麻布2枚造り・・・その3(三回目の挑戦)の2(2003年1月より

直前の記述へ(2002年12月31日)

<最新の記述へ>03/05/20

1.2(木)

500Wで水分を抜いているが、身の石膏原型はまだ湿っぽい。
離型用のアラビアゴムの固まりを水に入れる。

1.3(金)

アラビアゴムに弁柄を混ぜ、着色する。
石膏原型に2回塗る。乾かす。

1.4(土)

錆下地を合わせる。地の粉下地と混ぜて、切り子地を作る。
石膏原型に切り子地刷毛付け。
*乾漆用刷毛の毛先が減りすぎていたので、切り出す。2本。
 後は叩いて柔らかくするだけ。

1.5(日)

空研ぎすると、身が乾き不十分な感じ。
*やはり、3辺地の粉下地だけにすべきだったか?
 低温の所為もあるだろう(雪続き)。
*刷毛2本を叩き、石鹸で洗う。

1.6(月)

*山科地の粉を篩にかける−#80と#120.

硬化している感じなので、切り子地刷毛付け2回目。
*切り出した刷毛を使用したので、斑が少なく付ける事が出来た。

1.7(火)

触っただけでも湿っぽいが、軽く空研ぎ。

*ほとんど0℃に近い気温が続いている為か、乾きが悪すぎる。
いつも25分ほど、雪道がひどい時で1時間ほどの道が、今朝は2時間かかる。
R8の圧雪はかなり取り除いてあったのに、ほとんど進まなかった。
2車線が1車線半になっていたので、大型ダンプが十分走られなかった為かもしれない。
*工芸会富山支部の会費が集まっているのが分かったので、昨日と今日、関係書類をパソコンで作っていました。

1.8(水)

身の方は、まだ乾いていない。無間地獄に落ちる感じ。
蓋は乾いている感じだが、作業中止。
*乾かなくなった時、どうすればいいのだろう?
今日は久し振りに晴れ。明日も駄目なら、拭き取るしかないだろう。
*工芸会の会費を送金し、その関係書類を作り、送りました。

1.9(木)

#80で、もう一度空研ぎ。
身はかなり硬化したが、まだペーパーに絡んでくる部分あり。
*生漆を吸い込ませて硬化する場合もあるが、反対に尚乾かなくなる場合もある。
 塗り用の黒漆を塗ると乾く場合がある。生漆と違い、下地に浸透していかないからである。
 もう1日放置して、どうするか決める。
蓋に切り子地刷毛付け-3回目。横に渡し、下へ引っ張るように均し、また横方向に均す。かなり薄めに付ける。
*作品としては、身に何かを入れるわけだから、身が親になる。
 出品作としては、斜め上から見るという意味で、蓋の甲から角あたりが主役になる。
 蓋の制作を先行させる。

1.10(金)

蓋の切り子地、乾き悪し。
身は大体硬化した感じだが、透き漆を塗る・・・多分石膏の厚みの厚過ぎる所の水分が十分抜けていないのだろう。

1.11(土)

蓋に爪を立てると、乾いている感じの音がするが、、、
身の塗りは、何とか乾いていっているようだ。
*椀、縄胎椀の塗りも、昼は乾いていなかった。湿りをする。

米糊を作り、糊漆を作る。古い糊漆と混ぜる。漉す。
容器に収まりきらなかった分は、地の粉と混ぜ、下地を作る。

1.12(日)

午前中に空研ぎすると、蓋は予想に反して乾いていない部分があった。端付近に少し爪が立つ。
身は乾いていた。

〔夕〕身に蚊帳布を貼る。蚊帳の幅では、一枚で貼ることが出来ないので、側面は別の布を貼る。
*とうとう蓋の方が遅くなってしまった。

1.13(月)

蓋に麻布(蚊帳)を貼る。
側面を貼ってから見込みに貼り始める。

身の余計な布を切り取り、空研ぎ。
一部、布が取れてしまったところに、布片を貼り直す。

1.14(火)

蓋の食み出た布を切り取り、布の重なりを丸ノミで取る。
*布の重なり付近で、布が取れてしまったところがある。
 ・・・糊漆が厚くならないようにと、薄く付け過ぎたのだろう。
空研ぎし、布のなくなったところに布片を貼り直す。

身を空研ぎする。不乾を示す、纏わりつく糊漆のかすはなかった−乾いていた。
下地分を多くした切り子地(木の粉も入れる)を箆で目摺る。

*1.9に、生漆を吸い込ませることについて、少し書いた。
 付けた下地などが厚すぎ、漆が膿んでいる時は、更なる生漆は邪魔になる。
 生漆を長く放置すると、不乾性になるし、水銀朱を半年ほど放置してもほぼ不乾になる。
 この場合は、乾く生漆を吸い込ませると、乾いてくれることもある。

*昨日使った蚊帳布が少し薄い感じがした。
長く使って破れた所のある蚊帳や、山下さんに頂いた麻布を持った方が少し厚い感じがした。
ノギスで測って見ると、昨日の蚊帳は0.7ミリ。
少し厚い感じがした蚊帳や山下さんのは、0.75ミリだった。
二枚目の蚊帳は厚い方にすべきかもしれない。

1.15(水)

空研ぎすると、蓋は昨日布を貼りなおした部分、身は一部、乾き不十分。

箆を削る・・・どうしても柔らかめにしてしまう。その結果、使うとすぐ先がガタガタになる。
クジラ箆・・・中の骨部分を残しすぎの感じがするので、かなり削ってみたが、、、
刃物3本を研ぐ。

1.16(木)

身にリグロインで薄めた生漆を吸わせる。

蓋、布目摺り。

*1.14のノギスで測った布の厚みは、一桁小さく書いていました。訂正しました。
一桁小さく書きながら、頭の中では、二枚貼れば1.4mmとか1.5mmになると思っていました。

1.17(金)

蓋・身とも空研ぎ。
気温が久しぶりに高かった所為で、大体乾いていましたが、ほんの少し足りない気がしたので、作業中止。
*焦って失敗してはいけないし、別の作品のことを考えていました。

