麻布二枚貼り(その2・・・2002年)

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2002.1.1(火)

浮きを押さえるつもりで巻いていた紐を切り取る。
ゆるい蓋だから、ごまかしがきくかもしれない、、、と、考えているのだが、、、

1.2(水)

身の粘土原型作りの続きをする・・・2時間ほどかけて、完成とする。

1.3(木)

蓋を空研ぎする・・・浮きがひどい!乾き不十分。

1.4(金)

蓋に二枚目の麻布を貼る。

1.6(日)

蓋、空研ぎ・・・素地が硬くなった感じがするが、浮いた所は高い。

身にどう布を貼れば良いのか、分からない。
 *クレラップで包んでみたが、浮きそうな感じ。
 *布で原型を包み、糸などでピィーンと張るようにしてから、その上に麻布を貼っていく?
 *木型を割型に作り、内から抜き取ることができるようにする?
 *自分の力では、結局、石膏で型を作るしかないのか?

*アラビアゴムを薄め、麻布吉野(あざぶよしの)紙を粘土原型に貼ってみた。

1.7(月)

身に麻布を貼る・・・底を一面に、側面の四つの角で布を貼り合わせる。
*和紙の上に、糊漆を渡し、布を置き、その上から糊漆を渡して貼る。
 *どう離型するか、粘土が水で緩んでくれるのか、そのとき麻布に水が染み込まないか、、、?

1.9(水)

身の、はみ出た部分と重なり部分の布を切り取る・・・かなり湿っぽいし、一部粘土よりはがれている。

蓋に刻苧をわたす。

1.11(金)

蓋の空研ぎ・・・乾き不十分。

1.12(土)

リグロインで薄めた生漆を、蓋と身に吸わせる。

1.14(月)

生漆が乾いているつもりで、窓越しの太陽に当て、熱処理を少しする。
#40で空研ぎすると、身の方が乾いていず、漆がこびり付いてくる・・・リグロインで拭くも、思ったほど取れてこない。
湿りの中に入れる。

1.16(水)

14日に米糊を煮て作る・・・米の粉:もちの粉:小麦粉の比は、6:2:2ほど。糊漆を作る。
刻苧綿をミルサーにかけて作る・・・13日に水の中でミルサーにかけ、干してあった。
*3回程かけるのを繰り返すと、今までに無いほど細かくなった。
蓋と身に、刻苧を刷毛で付ける。

1.18(金)

16日に蓋に付けてから、一時間後ぐらいに身に付けた・・・その後すぐに湿りを与えたためか、蓋は黒っぽく、身は茶色っぽくなっていた。
#80で空研ぎすると、蓋の甲のあちこちで、乾いていない刻苧が取れてきた。
そこを除けば、蓋も身も、乾き不十分な感じがするだけだった。

1.20(日)

身に麻布を貼る・・・裏面に一枚の布を貼る・・・側面を一周するように布を貼る。
*布の緩みは浮きの元なので、一面ごとに少し切れ目を入れる。
蓋に下地を付ける・・・平地は箆付け、丸みは刷毛付け。
*狂った形を直すには、下地では無理なほど狂っている。
 作り直すべきか、何とかものにするか?

1.22(火)

蓋を空研ぎすると、凸凹がひど過ぎてどうしようもない感じがしたので、作り直そうか、、、
原型の中に詰めたもの(発泡スチロール、麻紐、板)を取り出し、続いて粘土原型も壊した・・・ひび割れていたので壊しやすかった。
軽い・・・測ると236g。厚みは、手で抓んだ感じでは、普通の乾漆と同じぐらいだった。
素地が動く・・・熱処理をほとんどしていないからだろうか?
ガラス板に#180ペーパーを置き、端を水平になるよう空研ぎする・・・がたは無かった。
 *松波保真式の、端紙押し地法で正確な水平を作るしかないだろう・・・麻紐を端付近に巻く前にすべきことだ。
*狂ったものを直すか・・・昔も失敗なく素地を作ったとは考えにくい。
 それとも、蓋を作り直したほうが良いか。

身の、はみ出た布を切り、空研ぎする。布の重なりを削る。

1.24(木)

身に刷毛で刻苧をつける。
蓋の内側に刻苧を付ける・・・動く。外の凹みのひどいところにも刻苧をつける。
 *端がかなり歪んでいるから、作り直すしかないかもしれない。
 *使った粘土をバケツの中の水につけておくと、柔らかくなっていた・・・また、使える!

