追加または更新日 04/12/21
雌型の三ツ割の工夫
石膏雌型取り
粘土原型のまわりを、2cm程離して画用紙(3cm高)などで囲む・・・粘土の塀でもよい。
◎石膏の溶き方
★ゴムボウルに水を入れ、石膏を振り掛けるように入れる・・・水面には届かないほど。
水が澄んでくるまで、放っておく。
石膏より上にある水を捨てる・・・軟らかい石膏がほしいときは僅かに水を残す。
スプーンを叩いて作った箆で一分強回す。⇒増村先生
★石膏を水の擦り切れ一杯に、パラパラと入れる。
水が十分しみこむほど、放っておく・・・タバコ一本吸うほどの時間。
容器の側面を叩いて、中の空気を抜く。(2002.2.24こうしておくと、石膏に気泡が出来ない−きれいな石膏原型ができる。)
小さく泡立たないように混ぜる。⇒林先生
★「石膏技法」(新技法シリーズ134 柳原明彦 美術出版社)
粘土原型にスプーンの箆か手で、薄く石膏をかけていく・・・かなり激しくガラス板を揺する(増村先生)。
→タイミングが遅すぎると、かえって穴があくので注意。
傷がつかないほど硬くなってから、銅線やアルミ線などを補強用に置く・・・3cm重なりがあればよい
⇒十字とか丸く並べる。 参照:2001.12.21−22の失敗・・・金属線を使う必要性。
(2002.2.17)書き忘れたことといえるが、石膏は外に向かって膨張する。その補強の意味が、一番の目的である。
二回目の石膏渡しは、補強の線を被う感じで
三回目の石膏渡しは、線が隠れるほどまで、必要なだけ
・・・・・三回とも同じ硬さでよい
約30分後に、水分を霧吹きで吹きかけ、石膏を硬くする。
粘土を取り出す少し前に、石膏に水分を霧吹きで吹きかける→水分が粘土に伝わる(水粘土の場合)。(2003.2.11)ゴムボウルに入れる水は、多めにしておくほうが良いようだ。
石膏を擦り切れいっぱいに入れるより、水が澄んでくるまで多少時間がかかる−充分水が吸い込まれる。
捨てる水を少なめにし、少しだけ柔らかめの石膏にする。
ゴムボウルの側面をトントンと叩いて、空気を抜く。そっと混ぜる。(2004.6.22)二日前の林先生の説明。
*上に書いた説明(2002.2.24)を読み直すと、ほとんど同じだった!
ぱらぱらと細かく振り掛ける。 (不器用な者は、篩を使ってみればどうだろうか?)
煙草半本−1本ぐらい待つ。 (記憶が薄れ、この時点で叩いていたと気付く)
叩く。混ぜる。
アクリル平面定規をガムテープなどで引っ張る・・・取れないときは穴をあけ、ネジなどを利用して取る
⇒幾つか穴をあけないと取れないこともある。錐の先を利用してもよい。
粘土を取り出す(しまう)。
(2002.2.16)ドリルで2mmの穴を、何箇所か、外周より20mmほど内にあけ、ワインの栓抜きを少し回しこんで引いた。
順に、少しずつ持ち上げる・・・穴の中心側に、栓抜きの先の力が加わるようにし、アクリル定規が割れないようにする。
(2.22)身の場合、アクリル定規が取れず、かなり割れてしまう。結局、そこを少し持ち上げ、隙間に金箆を差し込み、横へずらしながら粘土との間を切っていく。
石膏雌型修正用ブリキ板作り
形に応じて、菓子箱(ブリキ)などを切る・・・大きいもの、小さいものなど、使ってみて、また工夫する。
雌型で出っ張っているところだけを削る・・・中心を常に意識する。
合い口(石膏雌型でガラス板に接していた側)付近は、よほどの事がない限り、削らない。
(2002.2.16)山や谷の形は、ここでは逆になっている。細かい細工がある場合、勘違いしそうになる。
粘土で大体出来ているつもりでも、石膏に形を写すと、あちこちでガタガタが目立つ。
石膏雄型取り
一日置いて、雌型の水分を抜いてかかる・・・離型用の石鹸水の水分の吸収をよくする。
⇒石鹸の脂分だけが表面に残る・・・離型剤の働きがよくなる。
雌型を修正したときの粉を掃除しておく。