1.18(土)

蓋…リグロインで薄めた生漆を吸わせる.
身…2回目の布目摺り。

1.19(日)

〔午前〕空研ぎ…蓋は乾き不十分。
〔夕〕身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
   蓋…2回目の布目摺り。

1.20(月)

空研ぎ−大体乾いていた。
蓋…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
身…3回目の布目摺り−布が波打っているのも、直そうとして。

1.21(火)

空研ぎ−身は乾いていた。
身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。表面の生漆を拭き取る。

1.22(水)

身…空研ぎ。少し太めの糸の蚊帳布を貼る。
*斜めに貼り、布幅が足りない側(二つ)は、角を中心に三角形の感じに貼る。
蓋…木の粉を混ぜた糊漆を切り子地に足し、3回目の布目摺り。

1.23(木)

蓋…空研ぎ。リグロインで薄めた生漆を吸わせる。拭き取る。
身…端から食み出ている布を切る。布の重なりを切り取る。空研ぎ。
斜めの継ぎ目の間が一枚。その両側に三角形の感じの布。

1.24(金)

蓋…空研ぎ。長側面−「見込みを台形を分けるように斜めに−長側面」を合わせ目にするように、蚊帳布を二枚切る。
一枚目とバイアスになるように切ったつもりだったが、一つは同じ方向に切ってしまった。
布の切れ目は長側面に一ヶ所入れる。

1.25(土)

蓋…端から食み出ている布を切り取る。布の重なりを丸刀で削り取る(切れが悪くなり、研いでかかる)。
空研ぎ。少し布が浮いた感じのところをこくそ(糊漆に木の粉)でつける、、、
左半分の布はバイアスに貼ったが、右半分は切り損ないました。

身…もう一度空研ぎ。一回目の布目摺り。箆で行う。切り子地、なくなったので途中から、こくそで。

1.26(日)

空研ぎ。
身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
蓋…一回目の布目摺り。ほとんどこくそで。

1.27(月)

空研ぎ。今日は気温が10℃を越えたらしいが、家の中はあまり暖かくない−大体乾いていた。
蓋…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
身…2回目の布目摺り。
こくそ(糊漆に木の粉)の残りに、刻苧(糊漆に麻の繊維)・下地(糊漆に山科地の粉#80)を混ぜて使う。

1.28(火)

空研ぎ−蓋が少し乾き悪い。
身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
最後にぼろで拭き取ろうかと思ったが、勿体無い気がし、やめる。
*今日からまた低温続きらしい。乾かなくなりそう。

1.29(水)

蓋…刻苧を足し、2回目の布目摺り。
身…空研ぎ、少し乾き不足だったが、3回目の布目摺り。
*布2枚しか貼らないのだから、布目摺りのとき、全て刻苧を混ぜるべきであった。
*今日はほとんど真冬日、家の中の蛇口であまり使わないのが、凍っていた。
33年前、札幌で室温が-8.5℃(気温が-18.5℃)というのを経験しているが、ここは寒くて当たり前という心構えでいるのと、そうでないのとでは、感じ方は全く違ってくる。雪の量は30cmほどで大したことは無かったが、横殴りの吹雪で、視界がなくなることもあった。道路は圧雪、ツルツルorガタガタ。一日中、渋滞。

1.30(木)

空研ぎ。充分乾いている。
蓋・身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

1.31(金)

空研ぎ。乾き、少し不足気味。
蓋…3回目の布目摺り。
身…糊漆に山科地の粉#120を混ぜ、下地付け1回目。

2.1(土)

空研ぎ。乾いていた。
蓋・身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

2.3(月)

空研ぎ。
ガラス板に両面テープで#80ペーパーを貼り、端の空研ぎ。身の裏底も。
蓋…糊漆に山科地の粉#120を混ぜ、下地付け1回目。端が水平でなかったので、端にも。
身…端の短辺ガ低かったので、そこに下地を付ける。裏底にもムラがあったので、下地箆付け。

2.4(火)

*身の裏底が、予想通り厚すぎた為、2/3ほど硬化していなかった。金箆で削り取る。
ガラス板に両面テープで#80ペーパーを貼り、端の空研ぎ。両面テープが古くなっている為、付きが悪い。
蓋…空研ぎ。リグロインで薄めた生漆を吸わせる。
身…裏底を#80で空研ぎ。端周りにリグロインで薄めた生漆を吸わせる。

2.5(水)

空研ぎ。身の裏は、大きいペーパーで。
錆下地を合わせる…砥粉50g+生漆約27g。
前の下地と合わせて、切り子地を作る。
蓋…切り子地刷毛付け。端まで。
身…端の外回りに切り子地箆付け−麻紐を巻く前にキチンとした面を作るため。
裏底の低い所(昨日削り取った所を含む)に切り子地箆付け−高台を作る前に平面をキチンと作るため。

2.6(木)

空研ぎ。
蓋…錆分を増やした切り子地刷毛付け、端まで。下地を3回付けたので、これで終了とする。
身…端の外回り、裏底の低い所に切り子地箆付け。

2.7(金)

身…空研ぎ。端周りに麻紐を4条巻く。裏底の低い所に切り子地。

蓋…500Wで熱処理開始。サーモスタット30℃設定。
茶箱。緑色がサーモスタット。

2.8(土)

高台を作るため、アクリル平面定規に少し厚めの紙を両面テープで貼る。
鋼鉄製のコンパスの幅を決め、定規に合わせて紙の上に線をつける。鋏で切る。
紙の周りにセロテープを貼る。離型の為。
裏底の高台の場所に紙を置き、トースカンで位置を決める。鉛筆で縁取り。
両面テープで固定。
麻紐を7周ほど巻いて、棗型の高台の芯にする。

昨日巻いた麻紐の余分の部分を切り取り、端に刻苧を付けて、補強する。
(作業としては、切り取り、高台の仕事をし、最後に刻苧で補強)

2.9(日)