1.25(金)

昨日から、蓋を平らなところに置いておいた為か、歪みは直っていた。

蓋の粘土原型を作り直すことにして、作り始める。

1.26(土)

最初は普通の水粘土を使っていたが、途中から、バケツの中に浸けておいて、柔らかく戻った粘土を使う。
べとべとして使いにくかったが、柔らかい分、形が作りやすかった。
時間の経過とともに、重力で下へ垂れていくかどうかが問題。
蓋の粘土原型の作り直し、完了。

1.27(日)

蓋の素地を空研ぎ・・・内側の乾き(刻苧の)が悪かった。
身の外側を空研ぎ。

1.28(月)

作り直した粘土原型は、まだ柔らかい。

1.29(火)

粘土原型にひび割れ多数・・・1.26の粘土に水分が多すぎたためか?麻紐は使わなかった−ぐらぐら動かないように。
麻布吉野紙を貼る・・・離型用。

1.30(水)

粘土原型のひび割れ、更にひどくなっていた。
麻布を貼る・・・内側に糊漆を渡し、布を置き、上から糊漆をかける。角付近で布を切り、貼り重ねる。

身に刻苧(少し木の粉を混ぜる)を刷毛付けする。

(旧)蓋の内に刻苧を刷毛付けする。外側の凹みに下地を箆付けする。

2.2(土)

(新)蓋の、余分の布(はみ出ているもの、重なり)を切り取る。
蓋・身とも、空研ぎする・・・乾き悪い。

2.3(日)

(旧)蓋の内に下地箆付け・・・凹みのひどいところは、まだまだだ。
   外側の凹みのひどいところに下地箆付け。
身の、少し凹んでいるところに下地箆付け。

2.5(火)

(新)蓋に、刻苧を付ける。
*最初、乾漆刷毛を使っていたが、刻苧綿が固まるので、箆付けに変える。

2.6(水)

空研ぎ
 (新)蓋…箆付けで薄く付いているはずなのに、乾いていない。
 身…乾いている。
 (旧)蓋…乾いている。凸凹はひどい。下地が付いたので、素地がかなり硬くなった。
*下地で形を直していけば、重くなるし、脆くなる。
*塵居の形に沿って、厚手の麻布を貼ることはできるのだろうか?
 結局、下地で細部の形を作るしかないのか…もしくは、木クソ(糊漆に木の粉)で。

2.7(木)

(新)蓋…再度空研ぎする。まだ少し乾き不十分。
身…(山科地の子を糊漆に混ぜた)下地を箆付けする。
(旧)蓋…凹みを下地で埋めるつもりでいたが、ほとんどの面部分に下地箆付け。

2.8(金)

(旧)蓋…#40布砥にて空研ぎ。一部、不硬化。側面の膨らみ方など、直しようがない。
(新)蓋…#80にて空研ぎ。ほぼ硬化している。
身…#80にて空研ぎ。裏底の一部、下地が厚すぎ、全く乾いていない。
*凹みが大きいので、かなり地の粉の割合を多くしていたのだが、、、

*原型は、多分、粘土で作っていただろう。石膏に置き換えながら、形を直す現在のやり方のほうが楽だろう。
*原型にきちんと布が貼り付けられていないと、浮いた部分が形を狂わせてしまう。
*乾漆仏のような大きなものを作ったことがあるから、2枚しか貼らなくても、素地ができると考えたのだろうか。

2.9(土)

(新)蓋…凹みの目立つところに、下地を薄く付ける。
身…裏底の不硬化部分を空研ぎすると、まだ乾き悪い。
(旧)蓋…凹みの目立つところに、下地を普通に付ける。

2.10(日)

三つとも#40にて空研ぎする。
*(旧)蓋は、下地を付けた所為か、かなり硬くなり、余りぐらぐらしなくなった。

(新)蓋…麻布貼り2枚目。甲を一枚、側面を一周するように貼る。
身、(旧)蓋…凹み部分に下地を付ける。

2.11(月)

空研ぎする。
(新)蓋…布を重なりを切り取る。はみ出ているのを切り取る。

身、(旧)蓋…凹みの目立つところに下地付け。
*身も、端付近にぐらぐらとするところあり。粘土原型が欠けているのか?

