道具作り

構想は、斜め上より見たデッサンで纏める。
それを平面図、正面図、側面図として、図面化する。
図面で丁度良いと思った高さが、立体化してみると高すぎることが多い。
(コンピューターによるデザインをしたことがないので、全て手作業による方法を書く)

コンパスで正六角形を画く場合、円をコンパスで画き、その半径で
円周を六等分して画く(内に正三角形を六つ作る)。
実際に作図してみると、うまく六等分出来ないことが多い。
ピンの位置がほんの僅かずれたり、鉛筆の芯の太さが変わったりして、
何時の間にか狂ってしまっているのである。

この作図をいつも正確にできる人には、道具作りは簡単である。
そうでない者には、まずどうしたら正確な作図が出来るかが問題となる。
芯の減らない金属製のピン二つで出来ているコンパスを使う。
基準の点の両側で、半径分の印を円周上につける。隣の点の一つを新たな基準点とし、
両側に印をつける(前の基準点を通るかどうか・・・僅かの狂いも許されない)。

平面図が乾漆造形の基準になる・・・デザインが決定していることが前提。
花弁が12枚ある形を例にその作り方を書く。

1/12定規を作る。
0.6mm厚程のアルミ板に金属製のコンパスで、中心から角や入り隅などまでの
同心円を画く(ここでは1/12強で良い)・・・位置の目安となる。
30度(1/12円)の間の花弁の形を好みの線で画き、金属用糸鋸で少し大き目に切る。
円の中心と、30度の両側の線上で中心から同距離の点(先ほどの同心円よりは内に)
の三箇所に2mmの穴をあける(ドリル)。30度の二等分線上にもあければ、更にチェックし易くなる。
花弁部分を鑢で大体、形作る。紙の上に、3個の穴と花弁の形を鉛筆でなぞる(穴は印をつける)。
アルミ片を裏返し、三個の穴と鉛筆の印を合わせる。花弁の形と鉛筆の線のズレをチェックする。
鑢で削り、また裏返して、チェックする・・・合うまで直す・・・1/12定規の完成

2mm厚のアクリル板に、中心からの必要な同心円を画く(1/12定規と同一に)・・・目安
分度器で円を12等分し、中心線を引く(針状のもので)。
  ☆何本かの同心円を画いた、大き目の円形分度器を手作りしておくと良い(12等分など)。
  ★中心に向かって、正確に位置を決めないと等分割できない(水平に近い位置から真正面に見る)
       ・・・アクリルの厚みがあるので、少しでも斜めから見ると、位置が狂う。
中心にドリルで2mmの穴をあけ(ここも狂ってはいけない)、スポークを通すのだが、
スポークが垂直に立ち続けるよう、裏に2mm穴のあいた木片などをつける(テープで止めるなど)。
1/12定規をスポークに挿し、花弁の形を針状のもので、アクリル板に一辺ずつ写していく(針状の物で)
   ・・・△1/12定規の線上の二つの穴から見て、下のアクリル板の中心線に合わせる。
     △一辺毎にテープで固定し、ずれないようにして、線を写す。
◎アクリル板に貼ってある紙に鉛筆で作図しても良い(できる限り細い線で)。
●別の紙に作図し、糊で貼るのは、皺がよったり、空気が残って膨らんだりして、良くない。

0.1〜0.3mm程、作図線から離れたところを、金属用糸鋸で切っていく
   ・・・細部は、後から切れば良い(その方が速いし、失敗しにくい)。
1/12アルミ定規をスポークに嵌め、チェックしながら、鑢で削っていく。
*アクリルカッターの背で削っていっても良い・・・大雑把に削るのに向いている。(2002.2.)

◎アクリル板に貼ってある紙に鉛筆で作図した場合、ある程度できたら、中心線の上をカッターで正確に切る。
 紙をはぐった後、分度器で確かめる。
 1/12アルミ定規をスポークに嵌め、削っていく・・・そのとき、中心線の狂いに気付くこともある。(2002.2.6)
*アクリル板を裏返して、アルミ定規はそのままに向きで、削る必要があれば削る。(2002.2.7)

1/12アルミ定規は、作図の時も利用する

一通り終わったら、中心の穴の印をつけてから、にアクリル平面定規の外形を鉛筆で写す
   ・・・一つの辺を、例えばA と書いて、目印とする。一辺ずらして、狂いを見る(中心を合わせてかかる)
   ・・・更に一辺ずらして、狂いを見る。本当に狂っているのか、合わせ方が悪いのか・・・・・
   確信が持てないときは、更に一辺ずらしてみる。
   ☆各回に鉛筆などの色を変えて、形の線を写す。
   ☆各回に共通して、外へ出ているところをマークし、そこを鑢で削る。

1/12アルミ定規によるチェックと、紙に形を写すチェックを繰り返し、
狂いが明らかな部分を鑢で削る。
   ☆180°⇒90°⇒180°・・・・・というチェック法も併用する。
   ☆裏返して、同じように形の修正をする。
ほとんど狂いのない状態になるまで、鑢で削り上げる。
   ☆削る面が、平面に対して垂直であること。
   ☆徐々に、鑢の目を細かくして、滑らかな削り面に仕上げること。
   ◎1垂直なスポークに通した二つの定規が重なること
     紙に写した線が重なるようになること
     この二つのチェックが必要である。
これでアクリル平面定規が完成となる。

コンピューターでプラスチックの金型が一週間で出来るようになったらしい時代に、
こんな作業をするのは、一つの品物に気持ちを込めるためなのかもしれない。
乾漆素地を型から抜いた後、素地が動くことで少し狂う・・・この修正の訓練になる。
粘土原型を作るとき、アクリル平面定規の使い方に注意がいる・・・そのページに後述

引き箆作りに取り掛かる。
蓋用、身用、懸子用の三つがいる。
側面から見た形をアクリル板に画き、切り取り、削って形を整える・・・平面定規と同様。
粘土原型を作るときに回る方向の裏側になる面を斜めに削る・・・片刃の刃物と同様。
その補強用に、アクリル板より1〜10mm程大きく作った板を裏側に当てる・・・接着剤でくっ付けるorネジ
この引き箆が垂直に立っているように、十字に交差する支え板を作る・・・溝をつけ、嵌め込み式にする。
引き箆が出入りする(平面定規の形に応じて)ガイドとなる溝を付ける・・・中心に立つスポークの太さと同じ
   ⇒引き箆が回る側に板などを付ければ良い・・・ネジによる固定でないと弱い

(2002.2.11)作業上より考えると、引き箆を一つ作り、すぐ粘土原型を作っていく方が、効率が良い。しかし、形を作り上げることからいうと、蓋と身の、合わせ具合を十分吟味することの方が大切である。
作図をして考えたのと、引き箆を作るアクリル板に描いて考えるのとの違いを比較し、もう一度、どちらがいいか考え直す。
糸鋸で切り、鑢をかけたり、カッターの背で削ったりして、引き箆を作っていくとき、蓋と身、懸子の、形の上での組み合わせを考え直す。最初の作図とも比較する。時間を置いて、見直すと、また別の印象をもつこともある。

◎2004年12月18日(土)

引き箆の作り方を考え直す。ここをクリック
*中央付近と周辺付近を同じ引き箆で別々に作る方法
12.19アクリル引き箆を切り分ける

切り分ける前に、それぞれの側にネジが2本になるように固定してかかる必要がある。
逆にすると、引き箆がきちんと元に戻らなくなる。

*懸子用を上の図の「内に入る」部分を斜め上に斜線でもっていく(石膏が割れない為の厚味を作る分)と引き箆が動き易くなるのでは?

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