身…高台の紙型をはずし、麻紐の外2周ほどを切り出しで斜めに落とす。
空研ぎし、外隅にこくそ(糊漆に木の粉)を薄く付ける。

*蓋の熱処理のサーモスタットを35℃に設定しなおす−徐々に加熱する温度を上げていく。

2.10(月)

身…(朝)空研ぎ。
(夜)端周りの麻紐に切り子地(錆分を多くする)。
  裏底(高台の内)に切り子地箆付け。
  高台の外の段を、刻苧で埋める。

2.11(火)

身…(朝)空研ぎ−刻苧の一部、不硬化、取れて穴があく。
(夜)高台の外側を埋める(刻苧+切り子地+木の粉)。少し漆分を弱める。

2.12(水)

身…空研ぎ。高台から腰にかけて、切り子地箆付け。

2.13(木)

身…空研ぎ。全体に切り子地刷毛付け。2回目になる。

2.14(金)

身…空研ぎ。全体に切り子地刷毛付け。3回目になる。これで完了。

*蓋の補強をどうするか−内に麻紐を巻くか?研ぎ上げ、塗りを重ねてみるか?
 兎に角、うちに石膏で支えをつけ、もう一度外からの熱処理が必要だろう。

2.15(土)

身…熱処理開始。サーモスタット30℃設定に。

蓋…端付近を空研ぎ。内側に麻紐4条巻く。
*麻紐に糊漆をまぶしておく。内側に薄く糊漆を渡し、接着を良くする。
次の辺に張る以上の長さを引き出し、角の所を押さえて、90°石膏原型を回す。
角が浮かないように注意した。
cf
第二展示室「縄胎香合」の張りのある巻き方は、内外とも凸面に麻紐を同時に巻くというものである。

2.16(日)

蓋に巻いた麻紐のところを空研ぎ−紐の上は、乾き不足。

2.17(月)

蓋の麻紐を巻いて出来た段をこくそ(少し切り子地を混ぜる)で埋める。

2.18(火)

昨日に続いて、段をこくそ(少し切り子地を混ぜる)で埋める−少し厚めにつけたが、、、

2.19(水)

段のあたりに切り子地(残ったこくそも混ぜる)をつける。

2.21(金)

空研ぎ後、段のあたりに切り子地(残ったこくそも混ぜる)をつける。

熱処理中に、身の裏底にひび割れができていた−下地部分。

2.22(土)

身…熱を石膏に当たるようにして、熱処理を続けたら、亀裂が更にひどくなった。
膨らんだ部分を空研ぎするも、直りきらず。
リグロインで薄めた生正味漆を何回も吸わせる。
*身が雄型に貼った所為で、ランプに近くなったのだろう。
自分の考えでは、漆が芯まで吸い込まれていない麻布は破れていないはずだが、、、?

蓋の麻紐付近にも、リグロインで薄めた生正味漆を吸わせる。

2.23(日)

割れのひどい所を突付くと、穴があいてしまう。
悪い予感がして、石膏雄型の割れに対応する部分を削り取る。
完全に布が切れてしまっていた。
漆が染み込まない麻布が破れてしまうとは!!

内側から蚊帳布を貼る−少し空研ぎ粉を混ぜる…素地側にも糊漆を渡しておかないと、全くくっつかなかった。
裏返し、漆桶を亀裂部分に置き、石膏原型の余っているのを重石にして置く。

2.24(月)

身…昨日の状態で一番外へ歪んでいた所に重石をしておいたので、そこは直っていたが、その隣が外へ膨らんだ。
膨らみの内側に蚊帳布を貼り足す。

蓋…内側に狂い止めの石膏の枠を作ろうとしたのだが、うまく行かない。
*ガラス板に端周りの広さに石膏の山を作り、石膏雌型を被せてみた−うまく合っていなかった。一応、ガラス板を持ち上げ、下から見てはいたのだが、、、
*内に布などで、高さを作り、シートを置いて、石膏を内脇にかけてみたが、隙間から下へたれていき失敗。
*中に詰めた布を取り出し、端付近の内脇に石膏を渡し、ガラス板の上に裏返しておいた−石膏がしまり始めていたのか、端側に垂れ戻るということはなかった。
一応、くっついたので、このままにし、後日彫刻刀ででも壊すことにする−内側の仕事をするときに。

2.25(火)

蓋…(朝)雌型を大きなポリボックスの中に入れ、水に浸す。
(夜)雌型を割るため、ドライバーで叩き始める。なかなか壊れない−離型剤が薄すぎたようだ。
ドライバーで削り、金箆で削りして、石膏を取り除いていく。昨日、補強用に内側に作った石膏枠も壊れてしまった。
洗ったりして、だいたい石膏を取り除いた。布で水分を取る。
甲は、少し凹んでいるし、端にガタもある。
ガラス板に載せ、内にへこみすぎを防ぐ為漆桶を置き、上に小さいガラス板を載せ、重石にした。
亀裂が甲、肩、側面にあるのが、吸った水分で分かった。
*非常に軽く、薄いが、熱処理をしても固くはならないし、動く感じがある。
 大きな作品では、二枚貼りは非常に危険な技法と言うしかない。
 細い麻紐の上手な利用が不可欠と言えそうである。

身…*内に布を貼り足すと、外へ膨らむ−昨年も悩まされた現象が始まった。
外(裏底)の割れたところを丸刀で削る。重石を無視して、尚反り返った所為か、隙間がかなりできていた。
内・外に刻苧(下地混)を指で渡す。

2.26(水)

蓋…内から外まで、空研ぎする。
残る石膏を取り除こうとしたが、取りきれない。
外側の丸みなどで、下地が取れて布がでたところがある。
全体にリグロインで薄めた生漆を吸わせ、布で拭き取る。
*去年ほどの狂いは無い-熱処理してあるから当然ではある。

身…裏底の盛り上がりを刃物で削り取る。空研ぎ。
内の布を貼った部分・裏底全体にリグロインで薄めた生漆を吸わせる。

2.27(木)