2.12(火)

身の粘土原型の中に入れた、麻紐を巻いた木片(芯)を取り出す・・・硬めの金箆で周囲の粘土を少しずつ削る。

三つの素地を空研ぎする。

2.13(水)

身…裏底に下地箆付け。端と側面の端付近に下地を付ける⇒ぐらぐらが直らないか?
(旧)蓋…凹みに下地を付ける。

2.14(木)

(新)蓋…布の上に、刻苧を箆付けする・・・布目摺り、布の合わせ目の補強。
身…粘土原型の内側の粘土を少しずつ削る。端に下地(刻苧入り)を渡す。
(旧)蓋…凹みに下地(刻苧入り)を付ける。

2.15(金)

昨日、刻苧と下地を付けたところを#40で空研ぎ。(新)蓋のみ、少し乾き悪し。
身の裏に、下地箆付け。
(旧)蓋の甲の中央あたりに下地を付ける。
*歪んでいるとはいえ、(旧)蓋は身にちゃんと被る。修正法の研究?と言えようか。

2.16(土)

(新)蓋の長側面の一方が、端付近でかなり歪んでいるので、アクリル平面定規を当てて確かめる。
粘土原型がひび割れて、外へ出すぎているところが二ヶ所あると気付く。
切り出しで、粘土を削り、素地を内へ押してみる。少ししか直らない。
出ている所の、布一枚を切り取ろうと、切り出しで切ると、二枚とも取れてしまった。
何もないところが40mm×5mmほど出来てしまった。
粘土の上に小さい布を一枚貼る…後で麻紐を端付近に巻くつもりだから、経験上、何とかなるだろうと思う。
もう一ヶ所、粘土原型を削ったところに、内から小さい布を貼る。

ガラス板に、両面テープで、#80ペーパーを二枚並べて貼り、身の端を水平になるよう空研ぎする。
粘土原型の内側を削り取って、厚みを薄くしたのは、研ぎ易くするための準備であった…2/12-14.
直りきらないところ(低いところ)に下地を渡す。
端のほとんどに、布が出たので、薄く下地を渡す。

2.17(日)

(新)蓋…空研ぎするも、昨日布を貼った部分は、乾き不十分。
身…端の水平を作るよう、昨日同様、空研ぎ。端に下地付け。裏底の低いところにも、下地付け。

2.18(月)

(新)蓋…小さい布を貼った部分に刻苧を渡す。凹みの目立つところに、下地や刻苧付け。
身…端を水平になるよう研ぐ。2/16,17同様。低いところに下地付け。側面の凹みにも、下地付け。

2.19(火)

(新)蓋…昨日の作業部分を空研ぎ。
身…端・側面を空研ぎ。 端に、灯油で薄めた生漆を吸わせる-吸い込まなくなるまで。

2.20(水)

(新)蓋…小さい布を貼った部分にもう一枚貼り重ねる。外面や甲面の凹みに下地付け。
身…端・側面を空研ぎ。側面の線の乱れを下地で直す。裏底に下地付け。
*粘土原型の狂いが、そのまま布貼りの表情に表れている感じ。
仁和寺の箱にあるという、小さい乱れも原型によるのかもしれない。

2.21(木)

(新)蓋…粘土原型の中の、発泡スチロールを取り除く。
2.16のガラス板で、端を空研ぎし、水平を作り出そうとする。甲も研ぐ。
全体を#40で空研ぎする。
凹みの目立つところに刻苧を付ける。昨日の、小さい布を貼ったところも。

身…端の水平研ぎ。側面の空研ぎ。
長側面二面に下地を付ける。

(旧)蓋…初めて、端の水平を出すよう、ガラス板(#80ペーパー)上で空研ぎ。
端の足りないところなどに、下地を付ける。

2.22(金)

ガラス板に貼り付けた#80ペーパーを新しいのに替える。
(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。端に灯油で薄めて生漆を吸わせる。
身を空研ぎし、短側面二面と裏に下地箆付け。
*粘土原型がひび割れしてこないように、粘土の中に麻布を巻き込んでおくのはどうだろうか。

2.23(土)

