体真っ直ぐになるように直す。
  約10分後、更に15分後ぐらいに歪みを手で直す−余り直らず、鋏で切れ目を入れ直す。
cf布1枚でつくる・・・2002.9
高台用に固い麻布を貼る・・・2枚目。

箸・・・頭を砥石で空研ぎし、生漆を摺り込む。

6.16(日)

乾漆食籠・・・(午前)身の立ち上がり・高台、つまり昨日布を貼ったところを空研ぎ。
(夜)立ち上がりの内に中目の麻布を貼る−約1.5cm分の高さで。
高台用に固い麻布を貼り重ねる−3枚目。ともに地の子入りの糊漆で。

椀5個・・・貝が取れないように気をつけて、艶消し。
水銀朱(本朱)で、内側に小中塗り。内8回目の塗り。
箸の頭にも本朱を塗る−指で。  竹筒の内、刷毛塗り。

6.17(月)

乾漆食籠…(朝)空研ぎ。

(夜)立ち上がりの内に中目の麻布を貼る−約2.5cm分の高さで。
蓋の入り隅の線が狂っているので、錆下地を付ける。懸子の裏の凹みにも。

*昨日の本朱・・・朝24℃、67%で、大体乾いていた。

6.18(火)

乾漆食籠・・・(朝)空研ぎ。

(夜)立ち上がりが、かなり外に出ている感じなので、定規を当てて確かめる。
V字形に切れ目を入れ、(立ち上がりの)端を絞っていく−かなり固くなっているので、あまり動かない。
内側に1cm幅くらいの麻布を貼る−目の詰まった布。
高台用に麻布4枚目。

6.19(水)

乾漆食籠・・・(朝)空研ぎ。内側の布がかなり浮いていた−切り取る。
中目の麻布を貼り直す。凹みのひどいところにこくそ。

(夜)立ち上がり用定規を作る。
それに合わせて、立ち上がりの出ているところを丸ノミで削る。
幅2.5cmほどの、中目の麻布を立ち上がりの内側に貼る。
立ち上がりの外側のV字形の溝を刻苧で埋める。
身の入り隅を錆で埋め、緩い感じにする。
高台用に麻布5枚目。

6.20(木)

乾漆食籠・・・(朝)空研ぎ。

(夜)懸子を乗せてみると、端が狭くなりすぎていて、嵌まらない。
立ち上がり定規を垂直に近いように作り直す。
定規に合わせて、外に出すぎている部分を丸ノミで削る。
定規に合わせて、端が内に入り過ぎている部分を鋏で切って広げる。
定規に合わせて、端付近に刻苧を付けていく。
*刻苧綿は、
使う直前にミルサーにかけると、ふんわりとしたようになり、糊漆とうまく混ざる。
*懸子を立ち上がりの端に嵌めておく。

6.21(金)

乾漆食籠・・・(朝)空研ぎ。刻苧なので、少し乾き悪い。
*高台用を、熱処理中の食籠と同じ、透明のビニール袋に入れて、一日だけ熱処理。

(夜)高台用をガラス板から剥がし、サークルカッターで直径16cmあまりの円に切る。
蓋の端を擦りガラスで水平に研ぐ−生漆を摺り込む。
身の立ち上がりを定規に合わせてチェックする−まだ内に入る過ぎているところがある。
また鋏で切れ目を入れ、外へ押し広げる。
端付近に刻苧+下地を付け、定規を引く。

6.22(土)

乾漆食籠・・・(夜)身の立ち上がりを付けた下の部分が膨らんでいるので、切り出しで削り取る。
リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
*もっと端が外に出ないといけない。

(深夜)身の内側の凹みを刻苧で埋める。
立ち上がりの外と端に刻苧を渡し、定規を引く。

6.23(日)

乾漆食籠・・・(午前)身の立ち上がり付近を空研ぎ(#80or#180)。刻苧の乾き、不十分。
懸子が嵌まらないので、砥石で水研。内の角に錆を付ける。
蓋の甲を少し研ぐ。端の足りないところに錆下地を付ける。