蓋…軽くキング#1000で水研ぎ。ペーパー#180で軽く隅などを研ぐ。
外側の凹みのひどい所も艶を消す−甲中央が5mmほど凹んでいる。
重量355g−仁和寺の冊子箱まで70gしかない−また失敗しそう。
内側に黒漆塗り。
外側の布が出ているところ、凹みのひどい所に刻苧(下地入り)を指で詰める。

身…少しファンヒーターの前に置き、熱にあわせる。
底の内と外のがたがたの凹みに刻苧を指で渡す(詰める)。

2.28(金)

蓋…黒漆塗り−平地と隅で縮みがかなりできる。研いでから、削る。
*甲の凹みをどう直すか、考える。貼った反対側に中央部が膨らむという現象が起きる。
素地が柔らかければ柔らかいだけ、新たに布を貼ったり、下地を付ければその影響を受ける。
*内側に膨らんでいる部分に蚊帳布をバイアスに貼ってみる。

*雌型を取った石膏雄型原型の甲を金尺で見ると、素地と同じように中央が凹んでいる。
結局、原型のつくりが甘かったのだ!
*もう一つ蓋を作り直すことにした。金尺で甲面を削る。甲の水平がまず出るように、削り、確かめるを繰り返す。
本当の中央部が一番高く、徐々に下りて行く感じに削る。
全体を空研ぎペーパー#180で空研ぎし、滑らかにする。
離型剤としてアラビアゴムを塗る、1回目。

身…裏底の出過ぎを丸刀で削ったり、#40で空研ぎしたりして、高台の内におさまるようにする。
内底を空研ぎで、少し滑らかにする。
両側の凹み部分に刻苧を指で渡す。

3.1(土)

蓋…逆に凹みがひどくなっていたので、内側に貼った布を剥がす。
どうすれば良いか分からないので、凹みのひどい部分に荷造り用の麻紐を巻く。
布が出ていた部分に刻苧。

身…空研ぎ。刻苧を指で渡す。

もう一つの蓋−石膏雄型。アラビアゴム2回目。側面は薄かったので、もう一回塗る。

*時間がないので、どの布を貼れば一番狂いが少なく、耐久性があるか調べる為、いろいろ布を貼ってみた。
後日、結果を纏める予定。

3.2(日)

蓋…熱処理がしてあるので、つまり、素地がかなり固まっているので、裏の仕事が極端に影響を与えることはない。
端を錆で作る。
(夜)内側に黒漆塗り。2回目。

身…内側平地の石膏を取り除いて、割れの補修をするつもりで、作業を開始。(つまり、側面の石膏は、補修による素地の動きに耐える為、残すつもりだった)
なかなか石膏が壊れないので、木槌でのみを叩いていく。隅から外脇にかけて、割れが発生していた。
*丸ノミで外脇を削ろうとしたが、進行が遅いので、カーマ砥波店にハンドルーターを買いに行った。8800円+消費税。
ノミよりは楽だったが、それでも石膏が取り除けない。
結局、その隅に水を渡し、離型剤を溶かして石膏を取り除く。
今までの補修部分が水に弱いかと、無理に作業を続けてきたのだが、反対に悪い結果をもたらした。。
隅から外脇にかけての割れが、一度に修理しきれないので、まず底方向からの重石でくっつける。
(夜)空研ぎで、内底と裏底を水平に近づける。凹みに刻苧(下地混)。
隅から内脇にかけての割れの、側面を下にしておくことで隙間をふさぐことができる部分を糊漆でつける。

身が熱処理や石膏原型を叩くことで割れた原因は、リグロインで薄めた生漆を吸わせた所為ではないか?
蚊帳布の緑色がほとんど見えない。
布の中まで、漆が吸い込まれ、麻布の弾力性が失われた。

もう一つの蓋…太陽に照らされていた部分のうち、隅の所のアラビアゴムが浮いていた−少し渡し直す。
(夜)黒漆を塗る。

*昨晩、小さい檜の板でテストしてみたのだが、ほとんど反りが発生していなかった。
小さすぎたことと、布をバイアスに貼り、素地への影響を小さくした所為かもしれない。
*変わり塗りの手板にでもするつもりで、カーマでポプラの板を買う。
電動糸のこ盤で10cm幅に切る。

3.3(月)

蓋…甲の麻紐の周りに刻苧。
*黒漆の塗り、またも縮み。すぐ湿りの中に入れた所為もあろうが、漆が粘りすぎているのだろう。

身…割れたところを刻苧で埋める。
裏底、内底の凹みにも刻苧。一ヶ所乾き不足のところがあり、そのままにする。

もう一つの蓋…今朝まで空風呂(光っていた)、その後湿り風呂(乾いていた)。
#320で空研ぎ、2箇所に縮み、削った線とか穴が多いので、用心の為、作業中止。

3.4(火)

蓋…金尺を当て、麻紐の出具合を見る。塗師屋刀などで出ているところを切り取る。
ガラス板に#80ペーパーを貼り、甲の水平研ぎをし、凹み具合を確かめる。
*直らないことはないだろうが、極端に厚くなるだろう。
麻紐周りに刻苧(下地混)。その他、凹み・穴なども埋める。

身…底の修理。隅・腰などの割れたところに刻苧(下地混)を渡す。

もう一つの蓋…粉分の多い下地で穴・凹みなど、石膏原型の欠陥を直す。

*二枚貼りをする意味はどこにあるか?
布、漆を吸い込んだ布、下地、麻紐の極限的な使い方を考えることができる。
石膏原型の正確さが求められる。
素地が動かないようになるまで、どれだけ待てばよいか、どこまで熱を加えることができるか。

 

3.5(水)

三つとも空研ぎ。硬化していた。
凹みに刻苧。
(もう一つの蓋は、石膏の短辺の角が擦り減っていたので、そこを昨日に続いて盛る)

3.6(木)

空研ぎ。蓋の甲、身の内底に刻苧。
*疲れた感じなので、今まで作った乾漆制作の道具や麻布をダンボール箱に纏めたりしていました。

3.7(金)