(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。低いところに下地を付ける。凹みの目立つところにも。
身…空研ぎ。側面角の丸みに下地を付ける。

2.24(日)

(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。

(新)蓋…アクリル平面定規に合わせてみると、かなり内側に素地が入っている。
引き箆を引いてみると、長側面が、最初の予定よりかなり内側に入っている。
*見た目だけと、定規式造形とこんなにも違うものかと、自分の感覚の悪さに驚く。
*粘土原型だと、こんなにも縮むのかと、これにも驚く。
  すぐ石膏原型に置き換えておくと、こういうことにはならないが、、、
  藁とか、砂とかを混ぜる事で、縮小をある程度防げるかもしれないが、、、
あまりに凹みがひどい所は、下地で埋めるより、布を貼った方が良いと考え、チェックした後、十箇所ほど布を貼る。二箇所は、粘土を削って、内側に貼る。

身…アクリル定規・引き箆でチェックすると、こちらも変わってしまっている。
空研ぎで直していたので、それなりの纏まりはある。
端の横の曲線の狂いを目でチェックし、足りないところに下地を付ける。

(旧)蓋…端の水平に届かない部分に、下地を付ける。

〔夜〕(新)蓋の端の低いところに下地を付ける。
  *朝の布を貼ったところは、かなり乾いていた。

2.25(月)

(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。

(新)蓋…#40にて、空研ぎ。
 *ひび割れた粘土が、あちこち取れていき、無くなっているのをそのままにしていた。
  石膏で補強した・・・粘土を盛って置いても良かったと思う−何もないので、内側に素地が歪んだ。
見た目に足りない部分に、薄めの布を貼る。

身…空研ぎし、端の横周りの足りないところに、下地を付ける。
側面と裏面の境の腰周りに下地箆付け。

(旧)蓋…端の水平に届かない部分に、下地を付ける。

2.26(火)

(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。

(新)蓋…#40にて、全体を空研ぎ。
端の低いところに下地を付ける。目立つ凹みなどに下地を付ける。

身…下地を付けたところを空研ぎし、線の出来ていない部分に下地を盛る。
 研ぎ破れた布を削り、下地で埋める。

(旧)蓋…端の水平に届かない部分に、下地を付ける。

2.27(水)

(旧)・(新)蓋の端を水平になるように研ぐ。

(新)蓋…#40にて、全体を空研ぎ。
刻苧で、布を部分的に貼り足してできた段を埋める。
 布の上、凹み、端の低いところなどにも刻苧。

身…全体を空研ぎしてから、側面4面に下地箆付け。

(旧)蓋…あまった刻苧を端の低いところや狂い過ぎのところに付ける。

2.28(木)

(新)蓋…端と甲を水平になるよう研ぐも、相変わらず低いところあり。
 貼り足した布のあたりを#40で空研ぎ。
 刻苧で埋めた段のところは、乾き悪い・・・湿りへ

身…下地を付けたところを空研ぎし、側面の角と裏底に下地箆付け。

(旧)蓋…空研ぎをする。

3.1(金)

(新)蓋…端と甲の水平研ぎ、全体を空研ぎ。一部乾き不十分・・・湿りへ
(時間を置いて)一つの角付近が、丸すぎるので、厚い布を貼る。
2.16(土)に布が無くなったところが、内側に入りすぎたので、また厚い布を貼る・・・結局、無駄だったのか?
凹んでいる所のうち、硬く乾いているところに、刻苧+木の粉混のこくそを付ける。端の低いところにも。

身…下地を付けたところを空研ぎ・・・一部、下地の硬化不十分。
腰(底の外回り)に下地を付ける。

(旧)蓋…あまった刻苧を凹み、端の低いところに付ける。

3.2(土)

(新)蓋…端と甲の水平研ぎ、全体を空研ぎ。
角1箇所、少し外へ出すぎているので、粘土を削り、内に小さく布を貼る。
昨日、丸すぎた角は、まだ内に入りすぎているので、外脇の面にわたって厚い布を貼る。
(昨日貼った部分は除く)
外脇の、凹み部分に刻苧+下地を混ぜたものを付ける。
甲面に刻苧+下地を混ぜたものを付ける。

身は空研ぎ、(旧)蓋は凹みに余った刻苧+下地を混ぜたものを付ける。

3.3(日)