カリ石鹸:水=1:5〜6の比で溶く。染み込まなくなるまで塗る(5、6回)。
1時間ほど、水にたっぷりと浸けておく・・・雄型を作る石膏の水分が雌型に吸い取られ、石膏が荒れるのを防ぐため少し薄めたカリ石鹸をもう一回塗る。 [普通の石鹸でもよいそうだ]
一回目・・・雌型のときと同じ比の石膏を合わせ、流し込む(量が多すぎないこと)。
アクリル板かガラス板で蓋をし、ゆっくり縁までまわるように回す。
しまる直前ぐらいに平らに置く ⇒蓋をしたまま、しまるのを待つ(20、30分ほど)。
二回目・・・スタッフ(麻)を10cm前後に切り、水に浸す。ほぐしておく。
*石膏の水分を吸い込まないため
ボウルに水と石膏を入れ、水が澄むのを待つ。十分に水を捨てる。
スタッフをつまんで、石膏とまぶし、煎餅のように広げる。
⇒それを内縁に貼り付けていく。それから中央に貼り付ける。
三回目・・・乾いてから、水分を少し残しぎみにし、緩めの石膏を合わせる。
スタッフの隙間に石膏が入るようにスプーンで渡す。
⇒蓋をして内縁に石膏が回るようにゆっくり回す・・・一回目と同様に
◎石膏は膨張するので、雄型を作るときは順に石膏を緩くし、雌型が割れないようにする。
出っ張っているところがあれば、削る。
アクリル平面定規を、粘土原型を作ったときと同じように当て、出ている分を削る
・・・全体の形とのバランスを見て、平面定規を当てること
⇒引き箆を利用して、側面の膨張分を削る。
石膏原型に彫刻的な表現がある場合は、そのように形を作り上げる。
(2002.2.17)坂下先生が研いで形をキチンと作るべきだと仰るのに従って、漆の仕事で中研ぎにあたる砥石で石膏原型を水研ぎする。今までは、下手に研ぐと、最初に目指した形から離れていく感じがして、削るだけで済ましていた。しかし、実際に中研ぎする場合、引き箆に合わせて研ぐというより、見た目の感じで様子を見る。工芸家なら、頭で考えた形がすべてと言う感じで、計画通りに仕事をすべきとなるのだろうが、普通の人間でも、芸術家でも、実際にその時を生きているのだから、余り計算ずくで進むなんて出来ない。
水研ぎすると、非常に滑らかな原型になった。
石膏雄型から乾漆素地を作る場合は、これで石膏原型の完成となる。
石膏雌型から乾漆素地を作る場合は、さらに作業を進める。
石膏雌型取り
カリ石鹸で離型用の膜を作る。
側面の形に切り抜いた錫金貝(引き箆と同じ形)を三枚用意する。
石膏雄型に薄く石膏を渡す⇒大体三等分する感じに錫金貝を刺していく。
三箇所ごとにスタッフを貼り付けて補強する⇒それを被うように石膏を渡す。
乾いてから、雌型を三つに割り、雄型を取り出す⇒この雄型を何度でも利用できる。
三つ割にした雌型をくっ付けて石膏雌型とする
・・・緩めの石膏を薄く渡し、くっ付ける。(接着剤による方法もあるらしいが・・・)
修正作業をする・・・穴は埋め、出っ張りは取る。(2002.2.25)懸け子の、三つ割用錫金貝を作るのが面倒と、別のを利用すると、うまく割る事が出来なかった。
きちんと合った形=引き箆の形に、錫金貝を切り、三つの石膏原型がうまく合わさるようにすべきだ。
*多少狂っても、素地が完成してから直す事ができるという経験上の油断が、こういう事をさせるのだ。(2.26)形に合った錫金貝を切り、作り直すと、キチンと割れた。
錫金貝の厚み分隙間を空けるべきだが、正確には合わせられない。
中心に向かって少し傾く(中心の方が重いから)と、石膏がしまるまで、真っ直ぐになるよう支えていた。
*懸け子は、抜き勾配になっているので、三つ割にする必要がなかったのではないか?(2003.2.18)三ツ割に関して(2.17よりのコピー)
錫金貝を取り除くから、どうしても隙間ができてしまう−どうすれば中に雄型があるかのように組みなおすことができるのか?
石膏雌型を作った時点で、裏底を水平にすれば、上向で雌型を一体に戻す作業ができるのではないか?