蓋…空研ぎすると、一ヶ所、厚すぎ不硬化。
金尺を当て、麻紐を巻いた中心側半分が凹んでいるので、刻苧。

身…割れたところに麻布を貼る。
内腰・隅付近、内底、外腰・角付近など。

もう一つの蓋…切り子地刷毛付け1回目。

3.8(土)

蓋…金尺を当て、中央辺りの凹みに刻苧。段などに切り子地。
身…布貼り部分に布目摺り、布の段を埋める。
もう一つの蓋…切子地刷毛付け2回目。

3.9(日)

蓋…中央あたり、刻苧。段、ガタガタ面に切り子地。
身…裏底の膨らみすぎのところをノミで削る。空研ぎで直す。
 布を貼ったあたりに切り子地。
もう一つの蓋…切り子地刷毛付け3回目。

3.10(月)

蓋…中央の凹み部分に刻苧。その他に切り子地。
身…裏底の削りすぎた穴に刻苧。布を貼ったところや高台などに切り子地。
もう一つの蓋…切子地刷毛付け4回目。

3.11(火)

蓋…甲の中央辺りに、下地箆付け。肩の線(衣紋線)あたりに、下地刷毛付け。
 *非常に重くなる。
身…布を貼り足したところなどに切り子地刷毛付け。
もう一つの蓋…麻布を貼る(山下さんからのもの)。甲で斜めに貼り合わせるように。

3.12(水)

蓋…甲に下地付け。
身…内底、裏底の凹みに切り子地。
もう一つの蓋…布の重なりを取る。布のなくなったところに布片、浮いているところに下地を詰め込む。
布幅が足りなく、甲で斜めに継ぎ足す。

3.13(木)

蓋…甲の中央部の凹みが直らない。空研ぎ。
 内側に膨らんでいるのを空研ぎ。
身…空研ぎ。#40。
*蓋・身…リグロインで薄めた生漆を吸わせる−空研ぎ部分。
もう一つの蓋…下地で布目摺り。

3.14(金)

蓋…甲の中央部の凹みが直らないので、刻苧。
身…裏底の凹み部分に刻苧。
もう一つの蓋…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

3.15(土)

空研ぎするも、一部乾き不足。

3.16(日)

蓋…甲の凹みが段段ひどくなってきた。
*裏から布を貼るしかないという結論。
*甲の刻苧をノミで取り除こうとしたが、固くて駄目だった。
*バイアス、縦、横、バイアスと4枚の蚊帳布を切り、内側にまずバイアスに貼る。
*2枚作りの予定が、6枚作り(甲)?力のモーメントが成り立つとしても、部分的にどう力が働くかは、自分の知力では分からない。
身…裏底の凹み付近に刻苧。
もう一つの蓋…刻苧+下地で布目摺り(2回目)。

3.17(月)

蓋…糊漆の乾き悪い。
もう一つの蓋…リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

3.18(火)

蓋…布目摺り。甲の刻苧の上に下地。
身…裏底の凹みに下地。
もう一つの蓋…細い麻紐を巻く−端付近と肩付近はくっつけて巻き、あとは隙間をあけて巻く。

3.19(水)

蓋…甲の凹みは尚悪くなっている。内側に蚊帳布貼り2枚目。
身…裏底の凹みに下地。
もう一つの蓋…空研ぎ。乾きが充分かよく分からないので、作業中止。
 うっすらと見える線が麻紐。

3.20(木)

もう一つの蓋…麻紐の間を刻苧(下地混)で埋める。
*一本で貼っていたところで、剥がれている部分があったが、刻苧でくっつけてしまう。
身…ファンヒーターの前において、熱を加える。
蓋…甲の凹みがひどくなっている。内側、乾き不十分。

3.21(金)

もう一つの蓋…刻苧(下地混)を空研ぎ。
*用心の為、一日乾かす。

*午前中、高岡市美術館「櫛かんざし」(澤乃井櫛かんざい美術館所蔵)を観に行きました。
眼鏡を外して見ても(近視なので)、よく見えないほど細かい細工がしてありました。
髪型にもいろいろ文化があるようでしたが、よく分かりません。

3.22(土)

もう一つの蓋…刻苧で麻紐の間を埋める。2回目。
*蓋の凹みは更にひどくなっている感じ−2mmほど下がっているのではないか?
蓋…布目摺り。

3.23(日)

もう一つの蓋…(朝)空研ぎ−2箇所、不硬化部分あり。
 (夕)刻苧+下地で麻紐の間を埋める。3回目。
蓋…蚊帳布貼り3枚目。凹みは直らない。
身…残っていた石膏を壊す。なかなか壊れず、所々穴があいたり、ひび割れができる。
 石膏を空研ぎで取り、洗う。
 リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

3.24(月)

もう一つの蓋…空研ぎ。リグロインで薄めた生正味漆を吸わせる。
身…端が乾いていない感じなので、湿り風呂の下の方に置く。
 空研ぎし、リグロインで薄めた生正味漆を吸わせる。
蓋…乾いてない。空研ぎのみ。凹みは全く直らず。

3.25(火)

もう一つの蓋…刻苧+下地を麻紐の間に付ける。4回目。
身…ひび割れした跡の内側に薄い麻布を貼る。穴を刻苧で埋める。
蓋…布目摺り。凹みは直りそうにない。

3.26(水)

もう一つの蓋に変更する…麻布貼り2枚目(山下さんの)。
 甲と側面とに分けて貼る。
身…穴や段を刻苧で埋める。布貼り部分に目摺り。
前の蓋に変更する…蚊帳布貼り4枚目。

3.27(木)

…余分の布を切り、布の重なりを取る−隙間が目立つが、、、空研ぎ。
身…こくそで段などを埋める。布の上にも。
*前の蓋の凹みは、2、3ミリ下がったまま。

3.28(金)

蓋…布目摺り−こくそ+下地。
身…短側面の布貼り部分に下地。高台に下地を付け、ガラス板に置き、底の水平を直す。
前の蓋…布目摺り。

3.29(土)

#80で空研ぎをしてかかる。
蓋…布が足りなかった部分(継ぎ目)に刻苧。甲の中央部に刻苧。
身…内側、端、外脇の4/5ほど下地付け。

3.30(日)