〔朝〕(新)蓋…昨日付けた所を、空研ぎ・・・厚く付いているところ、乾き悪い。
見た目に出ているところ(側面)を空研ぎすると、粘土まで出てしまう・・・布を貼る。
肩の、低すぎる感じのところに、厚めの麻布を貼る・・・湿りへ。

〔昼〕身…細い麻紐で、端の外回りを4条巻く・・・糊漆を紐にまぶして。
*金沢のふるやロープで買った−孔雀印 16×5 帝国繊維株式会社

(新)蓋…朝見逃した、見た目に足りないところに麻布を貼る。
凹みに刻苧を付ける。

米糊を煮る…米の粉:糯の粉:小麦粉(強力粉)の比、6:2:2ほど。
粉:水の比、1:4、これは湯飲みで測っている。
*糯の粉だけを使う人は、かなり柔らかくなるまで水を混ぜていた。
*小麦粉を使う人は、薄力粉を使っているそうだ。

糊漆を作る…ドンブリで測って、僅かに生漆が多い程度。
生漆を少しずつ、糊全体に混ぜ込んで、作っていく。古い糊漆と混ぜる。
寒冷紗で漉す・・・生漆の皮も混じっているので。
*布を貼る場合、粘りがありすぎると、布の上に糊漆を渡すとき、
布が引っ張られて、上手く貼れない事になる。

3.4(月)

〔朝〕蓋…空研ぎで、形直しと、乾いていないところのチェック。
 
*今後、旧の蓋のみ、(旧)を付ける。
 *乾きの悪いところはなく、湿り少々。

〔夜〕蓋…空研ぎし、見た目に足りないところに貼る、厚めの麻布を切る。
布の両側に糊漆を付け、凹んでいる感じの所に貼る・・・端の線、側面、肩に所々。
甲に刻苧に木の粉・空研ぎ粉を混ぜたものを付ける。
身は、麻紐が乾いていたが、何もしない。

3.5(火)

〔朝〕蓋…空研ぎで、乾いていないところをチェック・・・湿り。

〔夜〕蓋…アクリル定規を当て、狂いをチェック・・・内に入りすぎている角と外に出すぎている角がある。
面、肩の凹んでいる部分に貼る布、角付近の形を直す布を切る。
全体を空研ぎし、強い湿りの中へ。
(1時間半以上おいて)形を直すべきところに、布を貼る。
甲や、布を貼らなかった側面に切り子地を付ける。

身…巻いた麻紐の余分の紐を切る・・・金尺で直線を確かめながら。
側面周り(外脇全体)に切り子地、箆付け。裏面に切り子地、箆付け。

3.6(水)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。布、切り子地とも、乾き悪い部分多い・・・湿り。

〔夜〕蓋…全体空研ぎ。何となく乾き悪い・・・湿りへ。
(2時間半以上おいて)刻苧+木くそ+下地を混ぜたもので、2日以上前に貼った布の、布目摺り。
貼った布の角を、切り出しで斜めに落とし、段を緩くする・・・そこを埋める。
目立つ凹みを埋める。
*原型が狂うと、無駄な作業ばかりをしなくてはならなくなる。

身…麻紐を切り取ったところが、少し狂ったので、切り子地で直す。
裏の外回り(腰)に、切り子地箆付け。

3.7(木)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。少し湿っぽい感じ・・・湿りへ。

〔夜〕蓋…全体空研ぎ。温度が5℃ほどしかなかったが、乾いている・・・暫く湿りへ。
(1時間20分ほどして)側面一周、刻苧(糊漆多め)に木の粉・空研ぎ粉を混ぜたものを箆付け
 ・・・布目を埋める、段を埋める、凸凹を均す。

身…側面一周、切り子地箆付け。裏底、切り子地箆付け。
*凹みが残るので、蓋・身とも、箆付けで少しずつ平面に近づけるしかない。

3.8(金)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。蓋は、かなり乾き悪い・・・ファンヒーター&加湿。

〔夜〕蓋…全体空研ぎ・・・湿り。
(約2時間後)トースカンで、高さを見る。長い方の、一方の肩が痩せていると分かる。
痩せているところに、厚めの布を貼る。
凹みのひどいところと、布を貼った段に、刻苧などを箆付け。
少し凹んでいるところに、切り子地を付ける。
粘土原型では(2001.12.20)、側面が下の方に開いていく感じだったが、狂った形を見た目だけで直していくと、直線に近いものになってしまった。