(夕〜夜)身の立ち上がりを刃物で削る。#40or#80で空研ぎ。端周りに錆(一部刻苧入り)。
高台用の内側を直径13.9ミリで、サークルカッターで切り抜く。
懸子がまだ嵌まらないので、立ち上がりの外回りを#40or#80で空研ぎ。
まだ嵌まりにくいので、彫刻刀で削る。生漆を吸わせる。

6.24(月)

乾漆食籠・・・(朝)身の空研ぎ。立ち上がり(ヤロウ=薬籠合口)の外側に定規で錆を付ける。

(夜)*懸子をのせると、まだ少しキツイ。
身の立ち上がりの外側を#180で空研ぎ。端幅定規で、端幅を確かめ、太い所を削る。内側も#180で空研ぎ。
懸子の外脇周りを#180で空研ぎ。
身の裏底を荒砥で水研ぎ。高台の位置をトースカンで確かめて決め、鉛筆で高台をなぞる−作図に当たる。
身と懸子の空研ぎしたところに、リグロインで薄めた生漆を十分吸わせる。
身の内に空の漆桶を二つ重ねて置き、裏底が上になるように置く・・・高台に木の粉入りの糊漆をつけ、貼り付ける−ガラス板を載せ、その上に重石。

6.25(火)

乾漆食籠・・・(朝)身の立ち上がりの内側に錆下地を付け、凸凹を直す。
その外側と端に錆下地を渡し、定規を引く。高台外隅に、こくそ。

(夜)身の立ち上がりの両側を砥石で水研ぎ。
そこに和紙を貼る。
高台外隅にこくそ(木の粉入り)を竹箆で詰める。
懸子の外脇の入り隅を丸ノミ(小)で削り、遊びを作る。
その外脇を砥石で水研ぎし、生漆を摺り込む。

6.26(水)

乾漆食籠・・・(朝)身の立ち上がり付近、空研ぎ。
見た目に端幅が狭いところに錆。高台底にこくそ。

(夜)*身と、懸子と蓋の被り具合を確かめ、キツイ部分を研いで直す−被せたまま上下逆にして、ズレ具合を見たり、合い口に少し隙間を空け、どの部分が遊びが少ないかを見たりして、視覚的にチェックできる。
身は、凹みに錆・高台の形(畳ズレ)と補強など。
懸子は、砥ぎ込んだところに生漆・高台作りなど。
蓋は、肩付近を研ぐなど。

6.27(木)

乾漆食籠・・・(朝)身の端に錆下地付け。懸子の高台作り。

(夜)荒砥・中砥などで水研ぎ。
   ・蓋と身の入り隅、合わせ研ぎ。
   ・研いであった部分を除き、全体を研ぐ−蓋・身・懸子
リグロインで薄めた生漆を吸わせ、拭き取る。
錆下地合わせ。

6.28(金)

乾漆食籠・・・(朝)身・懸子の高台作り−身は箆付け、懸子は定規で。

(夜)身の高台用定規をアルミ片で作る。
入り隅の間の小山を作る定規をアルミ片で作る。
*全て立ち上がり用定規と同じアルミ片に作る−使わない辺を利用する。
蓋は、入り隅の間の小山作り。
身は、内隅・内脇の凹み、入り隅の間の小山、高台作り。
懸子は、高台作り。

6.29(土)

乾漆食籠・・・(朝)蓋・身の入り隅の間の小山作り。
身の高台の低いところなどに錆・懸子の高台作り。

(夜)名倉砥を鑢で削り、小山用の砥石を作る。
ほぼ全体を砥石で水研ぎ。
高台などに生漆を摺り込む。
中塗り−蓋の外、身の内から外脇、懸子の内から外縁。

椀5個・・・端に黒漆塗り。
*明日(実は、もう今日なんですが)、大場先生の研究会が開かれますので、少し遅くなりました。
 会費集めの準備もしなければなりません。

6.30(日)