空研ぎ。
身…一部不硬化。(時間を置いて)裏底から腰に下地付け。不硬化の穴を少し埋める。
蓋…刻苧の一部、不硬化。(時間を置いて)穴を少し埋める。

3.31(月)

身…内側に下地付け。
蓋…外側に下地付け。

4.1(火)

蓋・身…空研ぎ。リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

4.2(水)

身…空研ぎ。内から外脇まで錆下地刷毛付け。
蓋…空研ぎ。切り子地刷毛付け。
*私があまり錆下地を使わないことを不思議に思う方がいるかもしれません。
 合わせるのが面倒なだけで、きめが細かいことは分かっています。

4.3(木)

蓋・身…空研ぎ。リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

4.4(金)

蓋…空研ぎ。錆下地を刷毛付け。甲中央は箆付け。
身…空研ぎ。裏から外腰辺りまで、錆下地刷毛付け。裏底のみ箆付け。

4.5(土)

蓋…甲、端、空研ぎ。端付近に生漆。甲に錆下地。
身…高台、端、裏底、空研ぎ。高台の低いところに錆下地。
*ガラス板に#80ペーパーを貼り、端、高台の水平を作る。

4.6(日)

蓋…(昼)天日干し開始。(夕より)熱処理(30℃)開始。
身…裏底、内底を荒砥で水研ぎ。高台を錆で作り、立ち上がりを整えるべく、引き箆を引く。

4.7(月)

蓋…(昼)天日干し。(夜)熱処理(30℃)。途中から甲に直射熱が当たるように向きを反対にした。

4.10(木)

*熱処理(蓋)・・・今日は日中天日干し。その他は、500wの投光器(30℃サーモスタット)。タイマーも併用。
側面にあまり熱がかからないので、そこに熱が当たるようにすると、10分ほどでカチンという音。
すぐ距離を取るようにし、高温にならないようにする。
昨日、光のあたるところの温度を計ると60℃ほどだった。

身…内側、端、麻紐を4条巻いた部分を、荒砥で水研ぎ。
裏底の形を水研ぎで作ろうとした。
研いだ部分に生漆箆渡し、丸い隅のみ、拭き取り用の布で渡す。

4.11(金)

身…内側、端、麻紐を4条巻いた部分を軽く空研ぎし、水拭。
黒漆で中塗り−底が割れた為の狂いが目立つ。

4.12(土)

身…外側を荒砥で水研ぎ。
*490gから470gになったが、350gには程遠い。
生漆を箆で渡し、拭き取る。内底も研いで、生漆。

4.13(日)

身…外側を軽く空研ぎ、水拭。中塗り。
*蓋…天日干し。

4.14(月)

身…凹み、欠けなどに錆を見る。

4.15(火)

身…内側の中研ぎ。キング#1000、名倉砥などで。
隅に浮きが見えたので、切り出しの先で穴をあけ、リグロインで薄めた生漆を摺り込む。

4.16(水)

身…(朝)内隅に切り粉地を指で渡す−穴埋めと形直し。
(夜)内側をキング#1000で研ぐ。朱漆で内側と端の麻紐巻き部分を中塗り。
*椀の小中塗り用に合わせた朱漆を使う。

4.17(木)

*椀の乾きと同様。夕、艶が落ち始める。
*蓋はずっと外に出しっ放し−天日干し。27、8度ほどになったそうだ。

4.18(金)

身…外側をキング#1000などで研ぐ。静岡炭で研ぐ。
錆を合わせ、中錆をみる。
*錆の合わせ方には二通りある。
 ・できるだけ少なく水を染み込ませ、残る砥粉の粒を箆で練り潰す。
  水を染み込ませる前に、
箆で潰しておく方が楽である
 ・砥粉に粒が残らない程度まで水を吸い込ませ、吸い込むのを待って混ぜる。
見た目に水で練った砥粉の約8割ほどの生漆を出す。(計量もしておく−砥粉2:生漆1)
生漆の一部と砥粉全体を練る。
少しずつ生漆を混ぜては、練りを繰り返し、全体を混ぜる。
使うときに少しの生漆を足す−漆分を強くする、気候に合わせて微調整する、乾きが悪くなった場合にかわきやすくする、、、
中錆に使うときに、黒塗りなら、黒漆を少し足す。

蓋…明日から天気が悪くなるというので、家の中に入れ、甲の中央部分に錆箆付け−痩せこんでいるかもしれないので。

4.19(土)

蓋…(夜)最後の熱処理。

4.20(日)

蓋…朝、石膏の内側に水を張る。
夕、石膏雄型を壊す。厚手でなかなか壊れず、丸ノミを主に使って削った。溝を彫り、その間を取り除く感じ。
*壊さないようゴム板の上で作業し、叩く力も弱くしたが、ノミの先で素地をかなり削ってしまった。

身…外側を砥石で研ぎ、黒漆で中塗り。
*塗っている途中に、ゴムの吸盤からはずれ、落ちたので、ゴミだらけになった。
麻紐のところで塗り分けてみた。

4.21(月)

蓋…内側を空研ぎ。削りすぎたところにこくそ。
*身に被せてみると、蓋が安定しない−こくそを盛って、掛かり部分を作る。
*486グラムもあった。予定より100グラムも多い。布の間の刻苧・下地などが多すぎたか?
身…内側を静岡炭で研ぐ。錆をみる。
*また一ヶ所、浮きを発見し、削り取る。

4.22(火)

蓋…内側を水研ぎ。荒砥、ペーパー#180で一部布がでるまで研ぎ込む。
*やっと460グラムになる。
*何故黒いのかと考え、膜の為に黒漆を塗っていたのを思い出した。
リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

4.23(水)

蓋…(朝)掛を錆で作り、身に被せ、余分の錆を取る。布のでたところにも、錆。
(夜)外側を荒砥で研ぐ。麻紐のところが山になるようにする。
甲を勘で研ぎ込み、金尺を当てると、中央が凹み気味。直すように研ぐ。
擦りガラスに地の粉を撒き、端と甲の水平研ぎ。
甲は、中央から下がり気味になるように研ぐ−外側を擦りガラス上で研ぎ落としていく。
*445グラムにしかならない。
リグロインで薄めた生漆を十分吸わせる。