身…麻紐の上に切り子地を付ける。
裏の外回り(腰)に、切り子地箆付け。

3.9(土)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。蓋は、布を貼った部分が非常に乾き悪い・・・湿り。

〔夕〕蓋の布貼り部分を空研ぎ。だいたい乾いた・・・湿り。

〔夜〕蓋…空研ぎ。布を貼った段や凹み部分に刻苧などを付ける。
身…側面一周、切り子地箆付け。裏底、切り子地箆付け。

3.10(日)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。ほぼ乾いているが、湿りへ。

〔夜〕身…腰辺りに切り子地刷毛付け。
蓋…肩付近一辺の、布を貼った部分に刻苧などを付ける。
側面周りと、上記の部分を除く肩に、切り子地刷毛付け。
甲面、切り子地箆付け。
*蓋の粘土原型は、痩せが進行している−石膏で補強しておいた部分は、端と同じ高さのまま。

3.11(月)

〔朝〕蓋全体を空研ぎ・・・布を貼り足して刻苧付けた部分、乾き悪い。湿りへ。
身…腰周り、空研ぎ。

〔夜〕蓋…刻苧付け部分を空研ぎするも、乾き不十分。2時間ほど、湿り。
肩一辺を除き、側面と肩に、切り子地刷毛付け。
甲面に、切り子地箆付け。
*一番足りない部分の乾きが悪いので、一段と作業が遅れる。

身…粘土原型を壊そうかと思ったが、狂ったら困るので、熱処理をする。
500W・約1時間・・・向きをいろいろ変えて、膨らむ所が無いように注意した。

3.12(火)

〔朝〕蓋、空研ぎ・・・昨日合わせた切り子地の漆分が強すぎたので、乾き悪いところ多い。湿り。

〔夜〕蓋…空研ぎ、だいたい乾いていた。湿りへ。
肩一辺に、切り子地に木の粉を混ぜたものを付ける。凹みのひどいところにも。

身…(日中、窓辺に置いておいたが、晴れ続けていたわけではない)
粘土を金箆(ホームセンターで、皮ムキという名で売っているもの)で、少しずつ削っていく。
先ず外脇部分の原型の厚みを半分ぐらいにし、それから厚み7ミリ、長さ10ミリ余りずつ削る。
底近くは、上から少し多めに押し切る感じで、粘土を削る。
1時間以上かかって、粘土を取り出した後、#40で空研ぎ。 325g (cf.1/22)
暫くすると、長辺が内側に歪みだした・・・竹ひごとスポークを内側から当て、少し直す。
リグロインで薄めた生漆を、端から内側に吸わせる。
端がガラス板に接するような状態で、湿り風呂に入れておく…少しだけ、内に空気が入る隙間を空けておく。

3.13(水)

〔朝〕蓋…肩など、昨日下地を付けた所を空研ぎ。

〔夜〕蓋、全体を軽く空研ぎ。
身…内側を#80で空研ぎ。すごい凸凹である。蓋はもっとひどい!
*昨日の、内側からの修正が、そのまま残った−素地自体の復元力もあるかもしれないが、、、
身は、内から外まで素地全体に、リグロインで薄めた生漆を吸わせる・・・吸い込まなくなるまで。
蓋は、端から外側に、リグロインで薄めた生漆を吸わせる。

3.14(木)

身…内側を#80で空研ぎするも、一部乾き悪し。
内底が研ぎ切れないので、荒砥で水研ぎする・・・ほとんど研ぎ減らない。
#40で空研ぎ。#80でも空研ぎ…湿りへ。
(約2時間後)凹みの目立つところ、布目が深いところに、切り子地を付ける。

蓋…トースカンで、塵居の位置をつけていく・・・高すぎるところは、削る。
見た目に出ているところを空研ぎ・・・ひどいところを鉋で削る・・・布の部分でないと、上手く削れない。
削りすぎの角一ヶ所、まだ足りない肩の部分に布を貼り足す。
鉋で削り取った痕を刻苧で埋める。
凹み、高さが足りないところに、切り子地を付ける。

3.15(金)