乾漆食籠・・・ヤロウ(薬籠合口用の立ち上がり)が高いということなので、金切り鋏で切る−定規を作ってかかる。
懸子は、ヤロウからスッとかかる程度だということなので、合わせて出過ぎの所を金切り鋏で切る。
身の立ち上がり端に錆下地を渡し、ガラス板に押す。
身の入り隅の凹みすぎ(形が決まっていないところ)に錆。
懸子の端の外回りに錆。
蓋の入り隅に錆、肩付近の入り隅の続きのところの凹みに錆。
*
大場松魚先生を中心とする研究会が10am-5pmありました−20名余。 写真
*立ち上がりの高さ、懸子の持ち具合、入り隅付近の処理、蓋から身への面としての滑らかさ、蓋の角の強さの程度、、、
外脇と肩とでは、少し世界が変わる感じのほうが良いのでは、、、
これからまだまだ直していけばよい、、、

7.1(月)

乾漆食籠・・・(朝)身の端に錆を付け、ガラス板に押す。
懸子の端の外回りの、切り過ぎた所に錆を付ける。

(夜)空研ぎし、蓋・身・懸子の関係を調整する。
生漆を吸わせる。
(時間を置いて)身の端に錆を渡す。懸子の外回りにも。

7.2(火)

乾漆食籠・・・(朝)身の端の高さを定規で測ると、一ヶ所を除き、低すぎた。
 錆を渡し、定規を引く。
懸子の端の外回りの、切り過ぎた所に錆を付ける。

(夜)身の内側を荒砥で水研ぎ。懸子の内も。
*入り隅付近の形を作る定規を作ろうとしたが、うまく出来ず。
 →蓋の一番形のよい所をアルミ片に写したが、これで良いか?
内側に錆。端に錆を渡し、定規を引く。
懸子の端の外回りの、切り過ぎた所に錆を付ける。

椀5個・・・貝の上の漆を剥く。

7.3(水)

乾漆食籠・・・(朝)身の端付近内側に錆。端に錆を付け、ガラス板に押す。

(夜)身…内側を荒砥で研ぐ。隅を名倉砥で研ぐ。
懸子…荒砥で研ぐ−キング#1000で研ぐ。端の入り隅部分を切り出しで直す。
蓋…見付けを荒砥で研ぐ−キング#1000で研ぐ。甲の不要な角張りを研ぐ。
*端側から見て、一番良い入り隅をアルミ片に写す−削って形を作る(途中)。
全体にリグロインで薄めた生漆を吸わせ、拭き取る。

椀5個・・・貝の上を#1000ペーパーで研ぎ、ステンレス磨き用タワシで艶を消す。

7.4(木)

乾漆食籠・・・(朝)身の端幅を定規で揃える。

(夜)懸子…アクリル板に同心円を描いた自作の12等分分度器で裏側の狂いをチェック。
出過ぎている所を空研ぎ。形を整える為に錆。
身…内側に錆−端幅の段も埋める。
蓋・身の入り隅部分の小山を作り直す。
*入り隅用定規は、形が良いかどうか考えただけ。

7.5(金)

乾漆食籠・・・(朝)身の端の上に錆下地を付ける。

(夜)懸子…裏側よりアクリル12等分分度器で狂いをチェック−入り隅のチェック・のチェック。
砥石で水研ぎ−身の端の内側に嵌まる訳だから、その形を作るため。
*端と底を擦りガラスで水平研ぎ。
身…内側を荒砥で研ぐ。錆の上を研ぐ。入り隅の小山を研ぐ。
蓋…入り隅の小山を研ぐ。
*入り隅の小山付近を錆で作る−定規を利用する。

7.6(土)

乾漆食籠・・・(朝)身の内側、入り隅の小山付近に錆を付ける。

(夜)蓋と身を合わせ研ぐ。

7.7(日)