4.24(木)

蓋…(朝)掛を錆で作る。外側の凹みに錆。
(夜)内側・外側を荒砥で軽く研ぐ。掛のところは丁寧に。
山の間は、静岡炭でも研ぐ。
身…名倉砥、静岡炭で研ぐ。
蓋・身…黒漆で中塗り(内側、端、外脇)。

4.25(金)

蓋…甲と肩をキング#1000で研ぐ。肩に乱れが目立つので、荒砥で研ぎ込む。
内側の穴に錆。外側の凹みに錆。荒砥で研いで布が出たところに生漆。
端の両角がガタガタなので、錆で形を作る。
身…内に残る穴を一つ、錆。凹みに錆。

4.26(土)

蓋…錆研ぎなど、キング#1000、擦りガラス(端)。谷は静岡炭。
外側を黒漆で中塗り、1回目。(外脇は2回目)
身…外側の中研ぎ。隅は、キング#1000。塗り部分は静岡炭。
黒漆で中塗り、3回目。(外脇は5回目)

4.27(日)

蓋…内側、外脇を研ぐ。主に名倉砥。静岡炭。
内から外脇まで、中塗り。2回目。(外脇は3回目)
身…内側、端、外脇を研ぐ。静岡炭。
内から外脇まで中塗り。4回目。(外脇は6回目)

4.28(月)

(朝)蓋と身の錆をみる。蓋の麻紐の線が目立たなくなっている部分にも。
(夜)蓋の外側を研ぐ−人工中砥、静岡炭、一部艶消しテープ。
外側の中塗り。2回目。(外脇は4回目)20℃、60%。

4.29(火)

(朝)蓋と身の錆をみる。蓋の麻紐の線が目立たなくなっている部分にも。
蓋の肩の痩せて見えるところにも。
(夜)蓋の内から外脇まで研ぐ−砥石、ペーパーなど。
中塗り。3回目。(外脇は5回目)

4.30(水)

キング#1000、名倉砥、人工中砥などで研ぐ。
錆をみる。蓋の側面の凹みのガタガタを埋める。甲の中央が凹んだ感じなので、少し錆。

5.1(木)

蓋…錆をキング#1000、名倉砥、人工中砥などで研ぐ。
甲と端を擦りガラスで研ぐ。甲の中央は凹んだまま。
一部布が出たところに薄く錆。
身…静岡炭で外側を研ぐ。高台の2箇所に小さい欠け−錆。

蓋・身…黒で中塗り。蓋3回目(外脇6回目)。身4回目(外脇7回目)。

5.2(金)

(朝)蓋の肩付近の錆を主としてみる。
(夜)蓋…全体をキング#1000、人工中砥、名倉砥などで研ぐ。
内隅などに浮きが見えたので、刃物で破る(先でつつくと、刃先が入るところと入らないところがある)。
リグロインで薄めた生漆を吸わせる。余ったので、全体にも渡す。
*下地に目の粗い布を貼ると、どうしても隙間が残る気がする−貼る糊漆に地の粉を混ぜ、厚く渡すしかない?

5.3(土)

(朝)蓋の内隅(穴)、肩付近の錆をみる。
(夕)身…内側を砥石で研ぐ。内から外脇まで静岡炭で研ぐ。
蓋…砥石で錆を研ぐ。静岡炭で研ぐ。また水で拭いた時、浮いている部分が浮き出てくる−刃先で破る。
蓋・身…内から外脇まで中塗り。蓋4回目(外脇7回目)。身5回目(外脇8回目)。

5.4(日)

(朝)錆をみる。蓋の内脇に浮きが見えたので、破り、錆。
(夕)蓋…錆を研ぎ、中塗り(外側)。4回目(外脇8回目)。

5.5(月)

(朝)蓋の肩付近の凹みを光で見て、ペーパーで軽く研ぐ。内の破ったところにも、錆をみる。
(夕)蓋…錆を砥石、ペーパー。中塗り。内側5回目。(外脇9回目)

5.6(火)

(朝)錆をみる。蓋の内にまた浮きが見えたので、破り、錆。
(夜)蓋…名倉砥、静岡炭で研ぐ。外側の中塗り5回目。(外脇10回目)

5.7(水)

(朝)蓋の内に錆。
(夜)蓋…名倉砥、静岡炭で研ぐ。内側の中塗り6回目。

*甲の凹みが段々ひどくなってきている。
前の蓋でも、布を貼っても、下地を付けても、甲が凹んでいくばかりだった。
乾き不足? or そういう動きをすると覚悟し、原型の段階での仕事を考える?

5.8(木)

(朝)蓋の内に錆。
(夜)蓋…外側を静岡炭で研ぐ。凹んでいるところも、研ぎ潰す。
身…内側から麻紐を4条巻いたところまで、静岡炭で研ぐ。
朱漆で小中塗り−静岡炭で研いだ部分。14℃、59%。

5.9(金)

(朝)12℃、60%。光ったまま。下のスポンジに水を吸わせる。
(夜)16℃、65%。息もかからない。加湿シートに電気を通し、70%−75%ほどに上げる。

*中塗りを何回もする理由は、下地付けの代わりとして行っているから。
重くならないし、きめも細かい。

5.10(土)

*朝も加湿したりして、昼頃見ると、垂れているし、下では縮み。
ペーパー#1500で垂れている所を研ぐ。下の方は、取れてしまう。
*塗った時、固い感じだったが、思った以上に流れた−乾きの悪い本朱を混ぜている為だろう。
強い湿りの中に置く。

本朱を練る
日華22g、黒田18g・・・比重が重いのか、黒田朱の量がかなり少ない。古い所為?
日本産木地呂漆6gのうち、箆で少しずつ朱の粉と練り合わせ、固まりを作っていく
何回かで固まりを作り、残った粉をそれにまぶすようにすると、全部が一塊になった。
それをポマードの小瓶で1時間強練り合わせる−ガラス板は、ガムテープで固定。
木地呂漆25g、朱合い蝋色漆25gを出して、混ぜ合わせる−見た目に木地呂漆の方が、はるかに多い(比重が軽い?)
*合わせた量を紙にメモして、粉が40g、漆が50gと気付く・・・漆が10g多すぎた!
混ぜて使うつもりなので、何とかなるだろう???