*中が乾くように、底を下にして上向きに置いておいたのだが、身が歪んだ
身…内側を#40、#80で空研ぎ。
切り子地を内側に刷毛付け。端にはみ出たのは、浚える。
端を下に、ガラス板の上に置く・・・角で少し空気が入るよう隙間を空けておく。古い石膏原型を重石にする。

蓋…昨日付けた所を空研ぎ。
角が丸すぎるところに布を貼るのを、昨日忘れていた・・・厚い布を貼る。
トースカンで線をつけながら、低いところをチェックし、そこに切り子地刷毛付け。

3.16(土)

〔朝〕身…内側#80にて、空研ぎ・・・乾き、非常に悪い。
*上向きに置き、内底に大・中の砥石を重ねておく。
蓋…切り子地を付けたところを空研ぎ。

〔夜〕身…内側を空研ぎするも、一部乾き悪い・・・内底に砥石を置き、強い湿りへ。
(約3時間後)乾きが完全ではないので、裏底の凹み部分に切り子地付け。端を下に、空気が入るように置く。

蓋…短い辺の一方が、肩の下のところで、どう見ても膨らみ過ぎているので、鉋で削る・・・下の粘土まで出る。
その端付近が、内に入りすぎている(肩との位置関係で)ので、布を貼る。
出た粘土をもう少し削り落とし、厚めの布を貼る。
*こんな事をしていて、果たしてまともに仕上がるのだろうか?
手で触れて、凹んでいるところに切り子地を付ける。

3.17(日)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ・・・湿り。

〔昼〕蓋…肩が低い二辺に、木の粉を混ぜた下地を付ける・・・湿り。

〔夜〕身…内底に下地を刷毛付けしたが、厚く付きすぎたので、小さい箆で箆付けにした。
内脇の凹み部分に下地箆付け。

蓋…布目を埋める。下地を低い部分に付ける。

3.18(月)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ・・・湿りへ。

〔夜〕身…切り子地(錆2/3ほど)を内側に刷毛付け。375g(cf.3/12・・・50g増加)

蓋…3.16に粘土まで出た部分に布を貼り重ねる。
そこを除いて、外側全体に切り子地刷毛付け。
*内側の粘土原型がどんどん壊れてくる・・・石膏で補強すべきか?

3.19(火)

〔朝〕身…内側を空研ぎする・・・内底の側面に近い部分が乾き悪い。湿りへ。
蓋…空研ぎ。布を貼ったところが乾き悪い。

〔昼〕身…裏底の凹み部分に切り子地箆付け。
蓋…布を貼った付近を塗師屋刀で削る。そこに刻苧を付ける。
肩の低いところや、外脇の凹みに、切り子地を付ける。

〔夜〕*身の内底、何となく乾き悪い・・・湿りへ。
*蓋、昼の切り子地の厚すぎた所、乾き悪い・・・湿りへ。
(約3時間後)身…大体しまった感じだが、内底の作業は中止。
内脇の凹みのひどいところに、切り子地箆付け。
蓋…ほとんど乾いていた。トースカンで、高さと位置をチェック。
低いところなどに切り子地を付ける。

3.20(水)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。乾いていた。

〔夜〕蓋…アクリル平面定規を当ててみると、短辺で狂いが目立つ。
粘土原型がぐらぐらするので、石膏で補強
短辺の一方…中央が膨らみ過ぎ−そこを削り、内側に布を貼る。
短辺のもう一方…半分が足りないので、角まで厚めの布を貼る。
肩や布を貼り直した部分に切り子地を付ける。

身…#180で水研ぎ・・・離型用の和紙が残っていた部分に、浮きがあった。削る。
内底の膨らみを豆鉋で少し削る。
内側全体に切り子地を刷毛付け。

3.21(木)

〔朝〕蓋・身…空研ぎ。乾き、少し足りない感じ。

〔夜〕身…切り子地を内側に刷毛付け。裏底の凹みに切り子地。395g(cf.3/18・・・20g増加)

蓋…トースカンで肩の高さをチェック。
ステンレス板0.3mm厚で肩の塵居の形を作る。
切り子地を肩に渡し、ト−スカンで隅の位置を付ける・・・それを目印に、塵居の形のステンレス型を引く。
長辺の一方が低いので、また布を貼る。

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