乾漆食籠・・・蓋の内脇を砥石で水研ぎ−見た目に狂いがなくなるように。
蓋の内脇の山(外の入り隅の内側)が曲がっているので、荒砥で直す。
蓋をアクリル平面定規に合わせると、かなり出ていたので、砥ぎ落とす。
蓋の内脇から外脇まで、生漆を吸わせ、拭き取る。
*蓋の内側を研ぎ落とすことで、蓋と身の左右方向の遊びが、丁度良くなった感じである。
*蓋を中心方向にずらし、隙間の遊びを見る−動きの少ない側の立ち上がりを研いだり、削ったりして、隙間をあける。
蓋と身を重ね合わせ、身の出ているところを研ぐ。
身の入り隅などに錆。
*私の仕事は、基準としてのアクリル平面定規と垂直定規(棒にアルミ片を垂直に取り付ける)、分度器などを使う他は、見た目のよる研ぎで形(形定規を使い錆で造形してかかるが)を作る・合わせ具合を感覚的に調整することで仕上げていくことが多い。

(夕−夜)身の内脇を荒砥で研ぐ−小さ目の中砥で研ぐ。
蓋の内隅を研ぐ。
蓋と身を合わせ、辺と入り隅を研ぎ合わせる。
蓋と身の、残りの外脇を中砥で、それぞれ研ぐ。
高台を水平研ぎ。
研いだ所に生漆を吸わせ、拭き取る。
*中塗りを入れようと考えていたが、まだ無理な感じがする。

7.8(月)

乾漆食籠・・・(朝)蓋と身を合わせ、合い口に錆を渡す−凹んでいる側に。

(夜)合わせ錆でくっついたまま、入り隅の山を研ぎ合わせる。
研いで、分離した後、蓋をアクリル平面定規と比べる−また外へ拡がっている
空研ぎで主に、外に出ている辺を研ぎ落とす。
それに合わせて、身の出ている部分を研ぎ落とす。
生漆を吸わせる。

7.9(火)

乾漆食籠・・・(朝)懸子の表側よりアクリル平面定規で入り隅の位置を確かめ、2箇所直す。

(夜)懸子の形を削ったり、空研ぎしたりして直す。
蓋の外側を砥石で研ぐ−肩にかけての小山の感じも。
*身の辺で足りない部分があるし、小山の感じも良くない。
*調子を変えるというか、花弁の重なりを表現するというか−小山をはさむ入り隅の形を作り直すことにした。
身・蓋の形を定規を使って作り直す−入り隅部分が凹み過ぎていることが多い(特に身)。
蓋の肩にかけての続き具合も錆で作る。
その他、目立つ凹み・高台などに錆。

7.10(水)

乾漆食籠・・・(朝)錆少々。

(夜)*キング#1000で、主に外脇用に(その他の部分用も)形作り砥石を作る−#180ペーパーを研ぐべき場所に当て、砥石を擦り減らして。
入り隅・外脇は丁寧に、その他は大体、砥石で研ぐ。
全体に生漆を吸わせ、拭き取る。
*高台や小山にまだ錆をつける必要がある。

7.11(木)

乾漆食籠・・・(朝)身の小山3本、高台を錆で形直し。

(夜)キング#1000、三和、名倉砥などで研ぐ。
黒漆で中塗り1回目(大場先生研究会で形を見てもらうための塗りは除く)
 懸子−表から高台裏まで。
 身−内から外・高台裏まで。
 蓋−表(外)側。

7.12(金)

乾漆食籠・・・(朝)凹みなどに錆。

(夜)キング#1000、名倉砥などで研ぐ。
黒漆で中塗り1回目−外脇は2回目。
 懸子−裏から端の外縁まで。
 蓋−内側から外脇まで。
 身−裏底から外脇・ヤロウ(立ち上がりの外側)まで。

7.13(土)

乾漆食籠・・・(午前)凹みなどに錆。

(夕−夜)キング#1000で主に研ぐ。
研いだ後、残る凹みに錆。外脇に痩せすぎのところあり。

7.14(日)

乾漆食籠・・・(昼前後、約3.5時間)主にキング#1000で、研ぐ-蓋と身の合わせ研ぎなど。
凹みの残るところに錆。

椀5個、箸の頭、竹筒・・・透漆で小中塗り。32℃、55%−この湿度計は、あまり信用ならない気がしている。

乾漆食籠・・・錆をしたところを#600ペーパーで研ぐ。
透漆で中塗り2回目−外脇は3回目。
 蓋−表(外)側。
 懸子−表から高台裏まで。
 身−内から外・高台裏まで。
*椀の小中塗りの漆を使用した。