朱の垂れを静岡炭で研ぐ−まだ研ぎ潰れない。
黒の中塗りのところも、荒荒と研いでおく。

5.11(日)

朱の垂れを研ぐ。
蓋の内、身の外を静岡炭で研ぐ。ペーパー#1200で滑らかにする。
*蓋の内にまだ浮きがあり、刃物で破る−切り粉地で埋める。
身…能作の日本産黒漆で外側を上塗り。
粘りすぎていたので、灯油でのばす。ゴミ、刷毛目と、駄目!
蓋…この前の朱漆に昨日の本朱を少し混ぜ、小中塗り。

5.12(月)

*朝見ると、身は乾いていた(18℃、60%ほど)―目立つゴミは2つで、艶も落ちている−誤魔化せる?
湿り風呂上段に置いておいた蓋の内の朱も、しまっていた。

*夕帰ってからゆっくり見ると、身の外側、ゴミだらけ。その上、腰にかすれているところ(塗り残し)あり!
甲の凹みは2mmほどになるし、何一つ解決できていない−どんな布?どれだけ布目摺りするか?痩せを防ぐには?甲の凹みをどう防ぐ?
きちんとした品物にしないのなら、2枚貼りなんて簡単だし、いくらでも軽くすることができる。

蓋…浮きのところを研ぎ、黒漆を指で塗っておく。
身…かすれていたところに、黒漆を指で塗る。
*昨日身の返しを3回ほど取ったのだが、付くがアリ溝でグラグラしたので、
付くに麻布を貼り、隙間が少なくなるようにする。

5.13(火)

内側を静岡炭で研ぐ。
浮き付近の穴を誤魔化す為、ペーパー#1000で研ぐと、またも浮き
粉の多い下地を薄く付ける。
*明日、朱(内側)の上塗りをする予定だったが、蓋は無理になった。
本当に仕上がるのか?
*付くの布を貼ったところに錆をつける−まだ少し緩かったので。別のにも。

5.14(水)

(朝)蓋の浮きの跡に錆。
(夕)蓋の浮きの跡に錆。
(夜)身の内側を研ぎ上げる−主にペーペー#1000で滑らかにする。
黒塗りの外脇を静岡炭で少し研ぐ。
朱漆で内側から麻紐巻き(端周り)まで上塗り。24℃、58%。下のスポンジを湿らせる。
蓋…錆を研ぎ、黒漆を指で塗っておく。

5.15(木)

*朝、22℃、62%。光ったまま。スポンジに十分な水を吸わせる。
*夜、20℃、65%。光っているが、少し艶が落ち始めている−回転の下向きにしておいた。
蓋…黒漆を塗っておいた部分を静岡炭で研ぐ。内側全体も研ぎを重ねる。#1000ペーパーで滑らかにする。
朱漆で内側(端まで)の上塗り。

*今日も、パソコンの文書作り(表)で時間を取られ、あまり仕事が出来ず。

5.16(金)

*朝、夕19℃、66%。艶があり、締まっているようだ。蓋はまだかもしれない。
ゴミが目立つ。

*デニムというのをインストールしてみたが、開かない。
一回だけ何故か開いたが、後は全く駄目。

5.17(土)

*加湿シートに時々電気を流し(60w)、湿度を70−80%にする。
日中は、タイマーで1時間余りを2回通電。

(夜)昨日よりは艶が落ちているが、かなり良い色−ゴミや刷毛筋が目立つ。
身…外側の黒塗りのところを静岡炭で研ぐ。(塗り直しすることにした)
蓋…甲、側面の朱の垂れなどを静岡炭で研ぐ。

5.18(日)

蓋・身…昨晩研いだ(蝋色研ぎの静岡炭研ぎぐらいまで)ところをペーパー#1200で研ぎ、滑らかにする。
*昨晩付けを取っておいた透き漆−合わせたもの・柳瀬・・・65%で、ともに乾き、下に縮み。柳瀬の方が黒っぽい。
合わせたものに、少量の柳瀬漆と高野中国産遅口漆を混ぜ、漉し紙+寒冷紗で漉す。
*農業用シートで部屋を仕切り、掃除・・・水拭、掃除機。
*朱漆・透き漆を垂れ漉し(漉し紙4層)
*刷毛洗い・・・8本を各3回ほど。
上塗り・・・蓋…肩の辺りで暈かす。甲が朱。透き漆で側面と端。
身…朱との境を塗りだけで決めるよう、先の細い2分刷毛で浚える−日本産黒漆塗りが小中塗りになってしまった。
*ともにゴミだらけ!! 2分刷毛でゴミを取るのが、慣れていて、一番楽だが、、、
24℃−23℃。湿度62%−58%(回転風呂の戸で隙間を調整し、60%を目指している)。

5.19(月)

*朝、19℃、60%・・・透き、乾いている感じ。朱、光っている。
下に入れるスポンジに水を吸わせる・・・暫くして18℃、65%。

*夕、24℃、65%・・・朱の艶が落ち始めている。
加湿シートに通電し、70−75%ほどにする。
*夜、徐々に艶が落ちている感じ。

上の蓋の側面は、もっと黒っぽい。

5.20(火)

*夜中は、タイマーで1時間余、2回通電で、朝70%。
十分乾いていた。付くを外す。
ビンツケを箆で浚え取り、灯油で拭き取る。
アラビア糊を水で緩め、ティッシュで糊分、水分を完全に拭き取る。
ゴミだらけ!!
包んで、高岡市美術館に搬入。

上へ

次へ

一回目の挑戦(そく冊子箱)

二回目の挑戦(乾漆食籠)

漆制作の作業記録

分岐図へ

ホームへ