そこで、3回目の石膏を渡した後、ガラス板を載せて、裏底が水平になるようにした。
三ツ割にし、裏底を下にして、組み直すと、少し端に上下ができた−石膏の屑が、取り除いても、あちこちに残る。
アクリル平面定規を嵌め、荷造り用の麻紐で巻いて組み合わせる。
端の水平が大切なので、そのまま上下を入れ替え、継ぎ目に石膏を渡す。麻紐の一部にも石膏をかけておく。
アクリル定規で狂いのないことを確かめ、内側の継ぎ目に石膏を渡す。乾く前に、盛り上がった石膏を取り除く。
光が透けて見える、石膏の薄すぎる部分にも、石膏をかけておく。(2003.12.21.日)12/19−12/21に、石膏雌型取りで考えたことを試してみる。
端付近や、底の中央部分に、錫金貝を挟まない部分を少し残し、石膏原型を作るのである。
端付近は数ミリ程度(金貝の外にも石膏が残るようにする)、底は2cm程度。
多すぎると、石膏が欠けてしまうことが多い。
錫金貝の幅も6−10mm程度にし、石膏を厚くしない。
スタッフは、底で割れる予定の部分には、おかない−割れる道を残す。
割るときは、錫金貝の境を鉛筆で書き、目安とする。
当て木をして各分割部分を少しずつ叩いていく・・・隣との境付近、中央部分、別の隣境付近の順に。
三つを組み合わせ直すと、ガタガタすることなく組み合わさった。
石膏原型が完成したら、水分がなくなるまで充分乾燥させる。
・自然乾燥、風に当てる、日光に当てる。
・ファンヒーターの前に置いたり、コタツの中に入れる。
・熱処理する。水分が残ると、錆下地が乾かない。
離型剤(糊分)を塗った後、多少水分があっても乾く、糊漆(下地)、蝋色漆を膜として塗布する方法もある。
化学塗料を利用しても良いそうだ。
◎それぞれの原型の特徴を書いておく。
◆石膏雄型
原型の外側から布を貼っていけば良いから、作業がしやすい。
型に貼ったままの乾漆素地の状態で、蓋と身の合わせ作業ができる。
型から抜いた乾漆素地の内側に、アクリル平面定規が嵌まり、狂いを見やすい。
乾燥(熱処理)をしやすい。
布を緩く貼りやすいので、無理な力がかかりにくい。つまり、狂いにくい。
表面の形が無くなっていく⇒下地で形を作り直す必要がでてくる。
◆石膏雌型
原型の内側に布を貼るから、特に隅が浮きやすい。
外側の形を写し取った乾漆素地ができるので、精密な形の作品に向いている。
三つ割で作れば、雄型から何度でも同じ形の型を作ることができる。
内側が自然に柔らかい形になり、余分な下地付けが不要になる。
☆松波保真先生の原型
残念ながら、2000年末現在、本当の作品さえ目にしていない。
「近代日本の漆芸」(東京国立近代美術館)p220,221の見本、p271,272の解説。今やっと理解できるようになった気がする。(最初はほとんど理解できず、少しずつ分かるようになっていった)
坂下先生が寺井直次先生から譲り受けたという型を作る道具と、少し作ったままでやめた素地を見せてもらったことがある。
四角いところに、内型用(内径)と外型用(外径)が嵌めかえられるようになっていた。
内型用は素地を貼っていくための型を作る。外型用は素地の外側の形を作るのに使う。
多分、内型(雄型)で作った素地を型から抜いた後、素地の内側に内型用平面定規を嵌め、素地が動かないようにする・・・四角いところに嵌めておくことで。 考え方としては、外型用平面定規もその四角いところに嵌め、それに合わせて外側の形を作り直す、ということになる。
下から、嵌めるための四角いところ(低い柱)を持つ台、外型用平面定規、内型用平面定規(乾漆素地の内に嵌めた状態で)と重ねて使う・・・平面定規は四角いところに嵌めて動かないようにしておく。
引き箆は金属で作ってあり、使用している間に形がぶれたりすることはなさそうに見えた。
平均的に石膏の層を作る方法がよく分からない。
蓋をすることには、端をキチンと平面に作る意味がある。
その点を除けば、回し続けるのは実に不合理な方法だと思う。
蓋をしないで、手(箆でも良いが)で側面の厚味を揃える方が安定的な石膏原型になる。
2回目以降でそうすることになるが、一回目の層を後から修正する場合、厚味不足となる部分も出てくる。
そんな必要のない石膏雌型になるよう修正してかかれば良いという理屈になるだろうが、そこまで出来ないからあちこちで直すのである。2009年1月
2008.12.31石膏雌型取り。
*柔らかめの石膏を渡したので、側面に垂らしても、一応、全体に石膏がかかる。
水分を多くするのではなく、かき混ぜている時間を少なめにし、粘りが出る前に使う。