7.15(月)

乾漆食籠
*朝、28℃、55%。窓を開けて外の湿気を入れると63パーセント。しまってはいたが、乾き不足。

(夜)*入り隅付近の見た目の印象が、蓋と身でかなり違う。
小さい荒砥を、研ぐ形と逆の形に作り、蓋と身を合わせ研ぐ。
どうなったか見えるよう、指で黒漆を塗る。
*兎に角、全体的に形がまだまだ出来ていない。

7.16(火)

乾漆食籠・・・(朝)入り隅付近の腰に錆−盛り上がりを作るため。

(夜)蓋と身を合わせ研ぐ−入り隅・外脇。
蓋の内、外。身の外、底など。懸子の裏側など。
*主にキング#1000、名倉砥を使用。

7.17(水)

乾漆食籠・・・(朝)入り隅の凹みなどに錆。

(夜)キング#1000などで研ぐ。
黒漆で中塗り2回目−外脇は4回目、但し研ぎ破り多し。
 懸子−裏から端の外縁まで。
 蓋−内側から外脇まで。
 身−裏底から外脇・ヤロウ(立ち上がりの外側)まで。

7.18(木)

乾漆食籠・・・(朝)入り隅付近の腰に錆。

(夜)蓋と身を合わせ研ぐ−入り隅・外脇。
*眠くなったので、中止。

7.19(金)

乾漆食籠・・・(朝)入り隅の凹みなどに錆。

(夜)キング#1000、名倉砥、三和#600などで研ぐ。
平面がきれいに出ないところは、荒砥で研ぐ。
黒漆で中塗り3回目−外脇は5回目。
 懸子−内から外縁まで(高台の手前まで)
 蓋−外側。
 身−内から外脇・腰まで(高台の手前まで)

7.20(土)

椀5個・箸の頭・・・外側の艶を消す(貝剥きもしておく)

乾漆食籠・・・(約3.5時間)キング#1000、名倉砥、三和#600などで研ぐ。
錆に生漆を足し、漉してかかる−あちこちに研いでも残る凹みに錆を見る。

日華淡口20g・黄口5gに透漆7gで練り合わせる。
*重量の違う粉を同時に練ったのは、初めて。

椀5個・・・外側を黒漆で上塗り−30℃、58パーセントほど。
乾漆食籠・・・黒漆で中塗り3回目−外脇は6回目。
 蓋−内側から外脇。
 身−外側。
 懸子−裏から外縁。

7.21(日)

乾漆食籠・・・砥石で研ぐ−徐々に名倉砥の使用を増やす。
黒漆で中塗り4回目−外脇は7回目。
 蓋−外側。
 身−内から外脇・腰まで(高台の手前まで)
 懸子−内から外縁まで(高台の手前まで)
*昨日の朱を少し練り足し、日本産木地呂漆15gと混ぜる−昨年の淡・黄口混と混ぜる。
*昨日の椀1個に塗り残しを見つけ、塗り直す。

7.22(月)

乾漆食籠・・・(朝)内側の凹みなどに錆。

(夜)端・高台の水平研ぎ。
蓋と身の合口端の合わせ研ぎ−合口の外側の合わせ研ぎ。
*この作業は、塗り1回毎にする…塗りにより形が狂うのを直す。
隅・角を除き、主に名倉砥で研ぐ。キング#1000、三和#600・800も使う。
黒漆で中塗り4回目−外脇は8回目。
 蓋−内側から外脇。
 身−外側。
 懸子−裏から外縁。

*30℃、60%ほどだったが、朱の付けは24時間でしまり途中−触ると、湿っぽい。
*昨日の椀、一ヶ所縮み、一ヶ所塗り残し−外側全体をまた塗り直す。

7.23(火)

*椀は大丈夫だった。

乾漆食籠・・・(朝)錆。(夜)研ぎ。
*朱を塗る予定の表・外側を主に研ぐ。
懸子の見込みの隅付近が低いので、錆箆付け。その他、錆。
*雑用が多く、あまり仕事が出来なかった。

7.24(水)

乾漆食籠・・・(夜)砥石で研ぐ。
朱漆で小中塗り1回目(塗り5回目)−外脇9回目。
 懸子−内から外縁。
 身−裏底からヤロウ(立ち上がりの外側)。
 蓋−甲から合い口端。
30℃、60%(スポンジを湿らす前は55%)−11:45pm

7.25(木)

椀5個・・・艶消し。透漆で上塗り。貝の上の漆を毛長3mmの刷毛で浚える。

乾漆食籠・・・朝29.5℃、63パーセント。光ったまま。
夜31℃、65%。しまっていた。
内側等を砥石で研ぐ。錆少々。

7.26(金)

乾漆食籠・・・(朝)錆。

(夜)蓋と身を合わせてみると、狂っている。
アクリル平面定規と蓋を合わせると、蓋3辺が少し外へ出ている。
合い口付近を合わせ直してから、内側(蓋と身)、裏(懸子)を砥石で研ぐ。
黒漆で中塗り5回目。
 蓋−端とその内側。
 身−合い口端とその内側。
 懸子−裏から外縁。

7.27(土)

乾漆食籠・・・外側(主に朱を塗る部分)を静岡炭で研ぐ。
朱漆塗り2回目(塗り6回目)−外脇10回目。
 懸子−内から外縁。
 身−裏底からヤロウ(立ち上がりの外側)。
 蓋−甲から合い口端。
32℃、53%(3:35pm)

7.28(日)

*30℃、55%(3pm頃)−朱、光ったまま。
*下のスポンジを湿らせる・・・3時間半後、30℃、65%−光ったまま。

7.29(月)

*朝28℃、65%−大体しまっていた。

乾漆食籠・・・黒漆を塗る部分を静岡炭で研ぐ。

7.30(火)

乾漆食籠・・・黒塗り以外の朱を塗る予定の部分も静岡炭で研ぐ−完全には研ぎ上げない。
身の裏底を除く、黒塗り部分に黒漆を塗る−6回目。
 蓋−内側立ち上がりと見込み。
 懸子−裏底から外縁。
 身−見込み・内脇・端・ヤロウ(薬籠合口の立ち上がり)。
*33℃、68%ほどだったので、エアコンで落とす−26℃、50%。
*日中も冷房のないところにいるので、体力が持たない感じ。

7.31(水)

乾漆食籠・・・(朝)錆少々。
(夜)朱を塗る部分を静岡炭で研ぎ上げる。身の裏底も研ぎ上げる。
朱で小中塗り(7回目の塗り)−入り隅の小山は、赤口。大部分は、淡口+黄口。
 懸子−内側から掛の外縁。
 身−裏底(仕上げは黒塗り)から外脇、合口端。
 蓋−甲から外脇、合口端。
*34℃、64%だったので、エアコンで落とす−27℃、58%。

8.1(木)

*朝28℃、58%、光ったまま−下のスポンジを湿らせる。
*夕32℃、65%、赤口を除き、少し黒っぽく、しまっていた。
*椀を送る準備など。

8.2(金)

乾漆食籠・・・蓋と身の見付け・内脇を研ぐ。
黒漆塗り7回目。
*富山県内の人なら新聞を見れば分かる出来事の為、あまり仕事が出来ず。
 こんなことで良いのだろうか?と思わざるをえない。
 明日1日も潰れてしまうだろう。

8.3(土)

乾漆食籠・・・朱の縮みと溜まりを研ぐ−昨日も縮みを少し研ぎ潰していた。

8.4(日)

乾漆食籠・・・朱塗りの部分を研ぐ。
朱の上塗り。
*28℃(エアコンで下げる)、湿度63%(少し湿り)。

8.5(月)

*夕30℃、60%−まだ少し光っている。
懸子−朱塗りの部分を研ぐ。透漆で小中塗り。
*身の小山にあった小さい欠け部分に朱を薄く塗っておいたが、、、?

8.6(火)

*朝27℃、55%−透漆さえ光っている−下のスポンジを湿らせる。
*夜33℃、67%−赤口がまだ湿っぽい−加湿70%強。
懸子−裏を静岡炭で研ぐ。

8.7(水)

(5:20am-6:50am)身の裏底を研ぐ。
身・懸子−裏底の上塗り・・・塗っている途中でもう漆がしまりはじめる。

*夕33℃、57%・・・身の裏底の平地にひどい縮み−この湿度計は信用ならない。
蓋・身の内側を研ぐ。裏底の縮みをかなり研ぐ−あまり厚く塗ってないから、破れる事はない。
蓋・身の内側−黒漆で上塗り。26℃、50%(エアコンで落とす)。

8.8(木)

*朝28℃、50%ぐらい−しまっていた。

懸子の表側を研ぐ。透漆で上塗り。
身の裏底を研ぐ。黒漆で上塗り−隅に縮み跡が残っていた!
*また塗り直しか?27℃、45%(エアコンで落とす)。

8.9(金)

*朝28℃、47%−黒は艶が落ちかけていた。

蓋の朱を静岡炭で研ぎ始める。
身の裏底の隅をキング#1000(丸)で研ぐ−静岡炭で研ぐ。
黒漆で上塗り(塗りなおし)。
蓋の甲の朱−灯油で薄めた生正味漆を摺り込む。
*会費関係、草刈り、、、雑用が多く、時間がなくなる。

8.10(土)

蓋の甲−静岡炭研ぎ、蝋色炭研ぎ、クリスタル炭研ぎ。
蓋の外脇−静岡炭研ぎ。
蓋の甲・外脇に灯油で薄めた生正味漆。
身の外脇から高台=朱を静岡炭、蝋色炭、クリスタル炭で研ぐ。
蓋の外脇を蝋色炭、クリスタル炭で研ぐ。
蝋色研ぎをしたところに灯油で薄めた生正味漆。

懸子−大き目のゴミを軽く潰しておく。
胴擦り・・・蓋と身の朱部分(身の立ち上がり=黒も)。
擦り拭き切り1回目。
*蓋と身の赤口の線がうまく合ってない。
*立ち上がりで朱が下から透けた所あり(黒2回塗ったのに)。
*身の合い口と立ち上がりの境が、胴擦りでガタガタになる。

8.11(日)

懸子−蝋色研ぎ。
朱、摺り拭き切り2回目。
懸子−胴擦り。
黒塗り部分の蝋色研ぎ−結局、静岡炭を力を抜いて使い、蝋色炭、、、の方が楽である。
全体に摺り拭き切り−朱3回目、黒1回目。
*赤口部分が拭き切り不足で黒ずむし、禿げが目立つ…

8.12(月)

*朝、赤口が黒ずんでいるので、超微粒子コンパウンドで磨いてみる。
赤口朱が芯まで乾いていないことに気付く。
朱塗り部分に摺り拭き切り4回目。

黒塗り・溜塗り部分の摺りを落とす。
赤口部分も摺り落としをしてみるも、黒ずみが取れない。
極細コンパウンドでも取れない。
クリスタル砥石で研ぎ、極細、超微粒子で磨き、リグロインで拭き取る。
全体に摺り拭き切り−朱5回目、黒2回目。
*赤口朱に僅かでも木地呂漆を混ぜるだけでも、乾きが良くなる。
この失敗で、赤口は禿げまくるし、1色で上塗りしたほうが増しだったことになる。

8.13(火)

(朝)朱6回目摺り渡し。

(午後)全体の摺り落とし。
赤口の所は落ちない−セーム皮に緑色の胴擦り粉と胡麻油をつけて磨き続ける。
淡口+黄口の所は、思いがけず一度に艶が上がる。
黒の所は、思ったほど蝋色が上がらず。
*一応、これで完了です。
赤口の所は塗りなおすしかない=上塗りをもう一度するしかないが、、、

9月2日(月)日本工芸会より入選通知が届く。

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